散歩、いや巡回だ
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俺には名前がない。自分を指すのに名前なんていらん。
俺は今日も縄張りを巡回する。散歩ではない。
家の軒下が俺の我が家。
あくびと伸び一つ。夜の巡回に出かけるか。
家の庭から塀に飛び乗る。
塀の端っこにあいつがいた。
ニャーーオゥゥ。
フーッ!
ダダッ!
すぐさま俺は追いかける。手加減はせん。
隣の物置の横を通り、その隣の空き地へ。
あいつが止まる。向こうは交通量の多い道だ。
フーッ! ニャワワワワンッ! ガブッ!
俺はあいつの喉元に噛みついた。
すると、あいつは一目散に逃げていった。
勝負が決まったら、俺は追わない。
さて、散歩……いや、巡回の続きだ。
少し息が乱れたな。
そろそろあの人のところ行くか。
いつも灯りがついている場所に食べ物を置いてくれる。
あった。決してうまくはないが、腹が減っている。ありがたい。
お。ミーコも来たな。俺が勝手にミーコと呼んでいる色白な娘だ。
ニャー。
鼻と鼻をくっつけ合う。軽く確かめる。まだだな……。
俺は隣で待っている。ミーコ先に食べろ。
ニャー。
ミーコは一声鳴くと、ご飯を食べた。
毛繕いでもするか……。
俺は自分の黒光りする毛を整えて待つ。
暗がりから、三毛猫が出てきた。ミナだ。
挨拶をする。尻尾を絡めてくる。お、いいな。
ミナと一緒に食うか。
ミナと食事をする。決してがっつかない。
ミーコは隣で手を舐めていた。
ミーコがいなくなると、二人っきりになった。
ミナは満足そうにしている。
ミナの首元を舐めてあげる。
ニャーン。
しばらくの間、二人は一緒にいた。
俺は伸びをすると、また巡回に出かけた。
今度はコンビニの横を通る。人間が何人もいた。
俺に近寄る人間もたまにいる。俺はゴロゴロと喉を鳴らして近寄る。
変なプライドより実益だ。たまに美味しいものが食える。
今日は、近寄る人間は居ないようだな。
俺はさっさと次の場所に移動する。
非常階段を登り、隣の屋根へ。
ここは見晴らしがいいし、風もこない。
しばらくここで様子を見ようか。
下を若いオスが通る。
あいつはまだ子供みたいなもんだ。……気にすることもない。
……少し寝るか。
夢を見た。
夢でミナが甘えてくる。
……明日も会えるといいな。




