32.白鐘大聖堂へ
五日目の朝、ビリエラはようやく寝台の上で体を起こせるようになった。
白鐘熱は、医者が言った通りだった。最初の三日は、ビリエラはほとんど眠っていた。水を飲んでは眠り、薬を飲んでは眠り、薄い粥を二口食べてはまた眠った。
四日目に熱は下がったが、体にはまだ力が戻らなかった。五日目の朝になって、ようやくビリエラは椀を自分の手で持ち、マルタが作った粥を最後まで食べた。
ロザ夫人は、顔色はだいぶ戻ってきたと見ていた。
医者はビリエラの目元を見て、喉を診て、手首に指を当てた。診石は使わなかった。青い石を出すまでもない、という顔だった。
熱は下がっている。咳も軽い。食欲も戻りはじめている。だが、
今日一日は部屋で過ごすこと。
明日、熱が戻らなければ、移動してもよい。
ただし、長く歩かせないこと。
途中で休ませること。
できれば、次の宿まで行ったら数日は動かさないこと。
ラモンはその話を聞いて、腕組をして考え込んだ。
ラモンは、白鐘大聖堂まで行くだけなら可能だと判断した。
ただし、日帰りで戻るのはやめるべきだった。
その日の午後、村の司祭が見舞いに来た。
司祭はビリエラの回復を喜んだが、ラモンから事情を聞くと、すぐに日帰りは避けたほうがよいと考えた。白鐘大聖堂には、巡礼者や教会関係者を泊めるための宿坊がある。司祭の紹介状があれば、助祭であるビリエラと、その同行者たちは数日泊まれるはずだった。
司祭は、白鐘大聖堂へ宛てた紹介状を書いてくれた。
これにより、次の目的地は白鐘大聖堂と決まった。




