確証
21.
駅前へ予約したケーキを取りに行った後は、依弦のお父さんが帰らないらしいので依弦の家で囁かにパーティをする為に戻った。
「寒いね。」
「うん、寒いね。」
この言葉に意味があるのかは分からない。
寒々とした空の下で絡み合う依弦の手は、凄く冷たくて、凄く小さかった。
小さな手を優しく、強く握りしめて、愛しいようで、消えてしまうようなそんな、恐怖心、不安がよぎっていく。
そうか、僕は、依弦が居なくなるかもしれない、僕の前から消えるかもしれない、そう思っているのだろう。
普段は寒くて、外にずっと居ようなんて考えもしないし、できるなら家の中にずっと居たい。
「でも、君となら寒いけれど暖かい冬も悪くないか。」
「なんか言った?」
「何も言ってないよ。」
ーーーーー
恋心、愛なんて確証はない。
今はこんなに愛おしいと思えるのに、いつかは依弦を嫌ったり、愛おしいと感じなくなったり、憎いと感じるかもしれない。
ずっと僕が依弦を好きで居る確証はない。
例え、今がどれだけ幸せで相手を想っていても。
依弦が僕のことを好きになってくれるかもしれないし、好きになってくれないかもしれない。
依弦がいつか消えてしまうかもしれないし、ずっも僕の横に在り続けてくれるかもしれない。
全ての事に確証なんて得れないから、僕は今を未来に繋げる為にこの時、依弦を噛み締めて大事にしていかなきゃいけないのかもしれない。
僕からのプレゼントに大喜びしてはしゃぐ依弦を見ながら、僕はそんな事をぽつりと考えていた。
「そのバレッタ、気に入ってくれて良かった。」
「すっっごく可愛い!!嬉しい・・・。」
「どうしたの、泣かないで。」
「私、今まで、誰かとクリスマス過ごした事なんて無かったの。プレゼントをもらった記憶も、誰かとケーキを食べた記憶もない。毎年親は居なくて、暗い部屋でいつも1人でケーキを食べてたの、だから、幸せで・・・。ずっと夢に魅てた・・・。」
僕の家は毎年、母さんがケーキを作ってくれて、皆で騒ぎながらクリスマスを過ごしていた。
それがどの家庭でも同じだと思ってきたから、そういう現実がある事を知って、申し訳ないような、いたたまれない気持ちになった。
「でも!」
「うん?」
「これからは、毎年毎年、僕が一緒に過ごすよ。もう寂しく1人で過ごさせない。今年も、来年も再来年も、僕が依弦と一緒にクリスマスを過ごしたい。1人になんてもうしないから。」
「・・・うん、うん、うん・・・!!!」
依弦は涙を吹いて、ニカッと笑ってみせた。
僕はずっと依弦に笑っててほしい。
そして、依弦を笑顔をさせるのも僕だけがいい。
そうなるといい。
「あのね、不格好かもしれないけど、これ・・・。」
「わぁ、マフラー?依弦の手作り!?」
「うん、初めて作ってみた・・・って、待って!」
「どうしたの?」
受け取ったマフラーを僕の手から奪い取った。
ちょっと頬を染めてワナワナと口を震わせている。
「蒼月、マフラー、そういえば持ってる、よね・・・。」
「あぁ、あれか。」
「うわぁぁぁぁん!!!!」
マフラーを抱きしめたまま子供みたいに泣きじゃくる依弦にもう、笑みしかこぼれなかった。
「あのマフラー、そろそろ買い換えようと思ってたんだ、ありがとう。凄く嬉しいから依弦のマフラー使いたい。貰ってもいい?」
コクリと頷いてオドオドとマフラーを差し出された。
深い青色のマフラーだった。
所々荒いところがあるけれど、それすらも愛おしくなる。
「私、今までで1番幸せで最高のクリスマスだわ。」
「僕も、1番幸せだよ。」




