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アパートに帰り皆に話をする。誰もがユダを信用しなかった。ミヤビが、ダイヤが偽物だったら?と言い出した。
ダイヤを見せる。ケイナの目が輝く。
[売ると凄いんだろうねぇ]
リンもダイヤから目が離せないで言った。
[本物か分からない]
[本物よ]
ミヤビの言葉にケイナが即答する。
[欲しいわぁ]
独り言のようにケイナが呟く。
[さ、ねぇねはこれから仕事行くわ。キャサさんにもお礼したいし。大事に預かっといてね]
えっちゃんはダイヤと皆を置いて再び外に出る。足取りは重くない。が、喉に引っかかってる骨が取れかかってる感じに思える。
[エクスコ]
コースケの声。歩くのを辞める。コースケが追いつき隣に並んで歩き出す。
[私はエクスコじゃないわ]
[解決策出来たみたいだね。上手くいくの?]
コースケはえっちゃんの雰囲気で察する。
[えぇ、おそらくね]
[大人を巻き込んだのか?今度は大人のイザコザに巻き込まれるぞ]
コースケは言う。
[でも解決はするわ]
[まだしてないぞ]
コースケはすぐ答えを返した。えっちゃんは立ち上まって言った。
[もう私達に構わないで]
コースケは唖然とする。
[おい、本当に何にも思い出せてないのか?]
[思い出せないし、思い出せなくてもかまわないわ]
えっちゃんの言葉にコースケは空を仰いだ。
[君の父さんはどうする?母さんは?皆の事は?]
[知らないわよ]
えっちゃんは答える。記憶に無いものは居ないと同じ。たとえ会ったとしても別に何の感情も沸かない。沸いてこない。
[あいつらの事調べて分かったぞ]
[ありがとう。でも明後日には解決するから大丈夫よ]
[なんでだよ。どうするんだよ]
[私達をどうしたいわけ?]
えっちゃんは大きな声を出した事に気付き周りを見渡す。それから小声で、
[とにかくもう大丈夫だから。ありがとう]
そう言って駆け出した。コースケはその場に残された。
走る足をそのままに任せ走り続ける。
両親の事。えっちゃんは居ないものと考えてる。居たとしても何の感情も湧かない。捨てられたとしても怒りすら無い。
家族がいるとするならミヤビやケイナ、リンにケン。その四人だけだ。でも家族と仲間は違う。出逢って一年も経ってない。思考が考えても仕方ない事に向かってる。どうでもいい部類。大事なのは今と未来。感傷に浸ってる場合ではない。




