最終話 よしっ、俺も男だ
「取り敢えずは早見が安定してくれて、反男性レジスタンス組織結成からの男滅亡エンドは避けられそうで良かったぜ。よっ! 流石は大将! 親子丼なんて羨ましいぞ! クズ男!」
「褒めてるのか非難してるのか、どっちだよっ!」
「っと。ナイスボール」
体育の時間。
自由に身体を動かせばよい男子の体育の時間に、俺と慶喜はグローブをはめてキャッチボールをしていた。
さっきは、ちょっと気持ちが球に乗っちまったな。
なお、体育教師は少し離れた場所からこちらを見守っている。
男子同士の会話を聞かないようにという配慮である。
おかげで、体育の時間は慶喜と密談をするのに打ってつけだった。
「取り敢えず、これで慶喜の言うゲームのBADエンドは防げたって事でいいのか?」
「ああ、多分な」
「随分と自信なさげな言い方だな」
「大将が初手からシナリオを滅茶苦茶にしちまったせいだよ。攻略外のママキャラに手を出しやがって」
「ママに手を出してオーケイな世界なら、そりゃタガも外れるってもんだ。たとえ、この世界がゲームの世界だと分かっていても、俺は同じことをしただろうさ」
ずっと、自分の本当の願いを抑圧して一生を終えた前世だ。
だから、今世では自重しないと決めている。
たとえ、この世界が虚構の世界であったとしても、間違いなく目の前にいるママ達は一人の人間としてこの世界を懸命に生きている。
だこらこそ、俺も真剣に応えたい。
「まぁ、本来のシナリオからは外れてるけど、これで幼馴染ルートで安定させればクリアだな。反男性レジスタンスに命を奪われる事も無く、この男女比1:99の男に甘々な世界を堪能できるってもんだ。これからは俺も、大将には出来ない、シナリオ外の可愛い学園の女の子達とハーレム三昧だぜ」
「そうかい。お前が羨ましいよー(棒)」
まったく慶喜は。
ママの魅力を知らんとはガキだな。
何となく前世について詮索するのはタブーかと思ったので、お互いに前世の話はしていないが、慶喜は案外前世では若い男だったのかもな。
だから、女子高生に素直に欲情してるんだな、このロリコンめ。
「そういや大将は早見以外のママさんには手を出してないんだよな?」
「え⁉ お、おお……」
慶喜の問いに、俺は歯切れの悪い回答をする。
「……まさか大将」
「え? って言っても、学園にいる生徒のママじゃないぞ。桜山先生の娘は、まだ中学生で、この学園には入学してないし」
月詠学園って名前のゲームなら学園物のはず。
攻略対象は、必然的に学園の生徒となるはずだ。
「桜山……。って、もしかして後輩キャラの桜山萌花か⁉」
「え。慶喜、萌花ちゃんの事知ってるのか?」
「知ってるも何も、桜山萌花はゲームの2年生編から加入するヒロインだよ!」
「へぇ。じゃあ、萌花ちゃんは、ちゃんと来年度に月詠学園の入試に合格するんだな」
それは良かった。
ネタバレだから、本人には言えないけど。
「って、大将。もう萌花ちゃんと接触しちまったのか⁉」
「おう。部活のサイクリング部の活動で、顧問の桜山先生が連れて来て一緒に週末ライドに」
「マジかよ……」
「おーい。ボール逸らしたまんまだぞ」
「そんな事はどうでもいい! よりによって、また面倒なのを……」
眉間を抑える様を見て、体育担当の先生が慌てて慶喜の元へ駆け寄るが、慶喜は手で制して下がらせて俺の元に詰め寄る。
「いいか大将。すでに桜山萌花と関係を持ったなら、奴は間違いなく大将にすでに惚れてる」
「そうなのか?」
言っても、萌花ちゃんとは1回ライドに行って、ちょこちょこweb通話やメッセのやりとりをしている位の関係なのだが。
「桜山萌花は、思い込みの激しいヤンデレ女だからな。大将のためだったら何だってする。接してみた大将にも心当たりがあるんじゃないのか?」
「そう言えば、萌花ちゃんは中学校は不登校だけど、今は学校に通ってるって桜山先生も喜んでたな」
「それだよ! っていうか、中学時代のトラウマ問題まで大将が関与して解決しちゃってるのか⁉ って事は、既にもう……」
頭を抱えてうずくまる慶喜。
またもや体育教師が救急箱を持って走ってこっちに来るが、慶喜は丁重に下がってもらう。
「萌花ちゃんって、そんなヤバいのか?」
「桜山は、闇墜ちすると反男性レジスタンス組織の電子戦部門の担当になる。そして、世界の防衛システムをハッキングして核戦争を起こす」
「ふぁ⁉」
何だそれ!?
またしても世界の危機という事か!
