表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/51

結婚前は甘えたい 1

お父様の言葉でやっと気づいた。

この世界で(前世)が目覚めてから、信頼できる人がいないと思ってた。周りは敵ばかりで、両親には実質頼れない。


だからセオドリク(一生のパートナー)は…セオドリク(一緒に人を断罪する人)は、信じられると思ってた。

だって、彼はこれからの人生で実質共犯者。人を絶望させるとき、隣にいるだろう存在。なら、一番私を理解してくれるんじゃないかって思った。


でも、目の前で優しく微笑むお父様に甘えたって、いいのではないか。


その時、突然執務室のドアが開いた。


「失礼します、父上…!?」


「!?」


そこには、弟がいた。


「…姉上」


「…」


「さぁ、仲直りをしておきなさい。」


「「あっ」」


そう言って、お父様は出て行ってしまった。

この状況で何をしろというのか。仲直り?出来るわけない。こちとら絶交覚悟だったんだから。


「…あの、姉上」


「…はい」


ウォォォォイ、弟よ!!ここで話しかけるか?話しかけるのか!?

まぁでもここは姉として聞かなければ。


「俺は、姉上を断罪しようとしました。でも、反論とすら言えないようなことで鎮圧されました。」


「…そうですね」


「あんな…証拠も大してなかったのに、家族を断罪しようと、思っていました。

次期公爵としてやってはいけないことだし、何より…まず姉上を信じてみるべきでした。」


ちょっとずつだけど話す弟に、私は衝撃を覚えた。

これは、正直予想外。だって、どこからセオドリクと繋がっていたかとか聞かれると思ったから。

そんな私の予想に反して、続ける弟。


「こんなこと、今更だけど…俺が、もっと家族と向き合っていれば、違う道もあったのかもしれないな」


それは、私も思ったことだった。あの時、たじろいだ弟を見て、かもしれないを思ったから。


「姉上、ごめんなさい」


私は、なんと返せば良いんだろう。許します?違う。私が言わなければいけない…言いたい言葉は


「ごめんね、レオ」


「!」


そうだ、私はずっと謝りたかったんだ。だって、仲良くしてた弟が離れていったのは、自分が原因だって…本当は分かってたから。


「今からでも、違う道にはいけないかな?」


これが、私の願いだった。

そんな私の言葉を聞いて、顔を歪めた愛しい弟は


「あ、ねうえ、名前を呼んで、ぐだざいぃ」


泣きながら私に答えてくれた。

あはは…弟を泣かせちゃうなんて、駄目なお姉ちゃんだなぁ。


「ーーレオ!!」


何年ぶりだろう、レオって言うのは。


こうして、長きに渡る姉弟喧嘩は幕を閉じたのだった


「ねぇ、そろそろ入ってm」


「ダメよ♪」


それを微笑ましく見ている(覗き見している)両親がいたとかいないとか。


「「って、何覗いてんの!?」」


途端にリンゴのように赤くなったレオ、なんかちょっと嬉しそうなお父様、「あら、バレちゃったわね」と言いながらもウキウキなお母様。


「真っ赤なレオも可愛い!!」


何このカオス!?


「姉上…?」


「あ、間違えて心の声が出ちゃったわ!」


「姉上ぇぇぇ!?」


いや〜涙目のレオも可愛いな!カメラを持っていなかったことが悔やまれる。


「仲が良いのはいいんだけど、僕のこと忘れてない?」


「「あ」」


「何その、あ、忘れてたって反応!パパ悲しい!!」


「…そんなことないよ、忘れてないよ」


「…そんなことないもん、私パパだーいすき」


「目を逸らしながら言わないで!?」


…本当にそんなことないもん。パパだって前世でお目にかかることがないようなイケオジだし。ただほら


「かっこいいけどレオがいると霞むの」


「これ程レオンが憎く思ったことはないよ」


おろろ、今度は親子喧嘩が勃発?

あれ、と言うかレオン?


「レオはレオンじゃなくてレオでしょ?」


「ん?」


「?」


「んんん?」


「???」


負けずにハテナを増やしてみた…ってそんなことより、レオよね?レオンじゃないよね?小っちゃい頃の記憶でもレオだったし。でもお父様がレオンって言ったんだよね〜。


「あ、改名したの?」


「してないよ??俺、生まれてこのかたずっとレオだったよ?」


「え?」


「え?」


「…マジ?」


「マジ」


【衝撃】レオはレオンだった!


「【悲報】姉上に名前を覚えてもらえなかった」


「ごめんんんんん!!って、え?」


今のって物凄く、異世界人が言うことじゃないと思うんだけど。もしかしてもしかして


「レオって怜い(さとい)音の怜音(レオン)?」


「マジか姉上」


「マジだ弟よ」


さらなる衝撃、レオは怜音だった。


「魂レベルのストーカー?」


「それは姉上では?」


そう、彼はなんと前世で私のハートを鷲掴みした、天使過ぎる弟 怜音ちゃんだったのだ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