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怖恐 シーズン2(仮名)  作者: くきくん
序章 新たな恐怖
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0-2

「君たちわざわざ呼び出してすまなかったね。まあ、気楽にしてくれたらいいから。今日来てもらったんは・・・」


と、入ってくるなり席に着く前に話始めた。席に着くと続けて、


「実はパソコンのデータが盗まれたと被害届を出してくれたんやけど、そのデータが闇サイトのオークションに出品されたとの情報を京都府警から貰ったんや。」


京都府警はサイバー犯罪においてどこよりも力を入れてると聞いた事があった。


「正直な所データの盗難っちゅうケースはほとんどが泣き寝入りで、こういう風に情報が上がる事自体珍しい。」


「それがしの日頃の行いがええからや!ほんで、ブロマは戻ってきますんか?」


「それなんやけど、今京都府警が引き続き監視中で、闇サイトの管理者から出品者の情報を聞き出そうと動き出してるとこですわ。」


って、それやったら順だけで良かったんちゃうの?なんで俺らまで呼ばれる必要があるんや・・・。


「ちょっとお巡りさん!それ、ウチら必要?不要ちゃうの?順ちゃんのブロマとかどうでもええし・・・。」


「な、な、なんですと!?麻紀ちゃん、言ってええ事と悪い事があるんやで?」


「今のは言ってええ事や!」


「うぐっ・・・。」


さすがの順も、麻紀には勝てへんようや。


「まあまあ、本題はここからや。実は田代館を捜査してたら、こんなもんが出て来たんですわ。」


そう言って古びた紙切れを机に置いた。


「ちゃんと鑑識で必要なデータ収集は採取済みやから触ってもろてかまへんよ。君達には見る権利があると思うんや。」


俺らはその紙切れを手前に引き寄せた。


「イゲンジョウって何?」


麻紀が聞く。


「遺言状や!わざわざややこしい読み方せんでええねん・・・。」


「知ってますぅ!ちょっとボケてみただけやん!それくらい読めるわ!あほぅ!」


・・・怪しいけど、まあええわ。で?なんで遺言状なんか俺らに見せるんや。


「私、田代源蔵、妻文子には残念ながら跡取りがいない為、遺産は以下の条件を満たす者に財産の一部を相続させ、残りを会社の存続に充てる事とする。」


心が、遺言状を読み上げる。以下の条件ってなんや?すると、心が先を続けた。


「条件一、もし私と妻富子が他人に殺害された場合、その犯人を突き止めた者に対し、財産の一割を相続するものとする。尚、突き止めた者が警察官だった場合はこれにアタイしないものとする」


それにしても遺言状に、『もし殺害されたら』なんて普通は書かへんやろ。やっぱり自分達が狙われてる事は薄々気付いてたみたいやな・・・。


その後も心は一通り遺言状を音読してくれた。読み終えると今度は河野が口を開いた。


「まだ犯人は捕まってへんけど、迷宮入りやと思われてたこの事件は君らのお陰で、大きく進展したんや。まだ捜査中の事件やから詳しくは言えへんけど、事件解決に向けて全力で捜査中や。ついては、この遺言状なんやけど、科捜研からの回答で田代氏の書いた物に間違いはないそうや。念の為弁護士にも見せた所、ちゃんと遺言状としての効力もあるそうや。」


なんや、凄い事を想像して思わず唾を飲み込んだ。麻紀なんか、すでに目が潤んでソワソワし始めた。とは言え、ちょっと・・・いやだいぶ話が出来過ぎな気もする。


「それがしはブロマさえ戻って来たら、そんなんはどうでもええんやけどな。」


「どうでも良くないわ!あほか!いらん事言わんで黙っててくれるかな?外野は!」


いやいや、麻紀、外野では無いと思うで・・・。


「まあ、早い話が、その田代家の遺産の一部を俺達が貰えるかもしれへんって事やな。」


目は笑ってるように見えるけど至って冷静を装って話す心。それにしても凄い額になりそうな気がする。一割でも億超えたりする?もしかして・・・。あかん、ハンバーグのソースとかどうでも良くなってきたで!


と、麻紀がいきなり話の核心に触れる発言をする・・・。


「で、お巡りさん!そ、その田代家の遺産って、ど、ど、どのくらいあるん?」


心と俺の動きが止まった。人生で最高に耳を澄ませてると自分でもわかる。多分耳の穴5ミリくらい広がってるはずや!


「今わかってるんは・・・」


今わかってるんはなんや?もったいぶらんとさっさと言うてくれ!


「八・・・。」


キタ!キタ!キタ―――!八億か?八十億か?あかん、もう笑いが込み上げてくるわ!


「八万円や。一割やから八千円で四等分やから一人当たり二千円ってとこやな。ここから相続税・・・」


はあ?聞き間違いやんな?今なんて言うた?八?八なんて?仮にも霊園とか色々経営してたんやろ・・・。八万円?俺でも一ヶ月十六万くらいあるで!まあ、残業とか入ってやけど・・・。


「実はこれとは別に、もう一枚遺言状があったそうなんや。それは失踪当時に発見され、その内容は自分達に何かあった場合、会社存続の為・・・まで同じで、続けて会社存続が難しい場合は、社員及び使用人とその家族に分配と書かれてたそうで、失踪から七年後、遺体無き死亡という事で田代夫妻は法的に死亡扱いになり、会社も存続出来へんかったんで、社員や、同じく失踪から七年が経過して死亡扱いになった、社員二人と使用人三人のご遺族に分配相続されたそうや。」


「それやったら、なんでわざわざこんなんウチらに見せたん?もしかして嫌がらせ?」


「まあまあ、落ち着いて・・・。今回の捜査で、田代館の金庫から現金八万円とこの遺言状が発見されたんや。当時の八万円言うたらそこそこの額やったみたいやし、自宅や会社じゃない別荘に置いとく現金としては、そんなもんちゃうかったんかなぁ・・・。」


期待して損した気分や・・・。さすがに二千円は無いやろ。まあ、元々金目当てちゃうかったんやし、かまへんけど、麻紀は・・・多分・・・。


「順ちゃんのせいや!アンタが被害届なんか出すからウチらまで呼び出されて、こんな目に遭ったんや!こういうのたしか、生の蛇殺しって言うんや!」


言いません!蛇の生殺しやし、意味も生かさず殺さずやし・・・。


「それがしは、念には念を入れて被害届出しただけや!憂いあれば備え無しや!」


だから、逆や!おまえらは業界人か!備え無かったらあかんやろ!


「わざわざ有難う御座います。こいつらもまだあの出来事が頭から離れへんので、ピリピリしてますんや。他になんも無ければ今日はこれで帰りますけど・・・。」


さすがや、心。なんとくこの場を収拾しようとする発言、大人な対応や。


「まあ、まだ細かい点で色々、聞きたかったんやけど、君らの心理状態を理解してへんかったんはこちらのミスやし、今日はわざわざ呼び出してすまなかったね。事件は警察の威信にかけても解決するように全力で頑張るから、見守ってて下さい。」


河野が俺らに頭を下げると扉を開けてくれた。俺らも頭を下げると、階段を下りて警察署を後にした。

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