55 ゴミの埋立地見学会
新浜だより
日本野鳥の会東京支部(現在は日本野鳥の会東京)支部報「ユリカモメ」 1997年4月号掲載
55 ゴミの埋立地見学会
見学バスの窓から、地面におりているユリカモメの大群が見えた。少し離れたところにかたまっているのはセグロカモメだ。オオセグロカモメも何羽かまじっている。左手を横切って飛んだ一羽は、純白の翼が美しいシロカモメだった。
ここは音に聞く中央防波堤。東京都の不燃ゴミの最終処分場である。2月8日に(財)日本鳥類保護連盟の愛鳥教育研究会の例会で、このゴミ処分場の見学会があると聞いた。幸い土曜日で休みがとれるので、相棒の石川君を誘って参加させてもらった。不燃ゴミ3mに覆土50㎝、最大で30mの高さまで盛り上げて整地。放置された部分は草原になり、滲出水の水たまりもできる。広大なゴミの埋立地の中ではセイタカシギが集団で繁殖したり、チュウヒの繁殖の可能性もあったとのこと。
集合場所の新木場駅はかつての十四号埋立地(夢の島)だ。十号埋立地、十五号埋立地(若洲)、十三号埋立地(臨海副都心)……大井埋立地も含めて、どこも二十年以上も前に鳥のカウントに通った場所だ。中央防波堤はそのころは文字どおり防波堤だけで、その後ヘドロ島と呼ばれ、やがてゴミによる埋立が始まったころには、私たちは行徳野鳥観察舎にこもり、他の場所については話に聞くだけの生活をするようになっていた。
見渡す限りの外側最終処分場には、不燃ゴミを運ぶトラックが整然と走り、大型ブルドーザーのまわりにはユリカモメが群がっていた。何かをくわえて飛ぶハシブトガラスの後を、仲間のカラスが追いかける。この日、ユリカモメはおそらく2~3万羽、セグロカモメ2~3千羽、ハシブトガラスは千羽ほど。トビも100羽近く見られた。
この最終処分場に持ち込まれる一日八千トンの廃棄物のうち、浚渫泥や建設残土が半分以上を占めるとのこと。一般のゴミより多いというのは少々意外だった。
昼食はかつての夢の島に作られた熱帯植物園の会議室をお借りした。ワンウェイの容器が大きらいな私のくせに、「日本盛」のパックを水筒にしてつめてきたコーヒーを飲んでいる。あと十回くらいは使うのだから、ワンウェイじゃないよねえ。意地でも缶コーヒーや缶茶は買わないぞ!
ゴミ問題の解決は簡単なことかな、とふっと思った。輸入ができなくなれば、それだけのことではないか。あと何回かオイルショックがあれば、日本人の生活はいやおうなしに変わらざるを得ない。そういう事態は、いつかきっと来る。空飛ぶマグロやエビが入らなくなる日、木材が、石油が、米が足りない、とさわぐ日が来る。それまでは、むだをしない、使えるものはとことん使う、という生活態度を徹底するしかないのだろうか。
かつてのゴミの埋立地である夢の島にはスポーツ公園や大きな緑地ができ、20年の歳月を経て樹木もよく育っていた。それなりに居心地のよい空間である。しかし、見た目はみごとな公園の中の鳥の少なさに驚いた。ヒヨドリやツグミはいたが、ごくふつう種のキジバトやアオジ、ウグイスは見られずじまいだった。何が足りないのだろうか。
日頃、鳥が少ない、と嘆いている保護区には、雑然としたやぶ地や水場がある。隣接する新浜鴨場の密生した森や竹やぶもある。冬の小鳥はけっこう多いし、オオタカ、チュウヒ、ノスリなどのタカ類もいる。鳥にとっては居心地がよいらしい。今さらのようにわが保護区を見直した。
ゴミ処分場の見学会は毎週土・日の午前9時30分に新木場駅集合。セミナーを含めた平日コースもある。かつての夢の島に作られた熱帯植物園の見学もできるという、至れりつくせりのコースである。利用しない手はない。みなさま、ぜひどうぞ。お問い合わせ・お申し込みは(財)東京都環境整備公社普及調査係(03-3644-2108)まで。
われらが行徳鳥獣保護区での再整備工事の整地はほぼ終了。10㎝きざみに落差のついた二系列、各13面の棚田をはじめ、計32面の池にまんべんなく水がためられるようになっている。この記事が出るころには、観察壁や電気設備なども完成しているだろう。あとは適正な管理あるのみ。ああ、どうなることだろうか。




