↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記録(天至)  作者: sakasans
戻されるもの
PR
28/40

フィールドノート

[調査概要]

調査名:天至地区環境調査

調査期間:11月18日〜11月20日(予定)

目的:口頭伝承の実地確認および周辺環境の調査


参加者:

木山(文化人類学・リーダー)

ターニャ(環境工学)

手屋仁(埋蔵文化財センター)

多賀谷(記録担当)

一ノ瀬(考古学) ※直前に欠席

---

[フィールドノート 一日目]

記録:多賀谷


09:30 集合。自己紹介。

ターニャより、「たーくん同志で頑張りましょう」と。 

10:15 分岐点に到達。左手の細道へ進む。

11:47 ほどなく沼(まさま沼と思われる)に到達。


沼の規模は目視で東西約三十メートル、南北約二十メートル。

三方の岸に、ドラム缶状のもの多数。等間隔ではない。


岸の構造について、手屋仁より人工的な護岸ではないかと指摘。

木山はこれを否定。若干の不穏な空気。結論は持ち越し。


ドラム缶は岸より接近不可能。

目視では、外面に条痕多数。

一部、内側から盛り上がっている。

缶底付近より液体が滲出し、沼へ流入しているように見える。


水面に白色の浮遊物多数。布状、大きさ不均一。

ターニャによる簡易水質調査を実施。

結果を確認したターニャは、「これなら泳げんじゃない」と笑っていた。


18:30 キャンプ設営完了。無線機器の設定に手間取った。


19:15 夕食。携行食。

木山から、「そういえば、手屋仁君の祖母から、いろいろ教えてもらっていてね」と。

手屋仁は、「だったら、お守り貰いませんでしたか、教授」と含み笑い。

木山はやや虚を突かれたようだった。

ターニャは素知らぬ顔。


食事片づけの後、ターニャを誘ってコーヒー。

「沼はどこかに通じてるわね、絶対。ありえない水質だから。だけど、帰るなら来た道よね、これも絶対」とのこと。

就寝。

---

[水質簡易検査結果]

水温:36.4℃

pH:2.1(再測定、同値)

残留塩素:検出なし

硬度:測定不能

鉛・鉄:定性反応あり

臭気:微弱な腐食臭

---

[フィールドノート 二日目]

06:00 起床。晴れ。風なし。

ターニャの姿が見当たらない。


木山によると、「本人の判断だろう」と。

手屋仁は、「外国の方は自立してますから、大丈夫ですよ」と。

一人で、周辺を捜索したが発見できず。


午前中、手屋仁が沼周辺の砕礫を採取。

非常に背が高く、手足が長いので、採取向きの人材ではある。


表面に光沢あり。断面に同心円状の縞模様。

隕石との類似が指摘された。持ち帰り、精査予定。


午後、ドラム缶付近に大きな影を視認。

半身しか見えなかったが、毛皮のように思える。

熊の可能性を排除できないので、念のため熊笛を使用。

対象は姿を消した。木山へ報告。

恐怖のためか、顔色が変わっていた。

---

[誰のものか分からない手記]

取り残された。

熊に襲われたほうが、まだ幸運だったかもしれない。


笛のような音が、断続的に聞こえる。

獣の声だ。どこかで見張っているのか。

ああ、しかし、あ▓音。


見ら見らみらみ▓みら魅ら魅ら


もどりたい

---

二十XX年十一月二十日


[フィールドノートに添付されていたとされる写真]

保管:□□写真館(閉店)


保管された写真について、複数枚を並べて確認していたところ、一枚の画像が浮かび上がった。

白い布状のもので覆われた沼。中央部のみ黒い水面が露出。

その中心に、小さな祠のようなものが浮かび上がっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。