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蓮華草  作者: 山猫
第二章 あの時の話
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109/145

109・甦り

痛い 熱い イタイ 暑い

頭が割れそうに傷む 身体が動かない 動かせない

俺はどうしたんだっけか

あぁそうか 確か神龍と戦っていて・・・


身体全体に感じる浮遊感

そうか、俺は負けたのか  


さっきまでの光景を思い出す

限界を超えて身体強化を重ねた自分 耐えきれなかった身体 保てなくなっていた自我

それでも

負けたのだ 俺は


考えてみればここまで完膚無きに負けたのは初めてかもしれない

生まれ持った人外の力 恐れられた自分

はは・・・だけど

楽しかった 仲間もいっぱい出来たし 信頼してくれるヤツも 信頼できるヤツ等もいっぱい出来た

悪くない人生だった

・・・


だけど

後悔してない訳じゃない

シャルを 四神を 黄ちゃんを・・・残してきてしまった

それにもしアイツらが負けてしまったら・・・

考えるだけでもゾッとする


それに

アイツは俺を侮りやがった 見下しやがった バカにしやがった

絶対に許さねぇ 

だが

やりかえそうにも 身体がもう・・・情けねぇ

クソ・・・ん? 何だ

これは・・・



そう思っていた所にいきなり感じる暖かい温もり

それをずっと感じていた浮遊感が収まり代わりに体全体を包み込むように感じる

そうかとうとうお迎えが来たのか・・・

その暖かと共に柔らかいものが自身を包む。それが何とも言えず心地良い

そうか・・・これが天国ってやつなのか、ふっ、俺みたいなヤツでも天国に行けるんだな

しかしこの感触、何と心地良いモノか 

どうせ天国に来たなら存分に堪能しよう


ポンヨポンヨ 揉み揉み揉みモミモミモミ・・・何と言う柔らかさだ!これがこの世の桃源郷か!あっ、この世ではない、あの世か

こんな気持ちいいモノがあるのならあの世って所も悪くないな!グヘヘヘ

ポンヨポンヨモミモミモミモミ



「だぁ!クソっ!気が付いたんならさっさと起きるんだよ変態!!いつまでアタシの胸を揉んでいるのさね!」


ズガンッ


「っ~~~~~!!」


気持ち良く気持ちいいモノを堪能していた所に頭部に感じる激痛。余りの痛さに思わず頭を抱えて飛び起きてしまった。・・・ってアレ?

いきなり現世に戻されたような痛みに閉じていた目をゆっくり開く。一瞬、辺りの明るさに目が眩むが目を細め視界が徐々に戻ってくるのを大人しく待つ。そしてぼやけた視界が晴れていき、その目に映ったのは


「アレ?シャルじゃねぇか・・・ん?神龍はどうなったんだ?四神は?黄ちゃんは?・・・戦いはどうなったんだ?」


意識を失う前と変わらない姿のシャルが居た。だがその表情はジールの記憶に残っている先程のシャルより明らかに疲弊していた


「はぁ・・・まぁいいさね。アタシの胸を好きなだけ触ったのは貸しにしといてあげるよ。それよりアンタ、もう傷は大丈夫なのかい?」


大きなため息を吐きジールを呆れた顔で見てくるシャル。その表情は確実に神龍を倒して安心した時のソレでは無い。どちらかと言うと全てを諦め投げ出したかのような・・・そんな顔に見える


「傷?あぁ~たぶん大丈夫なんじゃないのか?何とも無いみたいだし・・・」


「そうかい・・・流石、不死鳥の羽根ってとこさね。それを使うのも最後になるかもしれないけどね」


「え?そうか、朱雀が治してくれたのか・・・って最後ってどういう意味だ?」


シャルに言われ自分の身体をグルグルと見回すジール。所々服が破れており、何とも際どい部分が見え隠れしているが、男の際どい部分なんて今の状況では何の需要も無い

それよりもシャルの言った言葉が気になる

そのジールの疑問に答えるかのようにシャルはクイっと顎を上にやり、見てみろと言わんばかりにジールの視線を空へと促した


「ん?何だってんだよ・・・って何だアレ?やけに眩しいがどうなって・・・ってはぁあああ!!?」


ジールの目に映ったのは未だ神龍に向かってブレスを吐き続けている四神達の姿

だがその姿は最早、消えかかっておりジールから見ればその存在自体が希薄になって見えた


「お、おいシャル!一体どうなって・・・」


慌ててシャルに質問を促そうとするジール。だがふと四神達が相対しているであろう神龍の方へ視線を移すと何となくだが現状が理解できた


「・・・そうか。アイツ等、かなり無理をしたんだな。・・・よし、シャル。まだ何とか魔力は残っているみたいだしちょっと行ってくるわ」


「はいはい、とっとと行っておいで。このままケリもつけずに終わるなんてアタシも嫌だからね・・・それよりまだ魔力が残ってるなんて、アンタは正真正銘のバケモンさね」


「はっ!言ってくれるじゃねぇか。だがまぁ・・・今はそのセリフも悪くないな」


そう言いながら再び空へと飛び立つジール。向かう先は当然四神達の居る所

現状を何となく理解したジール

そしてこの戦いに終止符を打つべく飛び立った


スマートに格好良く決めたジール

だが飛び立ったジールを下から見ていたシャルはポツリ


「・・・服が破れてブラブラが見えてんのさね。ったく色々締まってないヤツだよ」


台無しであった

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