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episode3 俺がするべき任務

 3人が俺を外に連れ出すと、敵の軍隊が隊列を組んで並んでいた。

 そして奴らの目線の先には木の台が一つ置かれていた。

 俺はその台に乗せられ、縄を解かれ鎖で手をしっかりと繋がれてしまった。

 その上150人以上の隊員がいるため、逃げることは確実に無理だろう。


 ヒソヒソと声が聞こえていたので見渡してみると、隊員の中に今の状況を理解していない者がいるようだった。

 それを察した隊長は、台の隣に移動し話し始める。


「こいつは、我らの機密情報を茂みに隠れて聞いていた愚か者だ!

 今からお前ら全員の前でこいつの尋問を行う!」


 この場にいる者全員に聞こえる力強い声により、隊員達は理解したと訴えかけるように静かになる。

 だが、1人の隊員が口を開く。


「尋問くらい、バッル隊長だけでやればいいんじゃないですか〜?」


 それはその通りなのだが、このおじさん隊長の名がバッルという新事実しか頭に入ってこなかった。

 すると、バッルも負けじと口を開く。


「お前らにこの男の怯える姿を見せてやりたいと思った、ただそれだけだ!」


 強い口調で怒鳴ると、さっきまで尋問のやり方に不満だった隊員が一瞬にして黙り込んだ。

 立場の違いをわからされたような目を、その隊員はしていた。

 隊長の準備ができたのか、隊長はさっきまでの怒鳴り声がなかったかのように、落ち着いた声で問いかける。


「最初に聞く。お前はフォルトエスポワールのメンバ ーか?」


 今日この世界に来たばかりなので、そんなチーム名は当たり前だが知らない。

 だが、ローヴやルイーヒが所属しているところだということは想像がついた。


「俺はそんな軍団に所属していないし、そもそも知ら ないんですが...」


 フォルトなんなたらのメンバーではないので、もちろん否定した。

 すると、俺は力が抜けた声を発していた。


「....へ???」


 右肩に衝撃と痛みが体全体を走り抜ける。

 何が起こったのか理解が追いつかなかったのだが、 数秒後なんとか理解した。

 俺の右肩に向けて隊長が魔法攻撃をしてきたのだ。


「次嘘をついたら、足に向けて放つからな......」


 この状況でもなぜか落ち着いて話すバッルに恐怖すら感じかけていた。

 というか、事実を言っただけでこうなるのは理不尽そのものだ。

 そして魔法を放った右腕を下ろし、質問を続ける。


「なぜ、あの茂みに隠れていたのだ?」


 予想していた質問が1つやってきた。


「街を探して歩いていたところに、光らしきものが見えたので、近づいてみたらそこの2人がいて...」


 話を続けていたのに、予告していた通り足に向けて魔法が放たれた。

 なんとか痛みを耐え、意識だけでも失わないように努力した。


「どれだけ嘘をつけば気が済むのだ?お前、本当に死にたいのか?」


 少しイラつき気味に話し始めている。

 こいつに事実を言ったところで、何の意味もない。 もうどうすることもできないのか...?

 そう思っていると、バッルの持っていた通信機から音が鳴り響いた。

 バッルは尋問を一旦ストップした。

そして、通信機越しに話し声が聞こえてきていた。


「バッル...尋問の調子はどうだ?」

 通信機越しの声は落ち着いていて、数々の試練を乗り越えてきたような悪役の雰囲気を感じた。


「ペラメント様でしたか。はい。何も問題ありませ ん。と言いたいのですが、1つだけ...」


 声の主はペラメントだった。

 そしてバッルは顔色1つ変えず、俺が嘘をつき続けていることを話した。


「そうか。なら、そいつを処刑しろ。」


 すごい言葉が聞こえてきた気がするが、気のせいだろうか。

 いや、気のせいであってくれ。

 そう願っているとペラメントは話を続ける。


「ずっと嘘をついている奴の話を聞き続けたところで時間の無駄だ。

 こっちにだって計画を行う時間がある。わかったら早く殺せ!」


 処刑の2文字は気のせいではなかった。

 そして、通信機越しなのにまるでこの場にいるように聞こえるた声は、絶望を表現しているようだった。

 はい、とバッルは反応し会話を終える。そして顔を俺に向けて、話し始める。


「だそうだ。残念だったな。お前はここで終わりのようだ。」


 焦りはあった。

 だがそれ以上に、アルヌスの期待を裏切ってしまう目前にいる自分に1番イラついていた。

 こんなところで終わってたまるかと、なんとか鎖が外れないか奮闘したが、意味はなかった。

 それのどこが面白かったのかはわからないが、隊員達から笑いが生まれた。


「諦めろ。お前はここで死ぬ。そういう運命だったん だよ。」


 バッルが何か言っているが、俺は諦めない。

 絶対に死んでたまるものか、と思いながら鎖と戦う。

 だがその瞬間、バッルが俺の腹を1発蹴り飛ばし、その後顔を2発殴っきた。

 そして伝え忘れたことがあると言い話し始める。


「気を失っている時、悪夢を見ただろ。

 あれは俺の能力の1つだ。

 人生で記憶に残っている出来事や人を夢で再現し、 情報を得ることができる。」


 蹴られ殴られ、気を失いかけていた俺はあの夢を見せていたのがバッルだということを知り、気を失うどころか、意識がはっきりとしてきた。

 そんな中でもバッルは話を続ける。


「あの少女との会話、見ていて楽しかったぞ。

 お前の必死の言葉で戻ってしまったのが、残念だっ たがな。

 てか、自分の人生捨てて人の命を助けるのは嬉しいのか?達成感はあったのか?」


『黙れ〜〜〜!!!!!!!!!!』


 こんな声を出したのは、人生で初めてだろう。

 だが、声を発したところでもう意味はない。


「生意気な奴はさっさと死ぬがいい。

 せっかくだし、本気で人生を終わらせてやるか。」

 

