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拝啓 死んでしまった悪役令嬢様  作者: 七月なのか


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10 神への最後の手紙

シャルロッテ様お久しぶりです。

私は王城で元気にやっています。今日は手紙を受け取ってくださって、とっても嬉しいです。

といっても、お墓に入れるお手紙なので、シャルロッテ様が受け取りたくなくても受け取るしかないんですけどね。ふふ。


シャルロッテ様にお手紙をお渡しできるなんて久しぶりで、とても幸せな気持ちで筆を執っております。

シャルロッテ様に拾ってもらったばかりのころは、文字を覚える練習だと言って、何度も手紙を送り合いましたよね。とても幸せでした。


いただいたお手紙は、全部私の宝物です。時々読み返しては当時を思い返しているんですよ。


シャルロッテ様に手紙を送るのは、この手紙が最後になってしまうので、少し長くなりますがお話ししたいことを書かせてもらいますね。


私は今、王城で暮らしています。王城での暮らしは慣れないことも多いのですが、以前にシャルロッテ様が過ごしていた場所だと思うとなんだかとても・・・特別な場所に思えてきます。


シャルロッテ様は私とはじめて会ったときのことを覚えていますか?

私は朝日を浴びる度に思い出しています。


シャルロッテ様と出会ったのも夜の闇から朝焼けに変わった頃の時間でしたね。教会の困った人たちから私が逃げているときに、シャルロッテ様が助けてくださいました。


あのときからずっと、シャルロッテ様は私の神様です。

私は確かに教会で育ちましたが助けてもくれない神様より、身近にいて助けてくれる人のほうが、よっぽど信仰するに値すると思いません?

シャルロッテ様なら、ご利益も多そうですしね。

でも、シャルロッテ様を神と呼んだ時の願いはかなえてくださいませんでしたね。

ずっと一緒にいてくださいってお願いしたのに。

まだ私も幼くて世の中のことがわかっていなかったのです。

子供のわがままだと思ってどうぞお許しくださいね。


子供のころ、私は神聖力がうまく使えなくて、周囲の人間を傷つけてばかりいました。

神聖力を暴走させて、シャルロッテ様を何度も傷つけてしまいましたね。


シャルロッテ様を傷つけるような力を持った自分に、消えてしまいたいと思うたび、シャルロッテ様は「私の役に立っているよ」と声をかけてくださいましたね。役に立っていると言われても、とてもじゃないですけれど、「じゃあ、それでいいか」なんて、今思い返しても思えません。シャルロッテ様を傷つけてしまったことを、なかったことにはできませんから。

私たちの間にはつり合いが取れていないと言っても、「いつか返してもらうよ」なんて軽口を言いながら美しい赤を流してらっしゃいました。そのお姿に私はどれほどしびれるような恍惚とした気持ちになっていたことかシャルロッテ様でもお分かりになることは出来ないでしょうね。


シャルロッテ様は、神聖力という力を詳らかにしてみたいという気持ちからの言葉だとおっしゃっていましたけれど……私は、いつも心が満たされておりました。

思えば、シャルロッテ様と一緒にいられた幼いころが、一番幸せだったのかもしれません。


学院に通うようになってからは、距離を置かれてしまいましたね。事情は分かっていました。

分かっていましたけれど……どれほど悲しかったことか。

少し長くなってしまいましたね。

あまりお手紙の束が厚くなって、不審に思われて改められたりしたら困ってしまうので、そろそろお別れにします。


シャルロッテ様とずっと、ずっと一緒に隣にいたかったです。

心の底から想っています。あら、ごめんなさい、恨み言じゃないのですよ。


でも、シャルロッテ様に言われたとおりにします。


シャルロッテ様の素晴らしさを話すのではなく悪しざまに言う者たち

シャルロッテ様のご両親に毒を盛ったお家の人

シャルロッテ様の義理姉に目をつけた教会の人たち

その全てを黙認していた王家の人たち

シャルロッテ様の婚約者などという栄誉に預かってもまだ足りぬ愚か者

ちゃんとシャルロッテ様を困らせた分だけ神罰が下るように致します。


シャルロッテ様にいい報告が出来るようにがんばりますね。


私はシャルロッテ様を愛しています。


シャルロッテ様のお言葉を胸に留めておくことができて、幸せです。


私、ちゃんとやります。


いただいた名前の通りに。

リリーベルとして。


お手紙を書いていて思ったのですが

シャルロッテ様、と手紙に書くの、楽しいですね。


お名前を書くだけで、私の気持ちは踊ります。


シャルロッテ様、ともう書くことが、この手紙を最後になくなることが少し寂しいです。


それでは。


またお会いできるのを楽しみにしております。


親愛なるシャルロッテ様。


シャルロッテ様。


シャルロッテ様。


愛しています。


これからも、ずっと。


リリーベルより。


愛をこめて。

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