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命の恩人③86

 


「王都が壊れたら困るんじゃないの?!」

 マドローナの目的は、侵略。私達の国そのものを欲しがっている。だから、過度な破壊は望んでいないはず。

「だぁかぁらぁ!大丈夫だって言ってるでしょ!」

 駄目だ。自信満々なサウィルンさんには、彼女の兄と時同様、何を言っても無駄みたい。


「大体、あんたが心配する必要無いじゃない?あんたは、今、ここで死ぬんだから」

「ーーっぅ」

 サウィルンは、小さな紅い宝石を取り出すと、キリアの顔の近くに置いた。


「ふふ。残念だねぇ。あの時、あの森で大人しく死んでたら、こんな目には合わなかったのにね。あんたには不幸が死ぬ程お似合いよ」


 あの時?あの場所で?家族に捨てられた森で、野垂れ死んでいれば良かった?

 ーーー馬鹿みたい。そんなハズ、絶対に無いのにね。


「お生憎様。私は、クラ兄さん、ジュン兄さん、ケイ先生、カトレア、アレンさん……皆に会えて、本当に幸せよ。私が不幸じゃなくて、残念だったね?」


 自信を持って言える。

 私は、生き延びた事に、感謝してる。あの森の中、たった1人で、孤独の中、私は死ぬんじゃない。皆と出会えて、今の私は、1人じゃなくなった。


「生意気ね!」

 ガンッと、顔を思いっ切り踏みつけられた。


「ふふ。まぁいいわ。最後の悪足掻きってやつよね。あー面白い!」

 何度も何度も踏みつけ、少し気が晴れたのか、サウィルンは顔から足を離した。

「冥土の土産に教えて上げる。この紅い宝石はね、昔、運良く、ラナン家が所有する土地から発掘されたの」

 ラナン家の祖先が、紅い宝石の貴重さに気付き、それを代々に渡って、自分達だけの物にしようと隠蔽し、悪事に使用してきた。

 魔力の無い者でも使用出来、1度使用すれば、痕跡を一切残さない。消える爆弾。


「どうする事も出来ないと思うでしょ?でもね、実はこの紅い宝石、熱に弱いの」

 ある程度の熱量を与えれば、紅い宝石は溶けてしまう。

「どう?悔しい?何とかなったかもしれないのに、何も出来なかったんだもの、悔しいよねー?所詮、ゴミ屑なんかに、ラナン家を裁けるはず無かったのよ!あははは!」

 ケタケタと笑いながら、私が絶望するであろう言葉を発言する。

「魔法で炎、出してみる?でもその前に、ゴミ屑のあんたが死ぬから、無駄だけど」


 言い終わると、サウィルンは私から距離を取った。

 気付いたら、私の体は縄で拘束されていて、周りに誰もいなくなっていた。


「さよならゴミ屑」

 ロケットペンダントに手を掛けるサウィルン。


「……っ」


 ああ。私ーーーこんな所で死ぬんだ。


 やり残した事がまだいっぱいある。

 まだ、アレンさんの仇をとっていない。クラ兄さんを助けに行けていない。カトレアをーーー最後まで守り切れていない。


 まだ、皆と、もっとずっと、生きたかった。


(死んで、また神様の所に行くのなら……今度は、やり直したいって、言ってみよう)


 生まれ変わるんじゃなくて、やり直す。

 そうして、皆を救うの。皆を、助けてみせる。

 私に何か特別な力をくれたのなら、神様、お願いです……!私に、皆を助けさせてよ!!!






「ーーーあれ?」


 死を覚悟して目を閉じたのに、次に目を開けたら、さっきまでいた場所とは、全く違う場所にいた。ここはどこ?

 周りにいたサウィルンも、兵士達も、紅い爆弾も、いなくなっている。

 まるで、私だけが瞬間移動したみたい。

「ここはーー」

 どこか、見覚えのある景色。

「お城…?でも何か、雰囲気がちょっと違うような…」

 王都のお城の、中庭だと思うのに、少し、いつもとは違う。


 てかそもそも、何?何で?!さっきまで私は、他国もといサウィルンさんに殺されかけてたのに、何でこんな所にいるの?!


 とりあえず、拘束を解こうと、風の魔法を唱え、縄を切る。

 起き上がって周りをよく見渡しても、少し雰囲気は違うが、やっぱり、王都の城にある中庭に思えた。


「何コレ…もしかして、夢…とか?」

 全部夢なら、どれだけ良いか。いや、出来るだけ悪夢は見たくないけど、全てが現実じゃないなら、もうそれで良い!

「痛たた!痛い!」

 試しに頬っぺを抓ってみたが、痛みがあった。てか、さっきサウィルンさんに足蹴にされた時にの痛みも、残ってる。夢ってこんなにリアルなものなの?


 意味が分からずそのまま困惑していると、ガサッと、中庭にある花壇の隙間から、1人の子供が現れて、目が合った。

 金髪の短い髪に茶色の瞳。何処と無く、幼い頃のカトレアを連想させた。


「……お姉さんは、何者ですか?」

 あ。回復魔法してなかった。今の私の顔は、サウィルンに踏みつけられて血塗れのはず。幼い子には怖いし、不審に思うよね。

 急いで回復魔法をかけ、傷を癒すと、少年は驚いて、目をキラキラさせた。

「凄いですね!それは魔法ですか?」

 まだ4歳程にしか見えないのに、凄いしっかりしてる。


「うん。私、魔法使いなの」

「魔法使い…!凄いですね。初めてお会いしました。貴女は、父様が呼び寄せた、凄腕の魔法使いなのでしょうか?」

「父様?君のお父さんは、ここで働いてるんだ」

 お城に仕えている執事とか料理人とかの息子さんかな?でも魔法使いを呼び寄せた。だと、城の中でもお偉いさんの息子なのかな?


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