.94
[殺されるかもしれない?]
リョウさんは言う。
[殺し屋を雇うかもしれない]
コースケの言葉に、まさか。と口を開こうとするリョウさん。コースケが話を続けた。
[幸いにも中華系は把握してるからそういう話が出たら分かる。網も張った。ただ関西系のヤクザが動いたら全く分からない]
リョウさんはダンマリ。
[カズってヤツは関西なんだ]
コースケは更に嫌な情報を伝えた。
[お金で解決できるの?]
[十億円なら]
コースケの返事にリョウさんは天井を見上げた。
[メール返信できる?]
コースケの問いにリョウさんは急いでパソコンを取ってきて、メールを開く。
[なんて書く?]
[とりあえず何も書かずに]
リョウさんはメールを送るもすぐにアンノウンとして返ってきた。
[知らない電話番号から連絡取れるわ]
エクスコが初めて会話に参加した。
[さてどうするかな]
コースケが考えながら言った。
[こっちを不安にさせてリョウから連絡くるように仕向けてるのは分かる。だからリョウよりもエクスコに電話をかけてるんだ。言い換えるとリョウの事を過大評価してエクスコを過小評価してるって事だ]
コースケは的確な分析をしていく。ミヤビ達をすぐにマーロンに預けたりと、コースケは抜かりはない。
[こっちから仕掛けたい気もするが、それを狙ってる気もするしなぁ]
マトンさんから連絡が来る。送ったURLを見てくれ。と。ネットを開くと巨大チャンネル掲示板。そのスレッドにはマトンさん達の名前。マトン、カラクリ、オルカ、ニル、ゆーな。の名前が書かれていた。
書かれていないのはコースケと望月。
[外堀りをジワジワと埋めてってるな]
コースケは独り言を言う。
[恐怖心を煽って冷静さをなくす。次は懐柔だろうな。恐怖から逃げたい一心で相手の理不尽な要求を聞いてしまうんだ。まだ向こうは余裕ある証拠だな]
[なんで余裕あるのが分かるのよ?]
リョウさんが言う。
[余裕ないと既に暴力沙汰になってるからさ]
[オルカが暴力を振るわれたじゃない]
[あれは単なる脅しさ]
[あれが?下手したら死んでたかもしれないわ]
[頭ではなく顔だったろ。よほど運が悪くなければ大丈夫さ]
リョウさんは思わず立ち上がる。
[リョウ、リョウには俺とエクスコがついてる。大丈夫だ。怖がったら向こうの思うツボだ]
[えっちゃんにも被害が出たら?]
リョウさんの口調は大きい。コースケはリョウさんの手を取った。もう片方の手でえっちゃんの手を取った。
[リョウは震えてるが、ほら、エクスコは震えてないだろ。大丈夫。エクスコは強いんだ]
リョウさんの手は小刻みに震えていたが、えっちゃんの手は震えていなかった。えっちゃんの目つきは鋭い。
[リョウさんを怖がらせるなんて許せない]
えっちゃんはコースケに言った。コースケは重くうなづく。
[なんなの、貴方達]
リョウさんは少しヒステリックになっている。現実についていけていない。




