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否定する者×鬼の心×生命の息吹……4

………………

…………

……


 キャトルフはそんな事を思い出しながら、焚き火の炎を見つめと、食い入るように視線を向けるアルガノとシシリアに向かって微笑みを浮かべると、記憶をなくし不安そうな表情を浮かべるカルミナにも同様に笑って見せた。


 ゆっくりと深呼吸をするとキャトルフは喋り出した。


「カルミナは俺の義理の姉だ。母親が違うが、幼い頃はずっと一緒に過ごした大切な家族なんだよ」


 予想外の返答にアルガノが凍りつく。


「……な、な、な……マ、マスター、ボクは死んだ方がいいよね……マスターの御姉さんに、あんな態度……最低だ……」


「落ち着いてください、隊長。確かに色々と言い過ぎましたが、ヤキモチは誰にでもありますから」


 本気でそう語るアルガノをシシリアが慰める。


 そんな時、カルミナがアルガノの服を軽く引っ張る。


「あ、あの、私は貴女が嫌いじゃないよ。寧ろ、仲良くなりたい……」


 照れくさそうにそう口にするカルミナの姿にアルガノが号泣する。


 賑やかに笑顔が生まれた事実に、キャトルフはホッと胸を撫で下ろす。


 夜が薄明かりに包まれ、太陽が夜を飲み込み、朝がやってくる。


 軽い仮眠程度の睡眠時間を取った黒猫の団のメンバーは【シスイ】の住民を連れ、第四の関所である【ウォルベア】へと進んでいく。


 【シスイ】と【ウォルベア】を結ぶ道中、最初こそ、森林と鬱蒼とした林が広がり、微かに開けた道を進んでいく。


 二日ほどの距離を進むと、次第に小さな村の煙突から上がる白い煙と黄金色の農道が姿を現す。


 【ウォルベア】までの宿場町は複数存在し、その内の一つ【コルト村】が見えてくる。


 シスイの住民の中には、このコルト村を故郷に持つ者も多く、逃げられぬシスイの闇から解放されたのだと改めて、涙を流す者もいた。


「やっと最初の村か」


 キャトルフがそう呟くと同時に子供達が純粋な黄金色の小麦畑を見て、はしゃぎだす。


 畑の先には小さな小屋があり、其処からコルト村の住民が不思議そうにキャトルフ達を見つめていた。


 多少の警戒をするも、先に農夫がキャトルフ達に声を掛ける。


「アンタ等は誰だね、シスイの方からこんなに人が訪れる何て、久しくみなんだが?」


 農夫の問いにキャトルフは素直に返答する。


「俺達は“黒猫の団”と言う傭兵です。他の者はシスイから逃げてきた住民なんです」


 農夫は驚いたような表情を二度浮かべた。


 一度目は、キャトルフ達が傭兵であると伝えた瞬間であり、二度目は、シスイから逃げてきた住民と伝えた瞬間であった。


「なんと、シスイで何があったんじゃ?」


 農夫の質問に対して、どう答えるべきか、キャトルフが一瞬、沈黙を置くと子供達が農夫に駆け寄り、声をあげた。


「凄いんだよ! 悪い領主をやっつけてくれたの」


「うんうん。あのね、色んな人が泣いてたのに誰も助けてくれなくて、でもね。助けてくれたの」


「僕達を此処まで守ってくれたんだよ!」


 子供達からすれば、黒猫の団は英雄であり、地獄のような生活を強いられていたシスイで見せたキャトルフ達の活躍は救いであり、希望の光に見えていたのだ。

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