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はじめに
この物語は「怖恐 田代館の恐怖」の続編的な流れを汲んでおります。
俺の名前は木下 太一(キノシタ タイチ)。今は、バイトで生計を立ててる。と、言うても実家暮らしの独身。気楽なもんや。
実は先日奇妙な出来事に巻き込まれて、警察まで出動する大変な騒ぎになったんや。
今日はその事後処理っちゅうか、とにかく警察に呼び出されてこれから向かう所なんや。決して俺が悪い事した訳ちゃうんやけど、なんか呼び出されるのは嫌な感じや。
まあ、その出来事に関わった俺の友人の心と、その友人の順、それに俺の彼女の麻紀も呼び出されてるから、警察署で待ち合わせなんや。
なかなか警察署で待ち合わせなんて無いから、不思議な気分や。結局バイトは休む羽目になったけどな・・・。
一時に待ち合わせ、警察署までチャリで十分ちょっと、今は、十二時五十分・・・って、あかんやん!急がなやばい!
慌てて部屋を飛びだすと階段を駆け下りる。
「ドタバタうるさいわ!静かに下りられへんの!あんた何歳や!」
おかんが怒鳴っとる。けど、あんたの息子や、歳くらい覚えとけよ・・・。
急いでる俺はとりあえずおかんを無視して玄関へダッシュ。
「無視か。無視すんねんな?ええんか?無視してええんか?知らんで。今日のハンバーグ、ソース抜きやで?かまへんの?」
「わかったわかった!俺が悪かった!急いでるんや!すまん!」
「それが人に謝る態度か?謝る時は相手の目を見て誠心誠意・・・」
なんか喋ってるけど今は聞いてる暇はあらへんのや。すまん!おかん!でもソース抜きは勘弁や!ハンバーグにソース無かったら安物の合い挽き肉じゃキツいんや。
チャリに跨ると事故らん程度にダッシュした。警察署の敷地に入ると自転車置き場を探す・・・
「太一!あんた遅刻やで!ハンバーグソース抜きや!」
ブルータス・・・おまえもか。って、ちゃうわ!なんでおかんと一緒やねん!
「今、なんでおかんと一緒やねんって思ったんやろ?」
「ギクッ!」
「ギクッて声に出す人初めて見たわ!あんたのおかんからメール来たんや。驚いたやろ!」
そう言うてケラケラ笑う麻紀。隣には心と順の姿もあった。
「すまんすまん!体は起きてたんやけど、脳が寝てしもて、起き上がる事が出来へんかったんや!」
「言い訳はええから、さっさとチャリ置いてこいよ。」
「あいよ!」
チャリを停めると四人で警察署の建物に入っていった。順のオヤジは警視っちゅう事もあって、署員達と順は顔見知りや。まあ、順のオヤジは大阪府警本部の方に勤務してるからここにはおらへんねんけどな・・・。
ドラマのように『これは坊ちゃん!』いうような事は実際には無いみたいや。受付で事情を話すと二階に案内された。
老朽化した署内はお世辞にも綺麗とは言われへんけど、市民の為に命を張って毎日頑張ってる警官の為にも、もうそろそろ建て替えてもええんちゃうかと思う。
無駄な公共工事なんかに税金使うくらいやったら、全然ええやろ・・・。と、選挙にも行かへん俺にはそんな事言えた立場ちゃうんかもしれへんけどな。
二階に上がると第三会議室と書かれた部屋に通された。部屋に入ると長い机と椅子が対面に五脚ずつ、結構ええ加減な感じに並んでた。まだ誰もおらへん。
「すぐに担当の者が来ますので、お掛けになってお待ち下さい。」
それだけ言うと、受付の婦警さんは部屋を後にした。俺達はとりあえず席についた。
「それにしても、まさかニュースにまでなるとはなぁ・・・」
心が呟く。そう、今回呼ばれた件はニュース番組で報道されたんや。それもそのはず、俺らはあるメールをきっかけに、にわかには信じ難い出来事を体験する羽目になり、その結果白骨遺体を発見してもうたんや。それも迷宮入りした事件の被害者と思われる遺体・・・。
と、ノックも無く扉が開き、以前調書を取られた河野っちゅう警官が入って来た。




