1章
初投稿です。少しでも私の文で楽しんでいただけたら嬉しいです。
2月、曇天のひとけのない静かな住宅街沿いの公道を一人の青年が行く。
高校の制服の上に黒いダッフルコートを着て、リュックをしょい、ショルダーを握って弾むように歩いている。
よく見ると背は高く、中性的な顔立ちで、前髪を垂らした少し長めの髪を風になびかせている。
鼻歌を歌いながら時折笑みを零している。何かいいことがあったのだろうか。
僕、鈴村光月は少し前まで受験生だった。毎日毎日塾と家を往復する生活を送っていたがそれも今日で終わりだ。2年の浪人生を送り念願だった日本最難関のT大医学部に合格したのだ。
今日は塾の先生方に最後の挨拶をして来た。
いつも通っていた道だがとても清々しく感じるものだ。
僕は春から始まる大学生活を想像しては楽しみで胸が高揚していた。
家に帰宅しカギを開け入っていく。
光月の家の外観は外から見るとガラス面積が多く、白を基調としたシンプルで、よく光が通るような爽やかな家だ。
中に入るとひとけはなく、清潔で無機質に感じられる空間が広がる。
玄関の壁に張られたホワイトボードに2人のスケジュールが書いてある。
「今日母さんは7時帰りか。」
光月の両親は8歳の時に離婚していて、医療研究者である母親と一緒に福岡で暮らしていた。
光月は綺麗に靴を揃えてリビングへ続く廊下を歩いて行った。
同時刻、
人が賑わいを見せる街に、見上げるのが難しいほどの高層ビルが建つここは東京。
そのビルの高層階の一室。
30畳はあるリビングのカーテンは昼間にも関わらず半開きで薄暗く、床には物が散乱としている。
カーテンから差す光に照らされているのはイーゼルに立て掛けてあるキャンバス。
そこには苔むす小川の風景の油絵が描かれている。
そしてそのそばにあるソファで瞼の上に片腕をのせ仰向けで寝ている男。
ボサボサのウェーブのかかった髪に長身で、外に出ているか疑うほどの白い肌をしている。
「・・・っ。」
男の腕の下から涙が頬をつたう。
手には仲睦まじい様子で映る、2人の親子の写真があった。
どういう繋がりがあるのだろうか・・・?




