四十話目
四十話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
朝食をとるために昨日と同じ場所に向かう、扉を開ければ机の向こう側、扉から真正面の位置に魔王よろしく城戸さんは座っており、言っていた通りで朝食はちゃんと準備されていた。
そしてそれを食べる際に笠木さんからも一言二言文句を言われたが、謝ると優しく許してくれた。
冬花ちゃんは俺のことなんて興味はなく相変わらず食事一番でした。
だが、そこがいいのである。
そこから昨日同様さっくりとすべきことを済ませ、またいつもの部屋へと戻ってくる、そして各々座っていた椅子を集めると、今後の方針を決めていくこととなった。
「それでは明日からの日常部の活動についてですけど…何かしたいこととかあります?」
「うーん…」
城戸さんが意見を求めるが誰一人として、口を開かない。
ていうか日常部なんだから、素直に日常送ればいいと思うんですけど…。
…とは言ってはいけない、せっかく城戸さんがワクワクして作った部活だ、無下にはできないだろう。
すると、新崎がひらめいた様子で口を開いた。
「じゃあお悩み解決でもしていくか?」
「それは…いいとは思うけど…部活の名前とは関係ないような…」
驚きの早さで笠木さんが反論が入り、新崎はガクッと項垂れる。
ちなみに言うと、お悩み相談がメインの物語は基本序盤はまともに解決していくが、途中からその部活内でお悩みが発生し、なんかめんどくさいことになるのでこちらとしてもそうならないのは嬉しい。
「別に…特に何もしなくても…めんどくさい…」
「あ、俺もそれ賛成です」
「…むぅ」
冬花ちゃんがボソッと言った言葉にここぞとばかりに便乗をしていく、だが城戸さんはそのことがあまり気に入らない様子。
まぁ…天下の冬花ちゃんが言ったとはいえ資産的に天下取ってそうなこの人には関係ない。
「せっかくの部活なんですからもっと楽しいことをしたいのですけど」
「…でも、一応名前は日常部だろ?それが正しいような気もしないか?」
新崎が冬花ちゃんの意見を後押しする。
それを見て、笠木さんも
「いいんじゃないかな」
と続く。
一度こういう流れが出来てしまうと後はもうどうしようもない、川の流れと同じで流れていく方向を変えていくにはとんでもないものを用意しない限り無理なのである。
「…陽斗が言うのでしたら、まぁ」
「よし!じゃあ決まりだな!」
超身内部活になるということが予想外の早さで決まり、この後何をするかを聞いてみた。
どうやらここで今日までの合宿は終わりらしく、片付けをして、送迎用の車の準備が終わるまで待機ということらしい。
と、なると昨日のうちに終わらせておいた俺はもちろん暇なわけで、
…大体いつも暇してる気がするけど。
まあ、そういうことなので皆そそくさと部屋に帰っていき、一人になるかと思いきや、残念、トラップカード、城戸ブロックが発動し、絶対に一人にさせまいと、腕を掴まれ引きずられ、またさっきのバックが置いてある部屋まで戻ってきた。
「何故そこまで俺を一人にさせたくないんだ…」
新崎の片付けを見ながら、ベットに横たわり小雨となった雨をBGMに、そう一言言ってみる。
「さぁ、灯のことが好きとか?」
「……そりゃないな、ていうかどうしてそうなる」
鈍感もここまで来ればもうわざとに思えてくる。
結婚うんぬん真正面から目を見て言われ、どうして新崎がそこの考えに辿り着くのか…これがわからない。
記憶が無くなる病気でもお持ちで?
