表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

# 第五話 ## 「また婚活会場で会った」

# 第五話


## 「また婚活会場で会った」


金曜日。


夜七時。


ホテル二階。


見慣れた婚活会場。


雨宮悠人は受付で参加費を払いながら思った。


「俺、なんで来てるんだ……?」


白石雫と連絡取ってる。


ご飯も行った。


電話もする。


なのに婚活来てる。


意味が分からない。


でも。


“まだ付き合ってない”。


その曖昧さが、

悠人を不安にさせていた。


---


受付のお姉さんが言う。


「雨宮さん、最近ちょっと表情明るいですね〜」


「そうですか?」


「彼女できました?」


「ち、違います」


「婚活常連卒業かと思ったのに」


「その言い方やめてもらっていいですか」


完全に顔覚えられてる。


終わってる。


---


会場へ入る。


そして三秒後。


「あ」


「あ……」


いた。


白石雫。


お互い固まる。


数秒沈黙。


それから白石が小さく笑う。


「……また会いましたね、雨宮さん」


悠人も笑う。


「もはや待ち合わせみたいですね」


---


二人は近くの席へ座る。


白石が小声で聞く。


「なんで来たんですか?」


「それ白石さんにも返します」


「……なんとなくです」


「俺もです」


絶対お互い、

相手のこと気にして来てる。


でも言えない。


この距離感が、

妙にもどかしい。


---


パーティー開始。


男性移動。


女性と会話。


いつもの流れ。


でも今日は変だった。


全然集中できない。


次の女性が言う。


「休日は何されてるんですか?」


悠人、

反射で答える。


「白石さんと……あっ」


終わった。


女性、

首を傾げる。


「白石さん?」


「いや違います!!

なんでもないです!!」


めちゃくちゃ怪しい。


---


一方その頃。


白石も別の男性と話していた。


スーツ姿の爽やかイケメン。


年収も高い。


会話も上手い。


婚活強者。


悠人、

遠くから見て落ち込む。


「うわぁ……

ああいう人のほうが絶対いいよな……」


すると隣の男性が言う。


「白石さん人気ありますよね」


「……ですね」


「狙ってるんですか?」


「えっ」


「顔見れば分かりますよ」


そんな分かりやすい?


悠人、

死にたくなる。


---


休憩時間。


ドリンクコーナー。


悠人がコーヒーを取ろうとした時、

白石が来た。


二人同時に言う。


「さっきの人——」


止まる。


気まずい。


白石が先に言う。


「なんですか?」


悠人、

思わず聞いてしまう。


「さっきの男の人、

いい感じでした?」


うわ終わった。


重い。


キモい。


でも白石は少し驚いたあと、

急に笑い始めた。


「ふふっ……」


「な、なんですか」


「いや、

雨宮さんでもそういう顔するんだなって」


「どういう顔です?」


「分かりやすく嫉妬してる顔」


悠人、

固まる。


「え」


白石、

ちょっと楽しそう。


「してません?」


「……ちょっとしました」


白石は少しだけ目を丸くして、

それから優しく笑った。


「安心してください」


「え?」


「私、

会話の途中で雨宮さんのこと考えてました」


悠人、

心停止。


---


その時。


婚活スタッフが近づいてきた。


「お二人って、

付き合ってないんですか?」


二人同時。


「「違います!!」」


声が揃った。


周囲が見る。


地獄。


スタッフが苦笑する。


「すみません、

空気が完全にカップルだったので」


白石、

真っ赤。


悠人も死にそう。


---


パーティー終了後。


二人は会場の外へ出る。


夜風。


少し静かな空気。


悠人が言う。


「なんか今日、

婚活って感じしなかったですね」


「ですね」


「というか、

白石さんいると他の人見れないです」


言った瞬間、

悠人は固まった。


またやった。


勢いで言った。


人生終了。


でも白石は、

少しだけ俯いてから言った。


「……私もです」


その一言で、

世界の音が少し消えた気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