幾重にも
陽射しは、冬でも鋭いものでした。
日光が、刺さる様に降り注いでいます。
分厚い雲が、太陽を飲み込んで行きます。
溢れる光が描く、束の間の光景。
気が付けば、空には灰色が満ちていました。
先程までの眩しい白が、嘘の様に。
すっかり雲に包まった太陽。
移ろう空模様は、一時も待ってはくれません。
止まらない時が、日を傾けて行きます。
空の端、雲間からは陽光が漏れて。
黄金色。
空が鮮やかに染まります。
暗い雲に隠された、陽の沈む先。
零れる光は、ほんの僅かなのに。
空を廻っては、景色を変えて行きます。
万華鏡みたいに、幾重にも。
花の様に、夕焼けが映えます。
そんな一瞬は、まるで幻みたいで。
思う間もなく、失われて行きます。
遡らない時間は、どうしようもなく。
刻々と、終わって行く今日。
夜が、佇む雲に染み込みます。
過ぎるばかりで、戻らないなら。
せめて次は、と思うんです。
何度も、後ろ髪を引かれて。
何度も、振り返りながら。
残照に、夕陽は戻らなくとも。
明日の空に、思いを馳せて。
撮影日2015年12月21日




