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追放されたクラフター、敵の命を対価にする禁忌の力で成り上がる  作者: 秋月心文


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1章最終話:ダンジョンにて…

さっそく、皇城付近のダンジョンに向かう事になった。

ダンジョンに入り、皇太子がしくじって、トラップ部屋に踏み込む。

何してるんだか…。

ザコ敵とはいえ、かなりの数の敵に囲まれた。


俺は特殊なスキルが使える剣と特殊なスキルが使える盾を使ってアッサリとやっつけて見せた。

「すごい力だな、それは、お前のスキルなのか?」

「違いますよ、この剣と、この盾がスゴイだけです。」


皇太子パーティの自称聖職者の女が言った。

「確かに、あなたからは、何のスキルも感じられないわね。」

「はい、わたしには、何のスキルも御座いません。」

「その剣と盾、どこで手にいれたの?。」


自分で作ったとは言いたくなかったので、とりあえず、適当にウソをでっちあげてみた。

「この国の国境付近に大きな砂漠が御座いますでしょう?。」

「ザミ砂漠ね。」

「はい、そこを彷徨っていた時に、偶然発見したのです。」

「なるほど…」

(信じてくれたようだ。ウソだけどな…。)

「わたし自身は非力で殿下の足元にも及びません。」

「その剣は、俺が使っても、その力が発揮出来るのか?。」

「はい」

(俺が思念で遠隔操作すればな…。)


「試しに使ってみられますか?。この剣を…。」

「いいのか?。」


皇太子が下衆な表情でニヤリと笑いながら、俺の申し出に喰いついてきた。


剣を貸し、皇太子が剣を振り下ろすタイミングで遠隔でスキルを発動してみせた。

「おぉ、スゴイ剣だな。」


皇太子はご満悦だ。

「でしょう?。剣がスゴイだけで、わたしなぞ、何の力も御座いません。」


皇太子は更により下衆な表情は浮かべて言う。

「盾も貸してもらえるか?。」


「それは、困ります。これが無くなったら、わたしは、このダンジョンの一番弱い敵にも殺されてしまいます。」

とても困ったという素振りをしてみせた。

(これで、騙されてくれるといいのだけど…。)


「大丈夫だ。その間は、俺達が守るから…。」


そう言いながら、皇太子はニヤニヤした笑みを隠しきれない。

(どうみてもウソにしか見えない…。)


「本当ですね?。頼みますよ。」


皇太子の言葉が100%ウソだと わかっていたが、盾を貸した。


次の敵の攻撃を皇太子が盾で受けたタイミングに合わせて遠隔でスキルを発動してみせた。

「おぉ、この盾もスゴイな。」

「次は、お前自身の実力もみてみたい。」

「私は、このダンジョンの一番弱い敵でも、アッサリとやられてしまいます。」


「大丈夫だ。危ないと思ったら、俺達が助けるから…。」

皇太子はニヤリと笑っている。

(ウソだな…。)


「せめて、入り口付近の一番弱い敵相手でお願いします。」

(これで、騙されてくれるといいのだけど…。)


「いいだろう。」

皇太子は少し不満げだが、俺の頼みを聞き入れ、パーティの移動スキルを使って、ダンジョンの入り口まで戻った。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


この時、俺は ある細工をしたが それは、内緒だ。


入り口付近に移動してすぐに、このダンジョンで一番弱いと言われる「はぐれゴブリン」に遭遇した。

武器もなく、魔法も、スキルも使って来ない、必ずソロで行動している最弱の敵だ。

俺は、この「はぐれゴブリン」に、よろよろと向かっていき、ボコボコにやられた。

「あぅ・・」「ぐぁ・・・」と声を出すも、皇太子たちは助けない。


予想通り、皇太子も、パーティメンバーも誰一人助けに来ない。

俺はダンジョンの入り口付近で、無残に死亡した。

もう、元の姿なんか、わからないくらいグチャグチャに…。


死亡後、グチャグチャになった、皇太子が俺の死体(の服の中)をまさぐっている。

そして、死体に金貨が1枚も残っていない事を不満そうにしていた。

(どうやら、ここで、金貨まで回収する予定だったらしい。それで大盤振る舞いだったのね。)


