魔法と決意
続き出来ました。
遅れまして本当にごめんなさい(;つД`)
なんとか失踪せずに皆様に読んでもらえる様出せて良かった。
この小説は2ヶ月以上・・・・ってならなくて本当にに良かった(;´д`)
さて、キャラバンが去ってからの私の生活はどう変わったというと基本的なサイクルはほとんど変わっていなかった。
朝早く起こされ、日中は他の子供たちと託児所にひとまとめにされ、夜は夕食後しばらくして就寝といった感じだ。
叔父さんから絵本などをたくさん買ったはずなのだけどもなぜかまだ一度も読んでもらっていない。
まだ早いと思われいるのであろうか?
と基本サイクルはほとんど変わらないのだが内容は大幅に変わった。
大地短草のおかげである。
この草のおかげでまず私たちは託児所に預けられている子供は外で遊べるようになり、皆大喜びである。
やはり子供には室内でこじんまり遊んでいるよりも庭の中だけとはいえ外で遊べる方がよいのは決まっている。
また、室内では母さんに止められていた火の魔法も人に向けないと約束してからは使うことを許され、魔法の使える子供たちは色々な魔法を使って遊んでいる。
どのようにかというと・・・
「おばさん。的お願いします」
「イクちゃん。おばさんは失礼だよ。お姉さんじゃないと」
「どちらでもいいわよ。ブルータス君。土の的でいいかしら?」
そういって母さんは魔法を使い庭の端に土で50センチ位の的を作る。
その的に対して魔法のできる子供たちは各々的から離れて魔法をぶつけている。
ぶつける魔法は火や水の球に土の塊、風の球である。
子供たちが放つ魔法はかなりの命中率で的に当たっていく。
しかし、どの魔法も子供なので弱いらしく的を壊すことができない。
土の塊や水の球なら重さがある為多少的が削れたりするのだが、火の玉では他の子が水の球で濡れた表面を乾かすこともできないくらい弱い。だが最も弱いのは風の球だ。何せ風は重さもなく見えないため当たったかどうかすら音で判断するしかなく、私もはじめは風の球をぶつけているのが全く分からないくらいだった。
そんなわけなので、風の魔法はほとんど人気がなくなり子供たちが魔力がなくなって違う遊びをする頃にはほとんど風の魔法をする子は居なくなってしまった。
私はというと使う魔術は水と風の魔術になっている。
理由は大地短草を使用しているからだ。
元の世界に戻るためにもやはり少しでも多く魔力はあった方がいいと一晩かけて考えた結果、私は大地短草を使って魔力を回復させている。
とても食べれるものではない大地短草を使うのはかなり気が引けるが他に魔力を回復させる方法がないためやむなく回復させている。
そのかいあってこのところ魔力が増えていくのがわかるようになってきた。
魔力は使用した分の数パーセント分ずつ増えているようで、元の魔力が少なかったため今までは増加分に気付かなかったようだ。
しかし、この増え方だと使い続ければ雪だるま式に増えていくのだろうか?
ともかく、私は大地短草を使用して魔力を回復させている。ここで問題となってくるのは魔力を使う方つまり魔法の方である。
魔力は本来ゆっくりと回復するはずなのに大地短草で素早く回復しまっていることを他の人(特に母さん辺り)にばれてしまうと、灯りの魔法を半強制的(母さんおお願い的に)に使うことになってしまう。
ただ単に魔力を伸ばす分にはそれでもかまわないが、私としては魔法について色々調べたり検証をしたいので、極力魔法を使っているところを見られたくはない。
そんな考えの結果、私は昼に使う魔法を他の人には見えない風系の魔法をメインに使っていくことにした。無論、激マズな大地短草の口直しのために水の魔法も使うことになるのだが。
そんなこんなで、こっそり誰にも見つからずに試して見た結果分かったのは次のようなことだった。
① 水や風の魔法に比べると灯りの魔法は魔力の消費が大きい
② 単純な風や水を生み出すのに比べ熱風や冷水等を生み出すのは魔力の消費が大きい
③ 魔力の消費を超える魔法をしようとすると魔法は発動しない
④ 魔力は魔法が発動しなければ消費しない
⑤ 大地短草はやっぱりマズイ
①についてはきちんと詠唱?をすると灯りの呪文の時は魔力を半分以上持ってかれてしまうのに対して水や風の魔法は精々十分の一ほどしか持っていかれなかった。
