片付け
三十四話目
誤字・脱字があったら申し訳ありません
一年生を見送った後、
気づけばすっかりと顔の熱さが消えており、
目的を無事果たすことができた。
あの生意気な一年生は、
まぁ…あいつとはいずれもっと深く関わるときが来ると思うので今詮索したりする
必要はないだろう。
主人公と長く話したやつは
基本的に後々関わることになる、当たり前だね。
「んじゃ、俺はそろそろ戻るけど陽斗はどうする?」
「あぁ…大丈夫かな…まぁ、うん、俺も戻るぞ」
そんなに逃げてきてから時間は経っていないが
目的を達成した今、
無闇に時間を潰す必要はない…はず。
気にしてたらまた…何か…あれだぞ。
恥ずかしいぞ。
ていうか昔の恋の思い出が
ろくなもんじゃないから何か…
こう女子と一緒のとことか茶化されると
やっぱ恥ずかしい……乙女かよ。
「…灯、お前大丈夫か?顔少し赤いぞ」
「ん、あー、…大丈夫」
「そうか、体調とか悪いんだったら、
俺に言ってくれていいんだぞ?」
「だから大丈夫だって、ほら止まんないで歩け」
新崎の前を歩き顔を
見られないようにする。
何故だろう…今の俺、
ヒロインみたいなことしてる…
全然嬉しくねぇ…
「本当か…?まぁお前が言うんなら信じるけど……」
「あんがと」
振り返らずに返事をする、
それを聞いた新崎が「あぁ」と軽い返事をすると俺の隣まで少し小走りで来た。
新崎くんはこうやって好感度を
上げるんですねぇ。
人を心配してそこに立て続けに信じてるなどのキュンときそうな言葉を言う、
俺がやったら、何いってんのこいつ
で終わるぞこれ。
新崎の凄さをまたひとつ知ってしまった…
「あ、おかえり~」
俺たちが戻ってきたことに気づいた矢波先輩は
こちらに向かって腕をブンブンと振っている、
そしてその先輩の周りには女子全員が
集合しており、
テーブルにはドーナツやら
アイスやらのスイーツが。
ガールズトーク的な
何かをしていたことが分かる。
僕知ってるよ?
女の子がたくさん集まったらガールズトークするんでしょ?華やかなこと話してるんでしょ?
なおボーイズトークは基本的に
ろくでもないこと話している模様。
「おかえり~、いや~さっきはなんかゴメンね?春が何か色々言っちゃって」
俺たちが席につくと矢波先輩が少し前までの
照れは何処へやら、元気に話しかけてくれた。
そこに適当に相づちを打っていると
満足したのか戻ってまたガールズトーク
らしきものを始めだした。
普通に会話の内容が聞ける距離なため、
なにか言われるんじゃないかと
結構ドキドキしている。
女の子の陰口は怖いって言うのを聞いたこと
あるし。なお男は…しらね。
「暇だなぁ…」
ボーッと窓の外にある景色を眺めている新崎が
呟いた。先程、会場に行ったときに時間もちゃんと確認しておいたのでその時間がくるまでは暇である、ましてやそういうときに使う暇潰しも特には持ってきていない、
新崎が暇してしまうのもわかる。
俺もそうだし。スマホくんを昨日充電
しておけば良かったと今更ながら
少し後悔してしまった。
「じゃ、じゃあ…しりとりでも…するか?」
無理矢理捻り出した言葉がまるで小学生が
言いそうな内容だったんだが。
まぁ、こういうときに場を盛り上げさせるようなことが言えてたのなら俺は今頃ここにはおらず、お友だちと仲良く遊んでいたであろう。
「あ、いいなそれ、じゃあいくぞ?しりとりのりからでりんご」
適当に言った言葉が以外にも新崎にとっては
良かったらしく外を眺めるのをやめこちらを
見てくる、だが俺としては本当に適当に言っただけなのでこのあとの展開を何一つとして
考えてはおらずなにも考えずに口から出てきた
言葉は
「ごはん」
これから始まるであろう長い戦いを終わらせる
言葉だった。
「…しりとりやめよう」
新崎がりんごと言ったときの楽しそうなテンションはどこにいったのだろうか、
その一言を言うとまた手元にある飲み物を
飲みながら外を見始めた。
…ほんと、ゴメン。
高校生がしりとりで満足するなんて
知らなかったんだ…
ましてや俺全然しりとり好きじゃないんだ…
昔、ちっちゃい頃やったときにずっと す だけで返されたことがあって以来、
俺はしりとりが嫌いなんだ…
「…にーにゃん達、暇だったら僕たちのところ、くる?」
少し気まずい空気が流れていることに
気づいてくれたのか矢波先輩から助け船が。
だがその船に乗ってしまったら先程と
同じように質問攻めを喰らったりして
大変なことになりそうな気がする、新崎が。
そしてその後なんやかんや飛び火して
こっちにも被害が出そうなので俺は遠慮しておくことにする。
「俺はまぁ…遠慮しておきます」
「そっか、気が変わったりしたらいつでも僕に言ってくれていいからね?」
「え、あ、はい、ありがとうございます」
「うん!」
少し前の新崎みたいなことを言う矢波先輩、
だが先程と違うのは男ではなく女子であること、だからからなのか俺もさっきより少し嬉しい
気持ちが湧いてきた。
男って単純だね…。
その後も矢波先輩からの支援を受け、
そのファッションショーが始まる時間少し前
まで経った。
「えっと陽斗と、灯くん?このあとの予定なんだけど私達で先に決めちゃってるんだ、えっと、大丈夫だったかなっ?」
「…俺の勝ちだな陽斗よ」
「…マジかぁ」
「なんの話ですの?」
「こっちの話」
「冷たいですわよ陽斗ぉ…」
「…ごめんごめん、それより…
冬花、つねらないでくれ、お願いだ、
むっちゃ痛いから」
「……むぅ」
「…?そんなことより、さっ!今からそこに向かうから、ほら準備準備っ!」
笠木さんが全員に伝わるように少し声を
大きくして言うと、
先輩たち含めみんなが各々に片付けをし始めた。
俺も黙々と片付けをしているともう
準備が終わったのか先輩コンビが近寄ってきた。
「ねぇねぇ、にーにゃん、ほんとにさっきの 勝ち ってどういう意味なの?」
「わ、私も気になる」
「あー…さっき陽斗と出掛けてたときにちょっと賭け事を」
「む、お金とかだったら先輩として言うけど駄目だよ」
「うんうん、駄目、だからね」
奢ってもらうというのは結果的にお金だから…
どうしよう。
もしここで嘘をついたとしても嘘発見機、
嘘発見人?の
桜丘先輩がいるから多分バレる。
ここは多分…素直に言った方が
良いんじゃなんじゃなかろうか。
「まぁ、その、結果的にはお金関係かなぁ…と」
「……絶対駄目だから」
「…はい」
新崎良かったね、
こうなったのもきっと主人公補正ってやつが
悪いんだ。




