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こだま憑き  作者: ブルージャム
第四部 平成編
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森林の剣  危険な依頼

 茂(偽庵)が、すぐに訊き返す。

「瀬戸内のどこですかな?」

 瀬戸内といっても、広い。本州側、四国側、どちらだろうか?


「……瀬戸内海の、ある島です。日乃入島(ひのいりじま)、というところです」

「ええと。そこは、何県です? それと、そこへの行き方は? 橋を渡って行けるんですか?」


 武は、あせって訊いた。

 島の名前だけでは、さっぱりわからない。本州から、橋を渡っていけるのだろうか? 船は苦手なので、乗らなくてよいなら、助かる……。


「――橋は、かかっていません。愛媛県の宇和南市から、小型フェリーで行くしかありません」


 兵頭は、カバンから地図らしきものを取り出し、細長いテーブルのうえに広げた。

 武と茂(偽庵)は、地図をのぞき込んだ。斎藤さんも、横にまわって、同じような姿勢でのぞき込んだ。

 その島は、瀬戸内海といっても、四国と九州のあいだの海域にあった。北へ行けば伊予灘、南へ行けば日向灘に行ける、瀬戸内海と太平洋の潮流が入り混じる地域だった。

 地図上でも、豆粒のように小さく、兵頭が、指でその部分を押さえていなければ、なかなかみつからなかっただろう。


「……その、霊が暴れているというのは、大勢の者に害を為(な)している、悪しき霊がいるということか?」

「非情に強力な霊と思われます。昔、その辺りにいた海賊の霊ではないかと……」

「……ふむ、何という人間か、わかってはいないのだな」

「幾人か、候補はいるのですが、この人物だと、はっきり特定されては、いません」


 武も身を乗り出して問いかけた。

「どのくらいの被害が出ているんですか?」

 兵頭は、ため息をついた。

「地元の漁師が、幾人も倒れています。島にある村落のあいだの細い道を通っているときに、海賊の鎧(よろい)をつけた、日焼けした顔の男が襲ってくるそうです。逃げようとして背を向けたところを切られて、そのまま昏倒し、道から転がり落ち、大けがを負った者もいるそうです」


「……その者は、切られて、血を流しておったのか?」

「いいえ。被害者は、確かに切られたといっているのですが、傷跡は残ってませんでした。ただ、被害者は、皆、切られたといっているのです。――切られた者は、三日間ぐらいは、動けないそうです。医者が調べても、動けない原因は、わからないそうです。我々の調査では、明らかに霊障害だと思われます」


 武は、安全のため、念を入れて確認した。

「亡くなった方は、おられないのですね!」

「――まだ、いません。が、被害の頻度は増えています。最初は、3か月に一回ぐらいだったものが、いまは、月に数回に増えています。四国地域に住む祓い師が、数人でお祓いを行ったのですが、歯が立たず、寝込んでしまっています」

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