1話:始まりのクラス替え
1月28日、天気は真冬には珍しい大雨。大粒の雨が地面に叩きつけられており、ザーッと大きな音を立てている。空は暗雲で日光が完全に遮られ、昼なのにも関わらず外は暗い。そんな中、私はとある人物に呼び出されて学校の校舎裏にいた。
「責任とってよ!!この裏切り者!!遙のろくでなし!!」
そう叫びながら私の上にまたがり体のあらゆる場所を殴る彩芽。私が腕で顔を隠し、ジタバタと逃げようとするが、彩芽は叩き続け、止める気配は無い。
そんな中、私は思う。いつからだろうか、こんなことになってしまったのは、と。
今から9ヶ月前の4月8日、空は晴天。校庭の真ん中に咲き誇る桜の木から花びらがひらひらと舞っている。私は今日から6年生になる。いつもよりも15分ほど早く家を出て、クラス替え一覧表を見るために廊下を競歩で進む。本当は走りたいが、走ったら怒られるため競歩でずんずん進む。心にほんのわずかな希望を抱き「きっと大丈夫」と自分に言い聞かせながら。
クラス替え一覧表の目の前につき、自分の名前を探す。そしてそれと同時に例の名前も探す。探し出して割とすぐ、私は自分の名前を見つけた。
「平井遙は……あった、私は……2組か」
小学校に入ってからずっと1組だった私は、初めて2組の枠に名前があり、少し嬉しく思う。しかしその嬉しさも束の間、私は同じ2組の枠にある一つの名前に目が行く。
”綾瀬彩芽”私が探していた例の名前だ。彩芽は3年生の頃からクラスが同じになり、初めは仲が良かったものの、現在私は彩芽が正直好きではない。むしろ嫌いだ。
嫌いになったきっかけは決してたいしたことではない。遊び半分で物を隠されたり、割と力が込められたスキンシップが多かったり、そんな友達同士の中でよくある「嫌い」だ。ただそれが日々重なってゆくと、こっちの精神も意外と削れてくるものである。
そんなことを思っていた時、私の頭の上に手が置かれた。
「遙おはよう!クラスどうだった?」
私の頭の上に手を置いた人物は、彩芽だった。彩芽はクラス替え一覧表を見てすぐに、嬉しそうな声を上げ、その場で飛び跳ねる。
「やったぁ!あたしたちまたクラス一緒じゃん!遙、これからも仲良くしてね!」
キーンと耳鳴りが聞こえる。私は小さく「うん」と言い、そのまま二人で教室に向かい出す。向かう道中、彩芽はずっと楽しそうに自慢話を続けている。そんな彩芽とは対照的に、私は心が一気にズーンと沈んでいくのを感じた。
教室についてからも彩芽はずっと私のそばで自慢話をしている。自分で言うのもあれだが、私は自分でも嫌気がさすほどにお人好しな性格、そのため頼まれごとなどが断れないのだ。おそらく彩芽は私のことを都合のいい人間だとでも思っているのだろう。なぜなら彩芽は暇さえあれば、私に自慢話をしてくるからだ。
「それでさ!!その時あたし、なんて言ってやったと思う!?」
「うーん、わかんない」
「正解はー、2度と近づいてくるな!!この間抜けって言ったの!!あたしすごくない!?」
私はいつも通り、「そうだね、すごいね」と作り笑顔を作りながら共感する。これが私の日常だ。いつもよくそんなに自慢できる話があるものだと思っていたところ、担任の先生が来て、朝の会が始まる。
挨拶、今日の日直、先生からの連絡事項、内容はいつもと変わらない。変わったところと言えば、クラスメイトが少し変わったことくらいだ。新学期の1番の楽しみとも言えるクラス替え、私的には最悪な結果で終わった。少しでも胸に希望を抱いていた自分がバカらしく感じる。
そんなことを思っていると朝の会の終わりを知らせるチャイムが鳴る。トイレに行こうとした私は席を立とうとするが、そこへ瞬足で彩芽が寄ってきて、私の後ろに抱きつき、さっきの自慢話の続きを話し始める。私が困っていたそんな時、教室のドアが勢いよく開いた。そして私を呼ぶ声が聞こえる。
「遙!!」
私を呼んだのは去年まで同じクラスだった仲の良い”秋山紫苑”だった。紫苑は何やら慌てつつも、私を屋上へ続く階段に招き、声を潜めながら話し出す。
「遥、大丈夫??またあいつとクラス同じじゃん」
「うん」
「うんじゃないよ!!」
「でももうな——」
「慣れたなんて言わせないよ、紫苑知ってる!!慣れても遙は心の中で嫌だって思ってるんだから!!」
紫苑は少しその場を歩きながら、時々私の目を見て話している。どうやら彩芽の異常なところを一生懸命私に説明してくれている様子。私は何も考えずその話を聞きながら、時々あいづちを打つ。そんな時も、遠くから彩芽がこちらの様子を伺っている姿が見えた。すると紫音は私を連れて、階段の上の方へ上がり私に迫ってきて、こう言った。
「とにかく遙、あいつはやばいやつなの!!だから何かあったときは紫音を頼ること、いざとなったら紫音がギャフンと言ってやるんだから!!分かった??」
「うん、分かった、ありがと」
「ほんとにわかってる??もう……」
そんな会話をしたところで授業準備開始のチャイムが鳴る。紫苑は手を振りながら走って自分の教室に戻って行った。私も授業の準備に向かおうと、重い足を引きずって教室に戻る。教室に戻るとすぐに彩芽が少し強張った顔で寄ってきた。
「何を話してたのー??」
「……紫苑が私と同じクラスになれなくて寂しいって話」
「ふーん……」
私は咄嗟に嘘をついた。彩芽本人にさっきの話をするなんて死んでもごめんだ。しかしその嘘に気が付かなかったのか、彩芽は強張った顔がいつもの笑顔に戻り、「そっか」と言い残しスキップで授業に向かって行く。その言葉で「ああ、今日からまた始まるのか」と思い、私の心はズーンと重くなった。
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どもども、ろったりかです♪
いやー記念すべき1話ですが、いきなり不穏ですね…
2話ではじゃんけんが、悪魔の遊びとなっていきます
ぜひその目でご覧ください!




