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混ぜたらキケンな2人  作者: 戯月
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都 美沙子(みやこ みさこ)という女

とんでもなく思いつきで書き出してます。

フラグ建築しまくって放置とかよくあります。

回収されてないフラグは忘れられている可能性が大なんで教えてやってください。


定時であがろうと思っていたのに安請け合いをした。後悔はしてない。今更後悔したところでって感じだし。


それでも。…ちょっとは期待してたんだ。

これを機に、彼が少しでもこっちを。私を。意識してくれるんじゃないかって。

意識とまで行かなくとも、仕事を押しつけたんだし少しくらい気にしてくれるかな。って。

そんな打算があって。


…だから。


「あれ?珍しい。…定時大好き人間の都さんが残業してる」

「……ども」

「愛想わるー」


残業を終えて帰宅する同期のあからさまの嫌みになど負けてたまるか。


現在時刻は、とっくの昔に残業手当てが出る時間をオーバーしていて、時計の短い針はてっぺんを超えた。


いつもなら家で1人、大して面白くもないテレビを見ながら酒でも飲んでいる時間で。

本当なら今日もその予定だった。


でも、入社当時から若干の憧れを抱いていた先輩から声をかけられて、『いつも仕事頑張ってるよね』とか『丁寧ですごく助かってる』とか『都ちゃんが作った資料、すぐ分かるよ。完璧だもん』とか言われてしまえばそりゃ気分も上がっちゃうわけで。


そんなときに

『明日の朝イチの会議に使う資料作り、お願いしてもいいかな?』

なんて言われたら、後先考えずに即答で了承しちゃうわけで。

その後に

『本当に!?…あー、悪いんだけどこの後、どうしても抜けらんない用事があってさ。頼んだ身としては、横について付きっきりしたいんだけど……ごめん。ね?』

とか言われたって返事が変わるわけもなく。


後から渡された資料を見て、残業確定を理解したけれど既に時遅し。


こうなったら!少しでも頑張って完璧な資料作って先輩に誉めて貰おう!の方向に進路変更をしたものの。


「…つらい」


消灯時間などとっくに過ぎてるわけで、間接照明とデスクに光るPC画面の明かりだけでは、この広いフロアにはどうしても心許ない。


もう、ため息しか出ない。このため息は何度目だろうか。

資料作りは何とか佳境を超えて、単調な部分に入った。ここまでくれば後は睡魔との戦いだけが心残りなだけだ。

さて、もうひと頑張り…


「うわ。…まだ居る」

「…………」


いきなりの乱入者が1人。

見覚えはあるが名前は浮かばない男性。多分営業部だろう。部署が違う人までは流石に覚えられない。

暗いのフロアの中にポツンと一つ、デスクが光っている私をあからさまに嫌そうに顔をしかめると、たった今入ってきた入り口にUターン。

…なんだよ。わざわざ嫌みを言いに来たのか。暇人か。ちったぁ労えよ。


こんな事を思いながらも、労いの言葉が来るだなんて思っていない。


人付き合いが苦手なものだから会社の飲み会など、入社して最初の親睦会しか行ったことがないし。仕事が終わってしまえば会社に用なんてないから、定時で帰っていたらいつの間にか『定時大好き人間』の2つ名が付いていた。

気づいたら飲み会の誘いさえこない始末。

まぁ誘われたって行かないが。

人間関係を円滑にするよりも、仕事の効率を上げる方がよっぽど為になる。


…ため息が止まらない。


こんな事なら請け負わなければ良かった。

先輩に良い格好がしたかった、良い印象を残したかった、それだけのためにこんな思いをするのか。

これじゃ余りにも対価が軽すぎるだろう。


「はぁ。…仕事しよ」

「いやいや。恐い顔してんぞ。休憩すれば?」

「…はい?」


背後からいきなり掛かった声に驚くものの、驚きよりも不思議に思う気持ちの方が勝り、予想外にも落ち着いた声が出る。

ほい。と差し出されたのは喫煙所近くの自販機にしか売ってないミルクティー。


差し出した本人を見る目が訝しげになってしまったのはしょうがないと思う。


だってそこにいたのは、先ほど顔をしかめてUターンした他部署の失礼な男性社員。


……何者だこいつ。


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