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ファインド・アイズ (探し屋と女子高生)  作者: てんまる99
満月姫編

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商売繁盛

新章スタートです。

楽しんで頂ければ幸いです

「只今、入店まで1時間待ちとなっておりまーす」


俺は店先に並ぶ客達に対して声をかけた。

客達はそれを聞くと、頷きながら店沿いに並んだ列の最後尾に向う。


ここは、俺のバイト先の繁華街にある裏寂れた喫茶店‥のはずだった。

1週間ほど前までは。


「譲さん、店長オーナーが呼んでまーす」

店のドアを開き、一人の少女が俺に声を掛けた。

彼女は花咲萌はなさきもえ、先日入った新しいバイト店員だ。

近所のお嬢様学校に通う高校3年生。

緩やかにウエーブした長髪の彼女はおっとりとした優しげに話す。

長身でグラマーなため、年齢よりも大人びて見え、ゆったりとした雰囲気に包容力すら感じる。

名前で呼んでほしいとの本人からの希望で、 店員の皆は“もえ”と呼んでいた。



「おお、あの娘が‥」

「入店前に見れてラッキー」

彼女が現れると、並んでいる客達からどよめきが湧いた。


「?」

萌はそれに戸惑いながらもペコリ、とお辞儀をした。

実は、この娘がこの騒動の発端だった。


彼女がバイトに入ったのは半月程前。

今まで男の店員しか居なかったので店には女子の制服が無かった。

そこで、業者に制服を手配することになった。

その際に折角だからと、萌の希望を聴いた結果、フリル付きの可愛いデザインの制服が選ばれたのだ。


ゆったりとした雰囲気の萌が、可愛い制服で給仕してくれる喫茶店。

しかも珈琲は店長オーナーの淹れる絶品。


数日で店は評判になり、客が増えていった。

更に‥‥。


「譲、ちょっとこっちも手伝って!」

店の奥から涼花が呼ぶ。

「あ、神島さんついでにこちらを‥」

カウンターから風香ちゃんがメニューを差し出した。


先週、俺と萌が働いている様子を見ると、涼花と風香ちゃんもバイトを申し込んで来た。

どうやら対抗意識を刺激されたらしい。

折からの萌の人気で手が足りなくなっていた店長オーナーは快く了解したのだが‥。


「いらっしゃいませ。お席にご案内致します」

可愛い制服に身を包みツインテール、ハキハキとした接客の涼花。


「はい、珈琲とケーキのセットを二つ。かしこまりました」

同じく、可愛い制服に黒髪、しとやかな雰囲気の風香ちゃん。



更に2人、美少女の店員が増えた事で更に評判を呼び、来客が爆発的に増えてしまった。

2人を採用したのが完全に裏目にでた格好だった。


み、店がメイド喫茶になってしまった‥。


俺としては以前の、ゆったりと珈琲を飲み、思い思いに時間を過ごす店の方が良かったのだが‥。


とは言え、お陰で店長オーナーの絶品珈琲が世間に知られたのは少し嬉しい。


「神島さん、こちらを3番にお願いします」

キッチンからトレーを差し出すのはこれも半月程前に入ったバイトの舟倉悟ふなくらさとるさん。

こちらはキッチン専門の裏方として腕を振るっていた。

悟さんの料理はどれも美味しく、これだけで店が開けるレベル。

店長オーナーも、料理は悟さんに全面的に任せる事にしたほどだ。


これだけ好材料が揃えば、繁盛しない方がおかしい。

ここ数日は、店の脇の路上に入店待ちの列ができてしまい、不本意だが滞在時間を制限せざるを得ない状況だった。


そんな評判店になった店の俺の仕事はというと‥。


「申し訳有りません、個人の連絡先等は‥」

風香ちゃんが客に絡まれていた。


「えー、いいじゃん、連絡先くらい‥」

勘違いしたこういう輩の対応が主になってくる。


「お客様、迷惑行為はご遠慮下さい」

そう言えば、ほとんどの客は諦める。

が‥。


「何だよ、俺が迷惑だって言うのか? 失礼な店員だなっ!」

声を荒げ、開き直って喚く人間もたまには居るものだ。


「はい。その様な大声を上げる行為は迷惑ですのでお止め下さい」

「ふざけるなっ!」

いきなり殴りかかってくる。

俺は身じろぎもせずにそれを受けた。


「痛っっ!」

悲鳴を上げたのは俺ではない。

俺は微動だにしていない。


一方、客は殴った手を押さえていた。

恐らく、コンクリート壁を殴った様な衝撃だろう。

「お、お前、いったい何者‥」

男の顔に困惑の表情が広がる。

もしかすると、俺をロボットとでも勘違いしたかも知れない。


「店員に暴力を振るわれるのは困ります。退店されるか、でなければ警察を呼びますが?」

俺はあくまで落ち着いた口調で、静かに言った。


「わ、分かった‥」

慌てて出て行こうとする客に、俺は言った。

「お代金は800円となります。払わないと、無銭飲食ですよ」

客は慌ててレジで精算して店を出て行った。


傍らに立っていた風香ちゃんが耳元で囁いた。

「気の制御、随分上手に成りましたね」

「毎日練習しているからな」

糸ですら気を流す事で鋼鉄の強さになる。

殴られそうな箇所に瞬間的に気を集めれば、あの程度でダメージを受けるはずも無かった。


「さ、仕事、仕事」

俺はトレーを受け取りにカウンターへと向かった。

モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

また、連載形式でアップしますので読み逃し無いよう、お気に入り登録も宜しくです。

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