表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/183

水の都ウォルベア×聖職者協会×真の闇……6

 リアナ王国軍は圧倒的な数で偽リアナ王国軍(聖職者協会)を即座に駆逐(くちく)する。


 戦闘開始直後、偽リアナ王国軍の兵達は自身が聖職者協会の人間である事実を口にする事で戦闘を回避しようとしていた。


「俺達が誰だか、わかってるのか! そんな事をすれば、直ぐに戦闘が再開されるぞ!」


 脅しを掛けるように強気な口調でアストゥトへと喋り掛ける聖職者協会の男。


 本来ならば、争うべきでない事実をアストゥトも十分に理解していた。


 しかし、結論、理解、常識、戦場では全てが狂い出す。

 生き残る為、必死に声をあげる男達。


「俺達は……!」


 男達の発しようとした瞬間、キャトルフとアストゥトは同時に発言をする。


「お前達は、リアナ王国軍だ!」

「あなた達はリアナ王国軍ですよ!」


 二人の言葉に男達は動揺する。


「な、何を言ってやがる!」


 後退りする男達は即座に二人の発言を理解し、表情を青ざめさせた。


 キャトルフとアストゥトは、村人に気づかれないように、男達をリアナ王国軍の軍人として、処理すると口にしたのだ。


 男達は慌てて自分達の正体を明かそうとする。その瞬間、シシリアが先手を打つ。


 村人から見えぬように魔石(アーティファクト)の力を使い巨大な土壁(どへき)と呼ばれる土の分厚い壁を作り出す。


 同時にメル=カートルが無数に所持している魔石(アーティファクト)の中から無音の魔石(アーティファクト)を選び出すと即座に発動させる。


「あはは、凄く興味深いですよねぇ? これから、外から見えない音のない空間で何が始まるんですかねぇ……怖いですよねぇ?」


 悪戯に微笑むメル。その声は男達の耳に響く事はない。


 無音の世界は男達に尋常でない恐怖を与えると、一人の男が駆け出していく。


 音は無くとも、一人が駆け出せば、 皆が慌てて走り出す。


 逃げ場の潜在しない空間の中で出口を探す男達。


「哀れだな……人間とは、本当に五感を失うと直ぐに冷静さを失うな」


 クスクスと笑うセラ=シェルム。


「さて、黒猫の団、獣戦士特攻隊、副隊長──セラ=シェルム。楽しく遊ばせて貰います!」


 我慢できず、武器を構え、駆け出すセラ。


 其処からは、一方的な虐殺が行われる。外に知られる事は無く、男達は誰にも見つかることのない、グリムの魔石(アーティファクト)へと吸収されたのであった。


 全てが終わると、黒猫の団とリアナ王国軍は互いに向かい合う。


「改めて、語ろうじゃないか、アルベルム=キャトルフ団長」


 そう口にするアストゥトに対してキャトルフは面倒くさそう頭を軽く掻いてみせる。


「お前らと話す事は無いんだが?」


「そっちに無くとも、此方には話さねばならない事があるんだよ。アルベルム=キャトルフ団長……」


 一瞬で空気が変化し、互いの間に緊張感が高まる。


「たく、面倒くさい奴だ、話は聞いてやる。だが、場所を変えるぞ!」


「無論だ、せっかくお膳立てしたんだからな、村人に我々が争っていると見せたくないからな」


 互いに敵でありながら、互いに笑みを浮かべる両者。


 村人達に村へと戻すと、黒猫の団とリアナ王国軍は森の中に歩いていく。


 森の中心部に辿り着くまで、終始無言のままだった両者が互いに別れると、陣形を組み、アストゥトの部下が整列する。


 黒猫の団はそれに対して、リラックスしたように軽く距離を取る。


 アストゥトは一歩前に出ると、口を開く。


「話をする前に、リアナ王国軍は今、新たな危機に直面している。ウォルベアの五神の巫女が決断に至ったと報告が来た。意味がわかるか?」


 五神という言葉にキャトルフは無関心であったが、グリムとモディカは即座に反応を見せたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