「気にかけてくれるってのはもしかしたらそういうことだろ?」
…それは多分違う。
自分に被害があるようなやつがいればそりゃもちろん誰だって自分の身のために気にかけはする。
それが恋やら愛というなら、今頃ジャイアンとのび太の間に新しい展開が待っていることとなるだろう。
ドラえもんはさしずめ恋のキューピットといったところか。
「その考えでいったら、お前のために引っ越してきた笠木さん、どうなるんだろうな」
少し、皮肉を混ぜ新崎に言ってみる、すると新崎はズボンを畳む手を止め、こちらを見てきた。
「あいつは…違うよ」
「そうか?あんな人前で堂々と嫁発言したんだぞ」
その発言のせいで俺はこいつにより確かなものを抱き、新崎も校内で目立つ存在となってしまった。
優しさだけであそこまで思いきったことをする人はいないだろう。
「あれは……まぁいいか、あれはな俺の親が秋葉に言った最後の言葉なんだよ」
「へっ?」
新崎の顔が少し、暗くなる。
「出掛ける前に家にいた秋葉に親が陽斗を頼んだよって言って、それで今もあんな感じ」
伝えたいことはもう言ったのか、新崎はまた片付けを始める。
結構な地雷を踏んでしまい、唖然としてしまう。
気まずくなった空気は俺にはどうすることもなくただ、
「悪かった」
としか言えなかった。
新崎はそれに軽く返すだけで責めることもいつものように軽くやめてくれと返すこともしなかった。
自分の推測通り、物語の中で話している誰も彼もがその言葉に意味がある、迂闊に振ってはいけないの話がちゃんとあるのだと、お前にはそんなことをしていい資格はないのだと、そうまざまざと見せてくれている気がした。
新崎が自分から伝えてくれたその事と、うっかり聞き出してしまったこの事、
やはり自分にはこの差は分からない、だが明らかに何かあるのだろう…。
新崎の片付けが終わり、またいつもの調子に戻るまで、ただただ俺は雨が降り続けている外を見つめているだけだった。
主人公怖ぇよ…これあれでしょ?気に入らなかったら出番どころかそいつが物語から消されるんでしょ?
怖ぇよ…昨日のあれより怖いじゃん…。
「ここともおさらばだなー!」
車の準備が終わり、扉を開けると新崎が大声で急にそう叫んだ。
それに続くように開けっ放しの扉から見える内装を感慨深く皆見ている。
…なのでとりあえず全然ろくな思い出もなく、なんか居ただけだった俺もこの空気に乗って、振り返る。
ただのシャンデリアと階段だよな…。
これと言って何かこう、特に新崎たちのようなしんみりとした感じになるものは一切としてなく、金持ちの現実を見せられているだけである。
ついでにさっきから生ぬるい風が頬を伝ってきて少々気持ち悪いしで、正直車でゆっくりしたいです…
「…そうですわね、まさかここに友達を呼んで泊まるなんて…ふふっ」
「色々あったけど、明日からも頑張ろうねっ!」
「………うん」
「えっ…あーはい…ね大変でしたよね…はい…」
何だよその一言言っていくやつは…答えないと間違い感が半端なくて答えちゃったじゃないですか…。
自分の捻り出した空気ぶち壊しの発言に戸惑いを抱いて、恥ずかしさを隠すために雨にあたりながらもそそくさと車に向かう。
「おいっ灯待てよー!
ほらっみんなも行くぞ!」
「えぇ!」
「うんっ!」
「……」
冬花ちゃんは新崎を見て、柔らかい笑顔で無言でこくりと
頷いた。
なんで俺が車に向かうのを追いかけるだけで、そんな青春してる感じになるんだよ…。
青春謳歌してますオーラを真正面から受け、嫌になりながら執事さんに車の扉を開けてもらい中に乗る。
行きと同じ場所に座ると追いかけて来てた新崎達も乗車してくる。
そしてこれまた行きと同じ場所に座り終わると、新崎が声を上げた。
「よし!それじゃあ明日から日常部頑張るぞー!」
「「おー!」」
「お、おー?」
「…くぁ」
この流れをガン無視してあくびする冬花ちゃんまじぱないっす。
まぁ、ともあれ明日から本当に楽しい楽しい(皮肉)部活の始まりである。
動き出した車は、勢いよく発進し、広すぎる庭を走り出す。
雨はまだ降り続いていた。




