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2.魔力コントロール

「ふーん。ソーマの住んでいたところでは名前と名字が逆なのね」

「そう。確かに変わってるのかもしれないなあ」

俺はリーエルの隣で自然体のまま体内の魔力を感じようとする。

それは練習の成果か直ぐに認識できるようになり、体外から漏れることは無くなった。

そのお蔭で少し気分も体調もいい。

魔力と言うのは生体エネルギーの一つみたいだから当然のことなのかもしれないけど。


リーエルに連れられたのはとある建物であった。

看板があるにはあったのだがいかんせんぼろっちくて名前がかすんでいて見えなかった。

しかし建物は石造りでしっかりとしている。

その建物の中でリーエルは魔力のコントロールの仕方を教えてくれていた。

リーエルが教えるのが上手いのか、それとも少しは才能があったのか教わってから物の十数分で魔力を認識した(というか目に見えていたから非常に分かりやすかった)俺は最低限魔力をコントロールするのに時間を使っていたのだがこれも目に見えるお蔭か三十分もあれば漏れる量を抑えることができた。

魔力をコントロールするのは結構楽しい。

エネルギーを自分の好きなような動かせるというのはファンタジー染みたものがあるし、ちょっとした暇つぶしにもなるしいい訓練にもなりそうだ。

とりあえず訓練も兼ねて体外に出さないようにしておこう。


「よしよし。まあ、基礎中の基礎だからこのくらいはしてくれないとね」

「基礎……か。ありがとうリーエル」

異世界でこれから暮らしていくのならば魔力のコントロールは誰かに教わる必要があっただろう。

それを一日目で教わることができたのは運がいいとしか言いようがない。

だからこの出会いを大切にしないとな。


「別にいいわ。対して時間も取られてないし」

「でも、何かお礼をさせてくれないか。お金はあまり持ってないけど」

というより無一文である。

今日の夕飯と寝床をどうすればいいんだろうか。

そんな問題もあるがまずはリーエルにお礼をしないとな。


「わかった。じゃあ買い物に付き合ってもわうわ。荷物持ちはよろしく」

「任された」

俺は頷いてリーエルと共に建物から出た。




リーエルに連れられて都市の中を歩きまわる。

都市は北に草原があり、南に海と港がある。

故に北は農地を中心をとした生活区であり、南は貿易と商売の中心区。

西は小さな山と森があるため空気がよく貴族やら位の高い人間が住む区画で東が一般市民の暮らす場所。

そして都市の中央にある遺跡が、迷宮という名のダンジョンであるらしい。


「え?都市の中に迷宮があるって危険じゃないのか?」

「う~ん。普通の迷宮ならそうなんだけど迷宮都市は昼でも夜でも冒険者が出入りするから魔物が出ることはまず無いし、出たとしても兵の詰所も直ぐそばにあるからそう言った危ないことが起きるのは4年に一度くらいね。そのくらいになると迷宮から大量に魔物が溢れることがあるんだけどそれも迷宮が丘にあるお蔭で居住区にまで抑え込めることができてるわ」

オリンピックのような周期で決まった時期に大災厄という名のモンスターが溢れる事件が起きるようだ。

そのときは都市の人間総出で事態を迅速に収束させるために立ち向かうらしい。


「大災厄は危険だけど、有名どころが一堂に集結するからすごい見ものよ。大災厄で活躍する凄腕の冒険者見たさに都市に来る命知らずもいるくらいだから」

「それは……なんか言葉にできない凄さだ」

異世界の戦いとなると魔法もあるだろうからカラフルな戦場になりそうだな。


「でもこの迷宮のほとんどがドラゴンだから都市の人間だって戦うのにも素材を集めるのにも必死よ。お金になるからね」

そう、この都市の目玉はドラゴンがいる迷宮なのだ。

ゆえにこの都市では年がら年中ドラゴンの素材を回収することができるし、世界の凄腕の冒険者も集まってくる。

さらにはお金も大量に落ちるし、港もあるから珍しい物も多く市場に出回っているのだ。


「ソーマも迷宮目当てできたんでしょう?」

もちろん異世界にきたばかりの俺が目的などある訳がない。

でもその話を聞けば興味が出るのは当たり前で、自分が歩く道も決まったようなものだ。

「ああ、俺も冒険者になりにきたんだ」

俺はリーエルの問に強く頷いた。




リーエルの買い物はそう長くは続かなかった。

食料品のみをその辺のお店でぱぱっと買ったくらいで悩む時間も無かったため本当に直ぐに終わってしまった。

ほとんどが俺に案内がてら都市の説明をしてくれたのだ。

本当にいい女の子である。

一度先ほどの建物まで戻り、倉庫らしき場所に食材を置くとリーエルと再び街に出る。

「さてと、新人ソーマくんの登録をしに行かないとね」

「え、どこに?」

思わず真顔で聞いてしまった俺だがリーエルは冗談だと思ったようだ。

「決まってるでしょ。ギルドよ」


ギルドとはなんでも屋というイメージがあったがこの迷宮都市のギルドは迷宮のためのギルドである。

そのため、ここに集められる情報は迷宮関連の情報であり、依頼も迷宮に関することだけだ。

そのギルドは迷宮の丘近くにある大きめの建物である。


「ようこそいらっしゃいました。本日のご用件は?」

ハキハキと喋る受付嬢に促されてリーエルは俺を見る。

「この人の登録にきたの。第二審査か第三審査でよろしく」

「かしこまりました。ではまず登録の審査の説明からしますね」

受付嬢曰く、ギルドに登録するには三つの方法があるらしい。

一つが圧倒的な実力を示し無料でギルドに登録する第二審査、一つが迷宮で指定されたモンスターを狩って素材を持ち帰る第三審査、そしてお金を払って登録する第一審査だ。

お金を持っていない俺は第二審査か第三審査しかない。

そして登録するほとんど人はこの二通りであるから特に問題は無いらしい。

だが俺には圧倒的な実力などまだないため第三審査を受けることになる。


「第三審査でお願いします」

「かしこまりました。討伐対象はこちらです」

渡された紙には。

『迷宮一階で徘徊するゴブリンの討伐

証明物:ゴブリンの腰布

報酬:ギルド登録及びギルドの説明』

と書かれていた。


「じゃ、さっそく行きましょう」

「え?装備とか準備はいいの?」

リーエルが紙を受け取るやいなや立ち上がりギルドを出ようとしたので思わず止めてしまう。

するとリーエルはもちろんだと言わんばかりに頷いた。


「一階の魔物相手に手こずってたら二階以降のドラゴンとなんて戦えないわよ。第一魔法使いが何の準備をして入口付近の魔物倒しにいくのよ」

魔法使い。

それは魔法を使う職業の方々。

どうやら俺はリーエルのおかげで魔法使いになれるようです。

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