②については⑤にもつながるんだけど大地短草を乾燥させたり、キンキンに冷やして飲んだら少しは味が気にならなくなるかと思ってやってみたんだけど、魔力の消費が5倍くらい多くなってしまうようだ。
③と④は色々やっているときに気付いた。ちなみに残りの魔力の量は感覚で分かる。RPGゲームであるみたいに残りMP何ポイントみたいな感じではなく残り何割ぐらいといった感覚だが。
ちなみに、魔力を完全に使い切ってもフラフラになったり、気を失うようなことはなかった。
⑤について・・・・もはや語ることはない
そんなおいしくない。いや、非常にマズイ大地短草の味を少しでも改善すべくこっそり台所を伺ってていたときのことだった。
台所では母さんが夕飯の準備を忙しくしており、私は気付かれないようにこっそり、調味料の類(特に砂糖)を探している時だった。
まだ一歳そこそこの私は気付かれないように探すことに夢中になってしまい足元がお留守になってしまい、マンガか何かのようにビターンと転んでしまった。
結構、いやかなり痛かったけどバレないように泣くのを我慢したのだったが、さすがに母さんに気付かれてしまった。
母さんはその時丁度、頭の棚の上の鍋だか調味料を取ろうと背伸びをしていた時だったらしく私が転んだ物音に驚き手元が狂い、棚の中身が雪崩れのように落ちてきた。
ガラガラーン。と凄い音を立てて鍋やらビン等が落ちてくる。
すると母さんは咄嗟に
「蓋よ。守れ」
と魔法を使った。すると母さんの頭の上に鍋の蓋のようなものが一瞬で来て母さんの頭を守ったのだけどもその拍子にバランスを崩して転んでしまった。
棚の中からはこれでもかといろんなものが落ちてきている。それを見てると、元の世界の母さんを思い出す。片づけれないというかあの小さな棚の中に無理やり荷物を収める技術あきれをお通り越して尊敬するに至る。
やっと棚から物が落ちてこなくなったので、母さんを見ると、母さんはビンにの中に入っていたと思われる小麦粉で真っ白になっていた。
思わず側に側に寄ると何やら赤く鉄臭い匂いがする。血だった。
どうやら棚の物が落ちた時側にあった包丁に当たり母さんの手に刺さってしまった様だ。
包丁はさっくり手の甲の辺りに刺さっているみたいでかなり痛々しい。
私は思わず大丈夫?と声を掛けそうになるのをこらえて母さんを見つめ様子を伺った。
「イタタタタ。ユーリちゃんこんなところで何してるの?ってそんな泣きそうな顔してどうしたの?
って、あら手に何か刺さって・・・・・
包丁が刺さってるー!」
と自分の足に包丁が刺さっているのに気が付いた母さんは手の治療を始めた。
「え~とこの位の傷なら魔法の苦手な私でもなんとかなるよね?
魔力よ。私の手の傷を癒せ」
すると、母さんの手の傷はゆっくりとだがふさがっていった。
傷が治ると母さんは私に怪我がないことを確認して辺りに散らばった小麦粉の片付けも始めた。
「流石に私の血が混じっちゃたから小麦粉はもうダメよね。
魔力よ。辺りに散らばりし小麦粉と我が血を塵に還せ」
と魔法を使うと辺りに広がっていた小麦粉と血が黒ずみ塵となって消えた。
残った塵を風の魔法で吹き飛ばして掃除した母さんは棚から落ちた物を片付け始めたのだが、さっきの弾みでかどうかしれないが袖がほつれているのに気が付いた。
「あらやだ。ほつれちゃってるわ!
お裁縫道具取りに行くの面倒だから魔法で直そうかしら?
駄目ね。魔力が足り無さそうだわ。
お裁縫道具どこだったかしら?」
と片付けを終えて何処かへ行ってしまった。
私は今起きた光景を見てこの世界の魔法の凄さを確認した。
さっくり包丁の刺さった怪我が魔法の苦手と言っている只の主婦?があっという間に治してしまい。
床や体にかかっていた小麦粉や血を塵に換えてしまい。
服のほつれまで直せるなんて。
私は正直この世界の魔法はせいぜいRPGに出てくる程度の魔法だと思っていた。
怪我の治療なら神官か治療師みたいのがと思っていたし、物を塵に変えるなんて厨二なことは吸血鬼みたいのしか出来ないと思っていた。
しかし、実際は違った。
この世界の魔法は魔力は結構使うかも知れないけどかなり万能的な力だった。
この力があれば元の世界に簡単に戻れるかも知れない。いや、それだけじゃなくて元の男の姿に戻れるかも知れない。
私の中に熱い物が込み上げていた。
元の世界に・・・元の姿に・・・
私はそんな希望を胸に色々と考えて始めた。
叶わぬ夢だとも知らずに・・・・