ある日のチャットルーム⑥
―――ミノリさんが入室しました。
ミノリ:誰もいないかな
―――タツキさんが入室しました。
ミノリ:あ、タツキだ
タツキ:やっほー
(PM/タツキ:悪いな、今日はそっち行きたかったんだけど)
(PM/ミノリ:無理しなくてもいいわよ)
(PM/タツキ:悪い)
(PM/ミノリ:変わらないわね、タツキは。今日はただ私が死んだ日なだけじゃない)
(PM/タツキ:だけとか言うな)
(PM/ミノリ:ごめん、怒ってる?)
(PM/タツキ:別に怒ってるとかじゃなくて)
(PM/ミノリ:こうして離れていても話ができるんだから、無理しないで)
(PM/タツキ:それでも、なんていうか、けじめっていうか)
(PM/ミノリ:まだ自分のこと責めてるの?)
(PM/タツキ:責めてないって言えば嘘になる。まだ俺は何もしなかったあの時の自分を殺したい)
(PM/ミノリ:またそんなこと言って)
(PM/ミノリ:今度会いに来る時は、お葬式の後みたいなことはしないでね)
(PM/タツキ:なんだよそれ)
(PM/ミノリ:あの時、タツキも私みたいに飛び降りようとしたじゃない)
(PM/ミノリ:私のことが見えてなかったら、本当に落ちてたかもしれないのよ)
(PM/タツキ:ごめん。あの時は、自棄になってた)
(PM/ミノリ:大丈夫、怒ってないわ)
(PM/ミノリ:それに、謝るのは私の方なんだから)
(PM/タツキ:お前が謝る必要なんかないだろ)
(PM/ミノリ:勝手に死んじゃってごめんなさい)
(PM/ミノリ:また会いに来てね。無理はしなくていいから、いつか、ちゃんと謝らせて)
(PM/タツキ:わかった。その時は、俺にも謝らせろよ)
(PM/ミノリ:だーめ。タツキには謝らせてあげない)
(PM/タツキ:なんでだよー!)