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いつから  作者: 仙道 神明


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5/11

大人になった

いつからだろう。

正月に、実家へ帰らなくなったのは。


大学に入って、一人暮らしを始めた。

最初の正月は、迷わず帰った。帰省ラッシュに揉まれて、駅で家族と合流して、いつもと同じこたつに入る。それが当たり前だと思っていた。


二年目の正月、帰らなかった。

理由はいくつかあった。

バイトがあるとか、課題が残っているとか、交通費が高いとか。どれも嘘じゃない。ただ、どれも決定打でもなかった。


「今回は帰らない」と連絡すると、

母は少し間を置いて「そう」とだけ言った。

それ以上、理由を聞かれることはなかった。


年が明ける瞬間、アパートの窓から花火の音が聞こえた。

テレビでは、知らない芸人が騒いでいる。

実家にいれば、決まった番組を見て、決まった時間に年越しそばを食べていたはずだった。


帰らない正月は、思ったより静かだった。

自由だとも感じたし、少しだけ落ち着かなかった。


実家は、変わらずそこにある。

帰ろうと思えば、帰れる距離だ。

それでも、「帰らない」という選択をしたことが、

自分の中で何かをはっきりさせてしまった気がした。


子供でいる時間は、終わるときに知らせてくれない。

気づいたときには、もう次の場所に立っている。


正月が終わって、また日常が始まる。

アパートの小さな台所で湯を沸かしながら、

少しだけ背伸びをした気分になった。


帰らなかった正月は、

大人になった最初の年だったのかもしれない。


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