その日、皇太子は皇城に帰り、一部始終を報告した。

聖剣も、聖なる盾も、手に入った事、そして、それを持っていたメンバが死亡した事。


皇帝は言う。

「そうだな…。国葬にして、皇太子が彼の仇を取るというのを国中に喧伝すべきだな。」


翌日、国葬が行われた。

村から連れて来られた人たちは、やっと解放されたらしい。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


さて、俺はというと、今後、どうしようかと考えていた。

なんで死んでいないの?と疑問に思う人もいるかもしれないので、説明しよう…。

実は、パーティの移動スキルを使って、ダンジョンの入り口まで戻った際に、俺は分身と入れ替わっていた。


俺のスキルは、聖剣を使える事でも、聖なる盾を使える事でもない。

俺のスキルは「タイカクラフト」。

戦闘用スキルが重用されるこの国では、スキルの名前から「使えない」と言われて、誰にも見向きされず地味に生活してきた。


そしてコツコツといろいろ試していったところ「自分を殺害しようという気持ちを浴びている状態なら」

その敵視を「対価タイカ」に「自分に都合の良いモノを自由に生み出す(クラフト)」スキルだという事がわかった。実際には「敵視」を対価にしていたのではなく、敵視している相手の「命」を対価にしていたのだが、主人公は、まだ、その事に気づいていないのだ、それは、後々、知る事になろうだろう。


だから、俺は、それを使って「自分だけが発動出来る強力スキルがついた武器や防具」を作り出せた。

周りには、それが、聖剣や、聖なる盾に見えたのだろう。作る際に、装飾に凝りすぎたのが失敗だったかもしれない。


これからは、見た目は地味なものにしよう。


話がそれてしまったが、俺は「タイカクラフト」のスキルで俺の「分身」も生み出す事が出来る。

自分の体が欠損しても、欠けた部位に相当する肉塊があれば、スキルで元通り、元以上の肉体で再生出来る。


囮の肉体は、魂が入ってないので、自律行動は出来ず、ただ、ふらふらと歩く事しか出来ないし、

会話も出来ないのが難点だが、囮としては十分に役立った。


勝手に、ゴブリンに突っ込んでいき、殴打されてくれた。


ちなみに、村を助けた時点から、俺は、変装マスクを被っていた。ちなみに このマスクにはスキルを無効化する効果を持たせている。

この顔は、この国では有名になりすぎたから、別の顔のマスクを作って行動する事にしよう。

もちろん、新しいマスクにもスキルを無効化する効果を付与した。


国葬の人混みの中を進みながら、俺はとぼけて聞いた。

「何があったんですか?。」

「聖剣使い様が、お亡くなりになったらしい。毎回、困ったものだねぇ。」

(毎回?)

「前にも同じような事があったのですか?。」

「こういう事は、これで六度目だよ。皇帝が皇太子だった頃にも確か十回くらいあったねぇ。」

(毎回、今回のような事をしていたのかな?。皇帝が皇太子の頃もって…どんだけ腐った国なんだか…。)

「すごい魔法や武器の使い手が現れる度に、皇太子のパーティに参加するんだけど…。なぜか、みんな亡くなってしまうのさ。」


たぶん、皇太子か、パーティメンバが、その魔法を習得したり、その武器を奪ったら使い捨てになる…みたいな構図なのだろう。

魔法やスキルを奪うメンバとかがいたのかもしれない。

(そういうスキルを無効化するマスク被ってたけどな…。)


この国の皇太子が、とことんクズだという事はわかった。いや、カース帝国だから、カスというべきか。

まずは、とりあえず、この国から脱出しよう。でも、どこに行こうか…。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


俺がそんな事を考えている頃、皇城では…。


皇太子パーティメンバの自称聖職者の女が言った。

「今回は、珍しい子だったわね。

 私の「鑑定」を使っても、あの子からは、何のスキルも感じられなかったわ。

 スキルなしなんて、相当な雑魚よね。」


自称弓使いの女が言った。

「あら、やっぱりそうだったのね。私の「スキル強奪」を使っても、何のスキルも奪えなかったもの。」


魔法使い風の女も言った。

「私の「魔法強奪」を使っても、何の魔法も奪えなかったわ。」


そして、皇太子も言った。

「でも、すごいスキルを発動出来る聖剣と、すごいスキルを発動出来る盾が手に入っただけでも収穫あっただろ。」

「「「そうね。」」」


彼らは笑った。


彼らは、知らない…。

その剣も、その盾も、俺にしか使えないシロモノだという事を…。


彼らは、知らない…。

俺のマスクに念のため、付与しておいた「スキルを無効化する効果」で

「鑑定」も「スキル強奪」も「魔法強奪」も無効化されていた事に…。


おそらく彼らは、今まで、そうして、様々な力や装備を手に入れてきたのだろう。

そして、おそらく、それが国民の為に使われる事もないのだろう。

俺の剣と盾を過信して、敵に突っ込んでくれれば良かったのだが…。

彼らの事だ、自分たちの欲以外で戦いに行く事はしないだろう。

だから、彼らが真実に気づく事は永遠に来ないかもしれない。

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