「なんでそんな事を萌花ちゃんが⁉ っていうか、何でこの世界の女子高生は、男に振られると世界を滅ぼすんだよ⁉」
「そういうシナリオだから知らん! ゲームではその辺は大して詳しくは語られずに、一枚絵でゲームオーバー画面が出るだけなんだから」
んだ、それ。
手抜きじゃねぇか。
運営はちゃんとゲーム転生した奴の事を想定して、バッドエンドストーリーもちゃんとシナリオライターへ発注しとけや。
「ゲーム知識持ち転生者のくせに使えねぇな」
「大将がシナリオを初手から修復不可能レベルに捻じ曲げたからだろが! このマザコン野郎め!」
その後、慶喜とは取っ組み合いのケンカになり、体育教師が泣き始めたがそんな事はどうでも良かった。
今後の俺のママとイチャイチャする生活はどうなってしまうのか?
そして世界の行く末が自分にかかっているという、不都合な真実が、俺の気持ちを落ち込ませた。
◇◇◇◆◇◇◇
「はぁ、疲れた……」
あの後、結局体育教師がワンワン泣いて、慶喜とのケンカどころじゃ無くなったしな。
放課後は、両者の担任も含めた話し合いがもたれて、桜山先生にも心配をかけてしまった。
今度、お詫びしないとな。
何がいいかな~と考えながら、いつもより遅い時間に自宅の玄関のドアを開けると。
「「おかえりなさい。アナタ♡」」
「……理恵さんに綾乃。そ、その格好は……」
家に入ると、理恵さんと綾乃が床に正座し、三つ指ついて待っていた。
スケスケなベビードール下着姿で。
「待ってたよ清彦。さ、始めよ」
茫然とする俺の腕を、綾乃がすかさずホールドする。
「始めるって何を……。あ、お風呂に一緒に入る……的な?」
「ううん、子作り♡」
とぼけて、一番軽めのを言ったんだけどな……。
「って、カノジョになったばかりで、ちょっと子作りは早いかな~なんて……」
「そんな事ないよ清彦。番になった男女は、直ぐに子作りしまくるのが政府のガイドラインでも推奨されてるよ♡」
え? この世界だとそうなの?
まぁ、たしかに男女比1:99の世界では子作りは当然推奨ではあるのだろうが。
しかし、人生の選択を間違っていたら、反男性レジスタンス組織の首領になっていた綾乃が、政府のガイドラインを引き合いに出して迫ってくるって、何かダブスタ感が否めない。
「えっと……。でも、そこは初カノジョの理恵さんに聞いてみないと……」
「もちろんOKだよ清彦君♡ 娘と一緒に初めてを貰ってもらえるなんて夢みたい」
「ママ……一緒にママになろうね……。ああ、楽しみ……。私、ママと一緒にママになれるんだ」
ちょっと、一つのセリフの中にママが何回も出てきて渋滞してるな……。
いや、言いたいことは分かるんだよ?
理恵さんと一緒に、子宝に恵まれてママになる未来を夢想してるんだよな綾乃は。
──ダメだ……。綾乃はとうに壊れてしまっていたんだ。自分の母親に、幼馴染の男の子という俺を寝取られて……。
そして、最後に小さじ1杯分残っていた理性で、俺やママである理恵さんと離れようとしたけど、それを俺が止めた。
俺のエゴで。
じゃあ、綾乃を壊してまったのは俺のせいだな。
だって、綾乃は凄く目が輝いていて、まるで告白が成功して付き合い始めたラブコメのヒロインのような顔をしている。
──あ……。真のヤンデレって、自分が病んでいる事にすら気付いていないから、こんなメロい顔が出来るんだな。
勉強になるなぁ……。
「うん……痛いかもだけど一緒に乗り切ろうね綾乃ちゃん……」
そして、理恵さんについては、既に前世で年上女性を墜としまくったテクのフルコースを浴びて、とっくに情緒はグチャグチャにされている。
そして、今は心から、娘と一緒に俺と処女を喪失できる事を喜んでいる。
母として、そして女として。
──なんだ。じゃあ、全部俺のせいか。
元より、ママに手を出しまくると決めた第二の人生だ。
とうに地獄行きは決まっているのだから今更だ。
「よしっ、俺も男だ。2人まとめて愛し尽す!」
「「きゃああぁぁあ!♡」」
最早、半ばやけくそな俺は2人の肩を抱いた。
もうすぐ月詠学園に入学して1か月。
俺の第2の人生での初のベッドでの対戦成績は、初日なのにいきなり2勝がつくのであった。
<第1章 了>
これにて第1章完結です。
ママに次々手を出していくゲスな主人公は書いていて実に楽しかったです。
第2章は、理恵ママ+綾乃の親子丼タッグに攻められつつ、桜山先生サイドの話も進んでいく予定ですのでお楽しみに。
今後は、2巻の書籍発売が今月24日に迫った『電車王子様』3章の更新が近々再スタートする予定ですので、そちらも見てやってください。
あと、貞操逆転男友達も、もうちょっとしたら嬉しい報告ができると思いますので、そちらもよろしくお願いします。(現在2章の更新中です)
最期に、★評価よろしくお願いします。
これが作者の栄養なんだからね!
特になろうでは、本当に読者の母数が少なくなっちゃったから、ここでも投稿続けるためには必要なんだから!
それではまた。