バッルは魔法を放つ体制に入った。

 俺はここで死ぬのか…………………


「悪を、打ち払って……!」


 背中を押されるようにどこからか夢の中の女子児童の声が聞こえてきた。

 そして、走馬灯というものを初めて体験した瞬間だった。


「...俺はこんなところで、死んではいられない! 

 悪を倒し異世界の人々を救う、異世界防衛団ハヤブ サの任務を遂行すると、あのとき誓ったんだ!!」


 そう叫んだ瞬間、俺の体から赤いオーラが出ていることに気づいた。

 後ろには黄色の光が真っ直ぐに山の奥から俺を指していたが、それは気にしなかった。

 あと、いつのまにか鎖が手から外れていたのだ。

 それだけでなく、攻撃されて負傷していた肩や足が、いつの間にか治っていた。

 それに気づいたのと同時に、バッルからの魔法が放たれた。

 今日最大限の威力だろう。だが、その魔法が俺に直撃することはなかった。

 俺は無意識に右手を前にかざし、魔法を吸収していたのだ。

 そして5秒後、倍にした魔法を手から放ち返す。

バッルは間一髪避けたのだが、後ろで待機していた隊員達に直撃した。

 バッルは倒れた隊員を見て混乱しているようだった。

 そしてその場にいる者全員に退避命令を出した。  だが、今の俺に逃すつもりなどない。

 爪を針のように長く伸ばして、逃げ惑うハエ達を切り刻んでいく。

 150以上いたハエ達は、半分以上が血を流して倒れていくのだった。


—————————————————————————


その頃•••

 ローヴ達は光の指す方向に向かうため、夜道を駆けていた。


「ローヴ様!本当にその機械の光が指す方向に、誘拐された者がいるのですか!?」


 隊員の1人がローヴに問いかける。

 ローヴは、川を流れていたアンデレヴェルトの光が、ノーヴィスを指していたことに気がついていた。

 そのため、光っている方向に彼がいることはほぼ確信していたのだ。

 そのことを伝え終わった瞬間、光が指す方向と同じ場所に、赤いオーラと普通ではない切り刻むような音が響いていることに気づいた。


「あのオーラは.....まさか、あのずぶ濡れ男が出しているのか?とにかく急ぐぞ!!」

 血が流れる戦場までの距離は、約1キロに迫っていた。

—————————————————————————


 この場にいる者の半分は駆除した。あとはバッルと隊員の生き残りだけだった。

 そいつらに近づいていくと、背中に魔法が当たったかのような衝撃を感じた。

 だが、あまりにも弱すぎた。

 右肩や足の魔法の時に放たれた魔法が嘘のようだ。


「さっきまではゲラゲラ笑ってたのに、立場が逆転すると表情が変わるんだな。とても面白いぞ!」


 そう話しながら、背中を狙って攻撃した愚か者を勢いよく切り裂いた。

 よく見ると焚き火のときにいた隊員の1人だったのだが、そんなこと気にしない。


 バッルや生き残った隊員は、完全に負けを確信していた。

 中には仲間になりたいと願う者もいたが、今の俺が助けることはない。


 俺は左手を前にかざし、隊員達の死骸を吸収し、威力に変えた。そして俺は唱える。


《”オーバーシュナイデンデスハッセス”!》


 その攻撃は、憎しみの全てが集まったかのような姿であり、バッル達を同じ目に遭わせようとするかの如く突っ込んでいった。

 彼らは防御することもせず、攻撃は直撃した.............筈だった。

 人の形をした黒い何かが召喚されたように奴らの前に現れ、攻撃を耐えていた。

 するとバッルが反応する。

「ペラメント様!?どうして...?」


 まさかの奴があのペラメントだった。ボスがわざわざこの場に来るのは予想外だった。

 目は赤く、髪は黒く、装備も黒のマントが夜風に吹かれていて、姿はまさに悪の象徴だった。

 そして、バッルに対して話し始める。


「1回の処刑でこんなにも時間がかかるとは思っていな かったからな。そして来てみたらこのザマだ。」


 声はものすごくイケボだった。

 背中からは、その場にいる者を黙らせるような黒いオーラを放っている。

 

 赤いオーラと黒いオーラ、そんな2つが入り混じる戦場は、暗い真夜中の森を呼び起こすような雰囲気に包まれていたのだった。


予想より投稿が遅れてしまいました、、

必殺技名って、考えるの難しいですよね。

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