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[あの子達は使えるのね?]
リョウさんは言った。
[なんでもすると思います]
[何人いるのか聞いといてくれる?お金はすぐ渡すわ。あの子達ではなくえっちゃん。あなたにね]
来た道を引き返しホテルへ戻る。後ろからマーロンが着いてくる。
ホテルの前でボーイがリョウさんに近づいてカバンを渡す。おそらくその中に一千万円。
リョウさんがえっちゃんにカバンの中を確認させて、えっちゃんに渡しながら言った。
[いい?こんな事してるといつか必ず貴方は破綻するわよ]
えっちゃんの思ってる破綻はミヤビ達と離れ離れになる事。
金銭感覚もえっちゃんの手に負えない額になっている。そう言う意味ではすでに亀裂してる。
リョウさんはマーロンに関して何も言わなかった。考えてるはずなのに、まるでなかったかのようにえっちゃんに接してくれた。
リョウさんと別れた後、散々悩んだ挙句、えっちゃんはユダの店へ。何故マーロンに私と逢え。と言ったのか知りたかった。
裏口から出てきたのはユダ。トオルもあの女性も見かけない。前と同じ部屋。
[払ったんだね]
ユダは何の挨拶も前置きもなく言った。
えっちゃんはうなづいた。ユダは床にあった紙袋をえっちゃんに渡した。
中には帯の束が十個入ってた。
[全く分からないです。なんの意味があってやるんですか?一千万円って大金ですよ]
リョウさんも、よく分からないのにポンと一千万円を渡してくれた。
ユダもまた同じ。
[その大金をえっちゃんも渡したじゃない]
ユダの言葉に我に帰る。えっちゃんもマーロンに一千万円を渡した。
[誰が得をするんですか?]
[誰だろうねぇ。でも誰も損はしないよ]
[ユダさんが損するんじゃ?]
[この金は医者から稼いだ金でもあるんだ。あの娘のかかりつけはヤンイー先生と言って闇医師。金はかかるが腕はいいはず。そこに薬や医療機器を売ってるのは僕の知り合い。その知り合いは僕から情報を買って薬とかを仕入れてる]
ユダは言った。
[なんで私を?]
[人脈かな。僕が直接渡してもマーロンは僕としか繋がらない。でもこうすればマーロンはえっちゃんと繋がる。桜井涼子だったな。その人にも繋がる。そうして人は繋がり、輪が固っていくんだ。お金は単なる潤滑油にしか過ぎない]




