いつかあの芽が芽吹くまで
いつからだろう。
人と距離をとって、愛想笑いして、面と向かっても相手の向こう側を見て、一人の時は下を向いて歩くようになったのは••。
時の流れは不変で、一定のペースで進んでいく。その度に自分の小ささを思い知らされ、ネガティブな思考は僕の体を駆け抜けていく。
「僕は今、大丈夫ですか?」
ざぁーっと音を立てて、強い秋風が僕の横を吹き抜けていく。
冬の気配を感じさせる空気を体いっぱいに吸い込み、いつもと変わらない1日が今日も終わっていく。
2005年10月、
静岡から大学入学を機に上京して、一年強。
目標も夢も無く、ただ就職したくないという理由だけでそこそこ知名度の大学になんとなく就入学した生活もだいぶ板についてきた。
「たかー!!」
ドンっ!!
「おわっ、いてっっ!!」
後ろから強い衝撃。
「3限経済学だろ?行こうぜー。」
マサトシが誘ってきた。
マサトシは千葉から同じ大学に入学してきた友人で、初日から意気投合したやつだ。
同い年で、20歳になった時からよく飲む仲だ。
「あぁ、行こう。」
俺はタカシ、マサトシからはタカと呼ばれている。
お互い単位も落とさず、似たような成績だ。
絶対的に違う事はマサトシには、高校時代から付き合っている彼女がいる。
一方タカシは高校2年に別れてから、一人が続いている。
バイトのない放課後、二人は駅前の居酒屋にいた。
店内は数名の客で混んでいるが、満員というほどではなく、至る所で会話が花を咲かせている。
「タカは彼女作らないの?」
ビールを飲みながらマサトシは聞いてくる。飲むと一度は出る常套句だ。
「え?毎度言うけど、俺にできると思う??」
別に付き合うことに嫌悪感があるわけではない。
現実に以前は付き合っていたこともある。
「そういえば、ゼミの女子がお前のこと聞いてきたぞ、紹介してってさ笑」
笑いながらマサトシはビールを口に運ぶ。
「いや、俺は今はそういうのはいいんだよ。」
タカシは日本酒を飲みながら答えた。
「••、聞いたことなかったけどなんでそんなに拒むんだ?元カノでも引きずってるのか?」
少し真面目な顔をしてマサトシが聞いてきた。
「まぁ、そんなとこ。」
タカシは少し手元のぐいのみを見ながら答えた。
そう、あれは3年前の夏だった••。
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