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No50 終末バレエ
神の願いはいじめも虐待もなくなること。いっそ人類が死に絶えるべきかと呻きながら歩く。警察も軍隊も機能しない無法の街を。物陰から暗い目をしたバレリーナが神の御前で告げた。
「私は凶悪ウイルスの開発者でかつ拡散者、世界終末の開始が我が役目」
神は応じた。
「人類は時として制御出来ぬものを作り出す。核然り生物学兵器然り、お前もどうせ元に戻せぬだろう。終末に導いたお前に褒美をやろう」
バレリーナは陽の下に出てきた。ティアラとチュチュを煌めかせて、頭を下げる。
神は「踊るのはやめたのか」と聞いた。腕を差し出すとバレリーナはポワントですっと立ち、アラベスクをした。
「いえ、まだ踊れます」
神はエスコートを続けリフトをして朽ち果てた工場街を飛ぶ。彼らは死の街の中で踊り続ける。
今後どうなるかは神にもわからぬ。ただ無常な無情があり沈黙な静寂の中で踊るだけ。神の願い叶う清浄で正常な世界の中で。




