調査に潜入してみよう 5
「それって、ここの牧場大丈夫なのか?」
「動物とのふれあいでえなんとか凌いでいるみたいです」
それは良かったけど…なんで値段に差が出てるんだろう?
「…いつの間にそんな情報を手に入れていたんですね」
マシューが感心したように呟く。
ほんとにその通りだよ。だって私達3人の誰も気づかなかったんだから。
「えっと…本当にたまたまですよ?宿の人に教えてもらって…」
「でもすごいよ!だってマシューはわからなかったんでしょ?」
「えぇ、気にしてはいたつもりでしたが、宿の手続きの方に集中していたので…」
「えへへ…」
ララさんも褒められすっかり元気になったみたいだ。
「でも、なんで品物に値段の差ができたのでしょうか?」
「なんでだろうね?」
でも、それは結局わからなかった。
「そういえばなんですけど、公爵が税金をかけるのって何にでしたっけ?確か肉と野菜と…」
「お酒です。フィエルテ領の名物に関税がかけられています」
そういえばウチの領ってそうゆうのが有名なんだよね。…全然知らなかったわ。
なんて呑気に考えていると、マシューからジト目で睨まれた。
「フィエルテ領は、アミティエ領に輸出を多くしています。ここは公爵領なので輸入品を買う民は多いでしょう。なのにその輸入が関税のせいで止まったら、大打撃ですよ」
「でも、利益が出なくなるだけ…ですよね?」
「いいえ、アミティエ領が買わなくなった分の物が余ります。あそこは膨大な土地があり物が余るからこそ輸出できるんです。なのにその余った物が引き取ってもらえないじゃ困るでしょう」
「それって…ヤバくない?」
「ヤバイですよ」
待って待って…これは本格的にヤバくない?私っていうよりも実家が。
「他の貴族は助けないでしょうね」
「え?フィエルテって王妃様の実家なのに、ですか?」
「実家だからですよ。これ幸いと、王妃の生家として力をつけるであろうフィエルテの権力を、少しでも減らそうとしますよ」
…あー、うん。安易に予想できるっていうか、足の引っ張り合いって醜いよねっていうか…。
「ん?…でもここの食料がフィエルテ領のだったら、民は飢えないか?それでアミティエ公爵の人気が落ちたりは」
「そこは大丈夫でしょ。だってわ…ごほん、王妃様が決めた税だけだったら、給料はあまり減らないでしょ」
「ということは、これからは懐に余裕ができる、つまり自領が作った高い物も買えるってことですか?」
「そう。…とはいえ長い間倹約してたから、いきなり高級品とかは買わないでしょ。癖が抜けないだろうし。」
にしても、これは本格的にまずい気がする。
まぁ、私がピンチってわけじゃないからまだ良いんだけど…。あそこの次期当主はレオだ。
つまり、私の可愛い可愛い弟なんだ!!
「とりあえず、明日は市場に行きましょう」
「市場?」
こいつは急に何を言い出すんだろう?
「はぁ…。フィエルテ産か調べないといけないでしょう?」
「そういえばそうだったわね…。でも、肝心な対策は分からないよ?」
そう、困ったのはだからどうする?ってところまでしか分からないということだ。
私達が分かったのは、フィエルテに関税をかけたらフィエルテがやばいってだけ。肝心の対策がまだ分からないのだ。
てゆうか、まだアミティエのお肉と他領のお肉の値段差についてすら分かってないんだけど。
するとマシューは呆れたような、心底不思議に思うように言う。
「何言ってるんですか?」
「え?」
そしてマシューは、私の前で初めて笑った。…とてつもなく、意地悪っぽい笑みなんですが。
「僕たちの仕事は調査でしょう?」
「…あ」
「対策は優秀な王妃様が考えてくれますよ」
優秀な王妃様ってところに怨念を感じるんですが…?
って、それよりも
お前も私任せかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
…いや、王の私任せより百倍マシだわ。




