フィールドノート
[調査概要]
調査名:天至地区環境調査
調査期間:11月18日〜11月20日(予定)
目的:口頭伝承の実地確認および周辺環境の調査
参加者:
木山(文化人類学・リーダー)
ターニャ(環境工学)
手屋仁(埋蔵文化財センター)
多賀谷(記録担当)
一ノ瀬(考古学) ※直前に欠席
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[フィールドノート 一日目]
記録:多賀谷
09:30 集合。自己紹介。
ターニャより、「たーくん同志で頑張りましょう」と。
10:15 分岐点に到達。左手の細道へ進む。
11:47 ほどなく沼(まさま沼と思われる)に到達。
沼の規模は目視で東西約三十メートル、南北約二十メートル。
三方の岸に、ドラム缶状のもの多数。等間隔ではない。
岸の構造について、手屋仁より人工的な護岸ではないかと指摘。
木山はこれを否定。若干の不穏な空気。結論は持ち越し。
ドラム缶は岸より接近不可能。
目視では、外面に条痕多数。
一部、内側から盛り上がっている。
缶底付近より液体が滲出し、沼へ流入しているように見える。
水面に白色の浮遊物多数。布状、大きさ不均一。
ターニャによる簡易水質調査を実施。
結果を確認したターニャは、「これなら泳げんじゃない」と笑っていた。
18:30 キャンプ設営完了。無線機器の設定に手間取った。
19:15 夕食。携行食。
木山から、「そういえば、手屋仁君の祖母から、いろいろ教えてもらっていてね」と。
手屋仁は、「だったら、お守り貰いませんでしたか、教授」と含み笑い。
木山はやや虚を突かれたようだった。
ターニャは素知らぬ顔。
食事片づけの後、ターニャを誘ってコーヒー。
「沼はどこかに通じてるわね、絶対。ありえない水質だから。だけど、帰るなら来た道よね、これも絶対」とのこと。
就寝。
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[水質簡易検査結果]
水温:36.4℃
pH:2.1(再測定、同値)
残留塩素:検出なし
硬度:測定不能
鉛・鉄:定性反応あり
臭気:微弱な腐食臭
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[フィールドノート 二日目]
06:00 起床。晴れ。風なし。
ターニャの姿が見当たらない。
木山によると、「本人の判断だろう」と。
手屋仁は、「外国の方は自立してますから、大丈夫ですよ」と。
一人で、周辺を捜索したが発見できず。
午前中、手屋仁が沼周辺の砕礫を採取。
非常に背が高く、手足が長いので、採取向きの人材ではある。
表面に光沢あり。断面に同心円状の縞模様。
隕石との類似が指摘された。持ち帰り、精査予定。
午後、ドラム缶付近に大きな影を視認。
半身しか見えなかったが、毛皮のように思える。
熊の可能性を排除できないので、念のため熊笛を使用。
対象は姿を消した。木山へ報告。
恐怖のためか、顔色が変わっていた。
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[誰のものか分からない手記]
取り残された。
熊に襲われたほうが、まだ幸運だったかもしれない。
笛のような音が、断続的に聞こえる。
獣の声だ。どこかで見張っているのか。
ああ、しかし、あ▓音。
見ら見らみらみ▓みら魅ら魅ら
もどりたい
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二十XX年十一月二十日
[フィールドノートに添付されていたとされる写真]
保管:□□写真館(閉店)
保管された写真について、複数枚を並べて確認していたところ、一枚の画像が浮かび上がった。
白い布状のもので覆われた沼。中央部のみ黒い水面が露出。
その中心に、小さな祠のようなものが浮かび上がっている。




