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雲を掴む
積もったばかりの、雪のような雲でした。
きめ細かく滑らか、そんな質感のイメージ。
触れることなんて、本当は出来もしないのに。
想像は時に、事実を簡単に超えていきます。
知らないことを、知っているように思ったり。
知っていることに、それ以上の何かを感じたり。
波の打ち寄せる白い砂浜。
頭を過ったのは、行ったこともない場所で。
未だ、そこが何処にあるのかも知りません。
ふわりとした羽根みたいな雲。
思い出される触感は、不思議と確かなのに。
届かない距離では、確かめる術もありません。
もしも、手を浸せたなら。
もしも、撫でられたなら。
思いがけない感覚と出会うかもしれない。
眩しいまでに輝く薄雲。
そこに宿る熱すら、本当は知らないまま。
知らないまま、あると思っています。
触れもしないで思い描く。
それは思った以上に有り触れていて。
案外、世界は判然としないのかもしれません。
雲を掴むように。
撮影日2016年1月3日




