↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/6

第6話 ロボット教習車をやろう

「ロボット教習車をやろう」


 田口先生が言った。


「なんですか、それ?」

「ロボットを動かす練習だ。まずは、基本から始めよう」


 先生は、練習内容を説明し始めた。


「直線の橋を渡る。ポールとポールの間を交互に回る。それから、凹凸のある道を走る。最後は、バックで駐車だ」

「バックで駐車……?」


 私は思わず聞き返した。


「そうだ。車と同じだよ。ロボットだって、まっすぐ走るだけじゃダメなんだ」

「難しいね。でも、やりがいがある」


 私は、これから始まる練習を想像した。


「いいね。じゃあ、箱に入っているロボットとリモコンをつないでくれ。高橋、藤井に教えてやってくれ」

「はい」


 高橋くんが短く返事をした。

 箱の中には、ロボットが入っていた。


 木の板を土台にして、ギアボックスと二つのタイヤが取り付けられている。前には、小さなコロコロとした車輪が一つ付いていた。

 見た目は、思っていたよりもシンプルだ。


 でも、これが本当に動くのだろうか。

 隣には、リモコンが置いてあった。そこからは、8本のコードが伸びている。


「これをつなぐの?」


 私はリモコンとロボットを見比べた。


「うん。まずは、ここから」


 高橋くんが、コードの先を指さした。


「黒色と黒色、赤色と青色……」


 高橋くんに教えてもらいながら、コードをつないでいく。

 高橋くんが四本をつなぎ終えると、私も残りの四本をつないだ。


「これでいいの?」

「うん」


 高橋くんはリモコンを手に取った。

 スイッチを操作すると、ロボットがすいすいと動き始めた。


「すごい……」


 まっすぐ進んだかと思うと、くるりと向きを変える。高橋くんは、まるで自分の手足のようにロボットを動かしていた。


「じゃあ、藤井さんもやってみて」

「う、うん」


 私はリモコンを受け取った。

 スイッチを動かす。

 すると、ロボットが回転した。


「あれ? ちょっと待って!」


 止めようとしたけれど、今度は反対向きに回り始めた。


「えっ、どうして?」


 思ったとおりに動かせない。

 高橋くんは、隣で黙ってロボットを見ていた。


「……難しいね」

「最初は、そんなものだよ」


 高橋くんは短く答えた。


「高橋、もう少し詳しく教えてやってくれ。藤井、ちょっと覚えるのが早すぎるかな?」


 田口先生が言った。


「えっ、私が?」


 思わず聞き返した。


「そうだ。いきなりうまく動かせるわけがないだろう。まずは、どう操作すればロボットが動くのか、そこから覚えていこう」

「……はい」


 私はリモコンを見つめた。

 どうやら、ロボットを思いどおりに動かすには、まだまだ練習が必要らしい。


「じゃあ、理科室に戻るからな。何かあったら、理科室に来て」


 田口先生が言った。


「そうなんですか? 私たち二人でやるんですか?」


 私は思わず聞き返した。


「そうだぞ。高橋がいるから、いろいろ教えてもらうといい」

「……はい」


 田口先生はそう言い残すと、理科室へ戻っていった。

 私は隣にいる高橋くんを見た。

 いろいろ教えてもらうといい、って先生は言っていたけれど……。

 高橋くんは、あまり詳しく教えてくれない。

 なんだか、よくわからない人だな。


 私はリモコンを持って、もう一度ロボットを操作した。

 けれど、やっぱりその場でくるくると回ってしまう。

 どうして、まっすぐ進まないんだろう。

 すると、高橋くんがロボットの背面をのぞき込んだ。


「右のモーターが逆についてるから」

「逆に?」


 そういえば、技術のテストで習った気がする。

 モーターは、プラスとマイナスを逆につなぐと、回転する方向も逆になる。


「あっ、そうなんだ。わかった!」

「よかった」

「……」


 高橋くんは、ちゃんとヒントをくれたんだ。

 そうか、そうか。

 私はさっそく、モーターのコードをつなぎ直そうとした。


「モーターをコードに……」

「待って!」

「へっ!?」


 突然止められて、私は手を止めた。


「リモコンのコードを、黄色とオレンジ色に付け替えるほうが早い」

「……」


 私は、手元のコードを見た。

 そんな方法があったんだ。

 自分で考えて直そうとしていたのに、あっという間に別の方法を教えられてしまった。

 高橋くんって、やっぱりよくわからない。

 でも……。

 ちゃんと教えてくれる人なのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。