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第一話 風魔法でした

夏休み中に思いついた話を書いていきます。

R15は念のためつけております。

遅筆ですので、基本更新は土日です。

 この世には様々な魔法が存在している。最上級、上級、中級、下級まで。


 6歳になって、自分の魔法を測定する時期、「魔法審議」の時期になる。

 周りは「火」や「水」といった魔法を告げられるなか、魔法測定場で俺はこう言われた。


———風、と。


 俺の名前はアラン。アラン・トニック。

 田舎の村で生まれたなんでもないただの少年…魔法を除き。

 両親も普通の父と母を持つ。父親は火の魔法、母は水の魔法という、安定的で強い魔法。

 そんな中生まれた俺は風魔法。

 周りの子は炎や水など、俺の魔法よりずいぶん強い魔法を手に入れているものだ。

 そのせいで俺の両親たちが何かと言われることもあった。

 なぜここまでするのか、俺は気になって調べてみることにした。

 唯一家の本棚にある「魔法書」を手に取り読むことにした。

 この世での風魔法の扱いはそれはそれは酷いものだった。

 文面にしてみると「風を生み出すだけ」という扱いになる。

 これは最弱と言われても無理はない。

 風魔法の言われようは「風ってだけ」「水の方が便利だよね?」「靡かせるだけでしょ?」とか、まあ結構色々なことを言われているらしい。

 実際俺も言われたことがある。

 多分俺の見た目にも理由があるんだろう。

 メガネをかけていて、黒髪だが少し無造作になっている。

 清潔感もあまり、という感じだった。

 俺はよく、幼少期の頃、村はずれにある、お爺さんの家へと向かうことが多かった。

 そのおじいさんは不思議な人で、俺が風魔法であることを明かしても、何一つ表情を変えることなく、俺の話を真摯に聞いてくれていた。

「ねえねえ、お爺さんって、なんでこんなところにいるの?」

「趣味じゃよ。」

「ふーん、そういえばお爺さんって、何の魔法を使うの?」

 お爺さんは柔らかく微笑んだ。

「秘密じゃ。」

「えーっ、ケチ!教えてくれてもいいじゃんか!」

「好奇心というものは、若いうちのままにしておきなさい。大人になっても忘れてはいけない。」

「コウキシン?何それ、新しい食べ物の話?」

 お爺さんは「そこからか」、というような表情を浮かべた。

「聞きたい、知りたい、と思う時があるじゃろう。それを好奇心、と呼ぶんだ。」

「じゃあ今の僕は好奇心の…えっと、いっぱいだ!でもねお爺さん、周りの人に聞こうとしても、僕が弱いからなのか、どうしても嫌われてるみたいで、僕を強くしてほしいの、お願い!」

「……時に世界というのは残酷だな。」

「何か言った?」

 お爺さんは首を横に振る。

「なんでもない、時間がある時にわしの家に来ると良い。」

 それから毎日、お爺さんの家に通って、修行をつけてもらっていた。

 何年か経ったある日、俺は村で一番強くなった。

 あの日炎属性と鑑定された子にも、村長の息子にも勝てた。

「風魔法が勝つなんて、何かのズルよ!何をしたの!」

 そう言われることも多かった。

 僕は今までのお礼をするために、お爺さんの家へと向かった。

「お爺さん!貴方のおかげでみんなに勝つことができました!」

「少年、おめでとう。最後に一つ、話をさせてくれないか?」

「お話?」

「君の人生について大きく関わることだ。君は———。」


 思い出せない。

 あの日、何を話されたのか。

 そして、俺は何を身につけてきたのか。

 思い出せない。

 そこだけ空の色が抜け落ちたように、俺の心に穴が入っているみたいに。

 

 結局そのお爺さんに感謝を伝えた日から数年後、父親とお話をした。

 父の名前はガナ、元々は騎士団に入っていたとのことだ。

「アラン、座りなさい。」

「はい、お父さん。」

 ガナはふっ、と微笑んだ。

「魔法学園に行ってみないか?」

「魔法学園、ですか?ロイヤルアカデミーの?」

「ああ。」

 俺は拍子抜けした表情を浮かべた。

 何か怒られると思っていたからだ。

「行っても、いいのですか?あそこは名家も集うと有名な…こんな村から行っても…?」

「お前は強い。風魔法だからと諦めることなく努力を重ねてきた。俺はお前を認めてやりたい。お前に教えられることは俺からは少ないから、人生の経験と思って、行ってみてくれ。」

「……はい!」

 そうして俺は魔法学園へと入学することになった。

 

 数日後、やっと制服が届いた。

 袖に腕を通し、身なりを整えて、学校へと準備して向かおう。

 入学式にはテストがあるみたいだ、入念に準備をしておこう。

 あのお爺さんから教えてもらった魔法もあるしな。

 俺が入学する予定の学園の名前は「ロイヤルアカデミー魔法学園」というところだ。

 何でも有名な魔法学園らしい。

 風魔法の俺が受け入れられるのか?という疑問は置いておいて。

 さて、どうやって行こうか。

 学園はこの田舎の村からだと流石に遠い。

 徒歩で向かえば金は使わずに済むよな。

 だからといって徒歩で向かえば3日間くらい歩くことになってしまう。

 馬車や転移装置を使えばすぐにつくが、どちらも値段が高い。

 田舎の俺からしては到底使えない金額だ。

 馬車は銀貨3枚、転移装置は銀貨1枚だ。

 銀貨一枚で一日生活できるくらいの金額、金額一枚で5日間は過ごせるくらいの金額。

 親からもらったのは銀貨3枚、せいぜい馬車には乗れるが、向こうで寮があるとも限らない。

 流石に徒歩で向かうか。


 こういう時に風魔法は便利だ。

 「風歩(ウィンドステップ)」

 足の裏に小型台風のようなものを設置して、地面との摩擦を無くして勢いよく進むことができる。

 やはりどんなハズレ魔法でも特訓すれば無限大に強くなることができる。

 もう田舎は飽きた。

 親と離れるのは少し寂しいが、折角の都市なんだ。

 楽しんでいきたい。

 相変わらずここは木が多い、見晴らしも悪い。


 それから3時間ほど進んだか、やっと学園が見えてきた。

「…いや、デカいな。」

 想像の三倍は大きいところだった。

 やはり俺と同じように口をあんぐりと開けて固まる新入生も多いみたいだ。

 受付のところに進んで、機械に名前と使用する魔法、出身を入力した。

 やっと入学式が始まるのか、内心期待して向かうのだった。

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