65 かきいれ時
新浜だより
日本野鳥の会東京支部(現在は日本野鳥の会東京)支部報「ユリカモメ」 1998年2月号掲載
65 かきいれ時
屋上にずらりとならんだセグロカモメが、140㎝もある翼を開いて次々に舞い降りる。枯草色の光景に白いカモメ。いかにも冬らしい眺めだ。わが家も観察舎も師走のかきいれ時をむかえた。
自他共に認める欠陥主婦のまま、はや四半世紀をこえた私だが、唯一、これだけは得意という家事がある。換気扇の掃除ならまかせて!
年の暮れになると新聞などに必ず掃除法がのっているが、見ていておかしくて仕方がない。遠野にいた友人が引っ越す時、どんな土地か見たいばかりに「換気扇の掃除をやってあげる」と押しかけて、二人して一晩しゃべりまくった前科すらある。彼女の換気扇は密閉型だったので、たいして手助けにはならなかったのだけれど。
用意するものは灯油少々、粉石けん(家庭で作るプリンせっけんがあればもっと楽)、スポンジたわし、古歯ブラシ、ぼろ布、雑巾、床に敷く古新聞。許せる程度にきれいにするにはこれで十分だ。ばらばらにして隅々まで新品同様にぴかぴかにすることもできるはずだが、実はあとで組み立てる自信がない。わが家の換気扇は手でネジを2本はずせば屋外に突き出た部分までそっくりとれる。でも、ドライバー等が必要な機種もあるかもしれない。ちなみに、汚れてもよい服装で。粉せっけんと油は相性がとてもよく、手荒れはほとんどしないので、私は炊事手袋を使っていない。
まず、換気扇のフードや周囲の壁に、水で少し湿らせた粉せっけんをスポンジたわしで薄くぬりつけ、ひと呼吸置く。乾いたころを見計らって、水を含ませたスポンジたわしでざっと拭き取り、雑巾で仕上げ。べとつく油汚れが面白いように簡単に落ちる。レンジまわりにこびりついた油のしみも、同じくぬりつけて乾かしてからこする。次に換気扇をはずし、プロペラや周辺は同じ方法で。汚れがひどければ、練った粉せっけんを厚めに塗る。隅は歯ブラシで。油汚れにほこりがかたまりついた屋外の部分については、取り外して床に置き、ぼろ布に灯油をつけて拭き取る。汚れがそれほどひどくなければ、他と同じ方法でOK。
さて、2時間弱の作業を終えて、こざっぱりとした換気扇を元に戻す段になって、はたと困った。わずか2本のネジの止め方がわからない。戻ってきた主人に頼むと、横じゃなくて縦、とあっさり完了。最終段階でプロペラを取り付け、スイッチを入れたが、動かない。またしても主人の出番。いやはや、まかせて、と胸を張るわけに行かなくなってしまった。
保護区の中は管理作業のまっ最中。業者委託の草刈りや天地返し、トラクターがけ、汀線のゴミ拾いといった作業はひととおり終わったが、やるべき仕事、やっておきたい仕事はまだ無限にある。ちょっとでも時間ができると、わが相棒さんたちは「中に行ってきます」と出かけて行く。天地返しで残った枯れアシの山を燃やすこと、水車池を埋めつくしてみごとにしげり、霜枯れしはじめたホテイアオイを水からあげること、天地返しを終えた池にトラクターをかけて、水鳥に必要な開けた水面を確保するため、手作業でアシの地下茎を除くこと、丸浜川沿いのゴミ拾い、etc。
野鳥病院ではほとんどの患者さんが自力で餌を食べるようになったので、これから5月はじめまでは農閑期。われらがかきいれ時である。ふだんは朝から晩まで鳥の世話に追われている私も、この時期の午後は戸外で作業ができる。周辺のゴミ片づけは先週でだいたい終わり、今週いっぱいはアシの地下茎とり、来週はお正月に向けて禽舎の掃除。やりたいと思う仕事が少しずつ片づいて行くのは、なんとも言えずうれしいものだ。
欠陥工事で設置以来まともに動かせないままの大型ポンプの配管がようやく終わった。ちゃんと揚水が続けられるかどうかはまだ不安だが、いずれにせよ、間もなく揚水を始めることになるだろう。満々と水をたたえた広大な浄化池の光景を想像すると、わくわくしてくる。ただし、水温が低い冬の時期は水質浄化の速度が遅く、水量と水質の管理はけっこうややこしい。願わくは、ポンプのトラブルが少なくてすみますように。




