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事例00 10 years ago
10年前のある日、それは唐突に現れた。
あるものは街中の段差に、まるで自然に穿たれた洞窟かのように。あるものは山林のただ中に、場違いな未来を暗示する無機質な建造物として。またあるものは存在しないはずの地下へと続く、終わりの見えない階段として。通い慣れた通学路の曲がり角に、あるいは、昨日まで子供たちが遊んでいた公園の砂場に。場所も形態も、一切の法則性などなく世界の各地に日常という皮を剥ぎ取るようにしてその『入り口』は開いた。
突如として現れた余りに異質で得体の知れない入り口に対し、多くの人々はただ恐れ遠巻きに眺めるばかりであった。
しかし、いつの時代、いかなる場所にも好奇心のままに飛び込んでいく者たちがいる。そして知識という剣を持たず、法という盾も持たぬまま飛び込んでいった彼らの大多数は、二度と帰ってくることはなかった。
だが、それでも一部の者たちは帰ってきた、人智を超えた力をその身に宿して。そして彼らはこう言った。
――これは『ダンジョン』だった――と。
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