調査に潜入してみよう 3
「この豚ちゃんたちって可愛いですね!」
「そうだろそうだろ〜」
私は今、牧場主さんの前で豚を褒め倒していた。
なるべく自然な流れで関税について聞くために、とりあえず油断させるところからやろうと思ったのだ。
そもそも関税というのは、国産が外国産にコストで負けないための税金だ。
そしてそれは、生産者を守るためとも言える。
だから私は、その生産者に関税で利益が得られるのかを聞こうと思った。
だってそもそも同じ国だし、関税なんてしなくてもいい気がするから。
因みにリクは、消費者である若い女の子達に声をかけまくっている。
つまりナンパをしまくっているのだ。楽しんでるかな?
まぁそんなことはともかく、そろそろ聞いておこう。
「輸入を制限すると、牧場主さんって儲かるんですか?」
sideララ
ここは宿へ行くための道。この時間は宿をとりに行くための人で混んでいる。
そんな私、ララとマシューさんは宿の予約を取りに行ってた。
調査に来たはいいけど、宿の予約を取るくらいしか役に立たないんじゃないかって不安になる。
あ、私は普通の平民なんだけど、抽選で平民も国のちょうさに参加できるようになったんだよね。
とびきり優秀だって言われる今の王様と王妃様が決めたんだって。よく分かんないけどすごい人なんだね。
「何ぼけっとしてるんです?」
一緒に来たこのマシューさんという人は、少し怖い人だ。
なんかずっとむすっとしてるし、アナさんのことをバカって言うし…。
それに、今みたいに言い方にとげがある。
「別に足を止めたわけじゃないですよね?」
「でも注意力散漫で人にぶつかったらどうするんですか?」
「ちゃんと周りを見てますよ」
「はぁ…。わかりました、人にぶつかっても知りませんよ」
呆れたような、馬鹿を見るような目にイラつく。
それじゃあまるで、私が聞き分けのない子供みたいじゃないか。
「…あの、なんでそうゆう言い方するんですか?」
少し不思議に思ってしまった。
きっと、優しければモテるんだろうと。なのになんで優しくしないのか。
彼の見た目はいわゆるイケメンだ。だから優しかったら女の子達に囲まれるんだろう。
「そんなのどうでもいいでしょ。…ほら、宿につきましたよ」
「…そうですね」
あーあ、せっかくのイケメンが台無しだ、なんて母は言うだろうか?
私は母じゃないからわからないが、その子供扱い?をやめてくれれば良い人なのにな、と思う。
ドワを開けると小さな女の子が迎えてくれた。
「いらっしゃいませ!」
多分ここの宿屋の娘さんだろう。
「…えっと、今お母さんがお買い物してるので、後ちょっとくらい待ってもらえれば受付?ができます」
少し不安そうに女の子が聞いてくる。
多分、母親が出ているときの客にどう対応すれば良いのかよくわかってないんだろう。
「そうですか。では待ちますか」
「…あ!じゃあ、こっちの椅子でお待ち下さい!」
椅子に座ろうと思ったら、宿屋のドワが開いた。
「ただいまぁ〜」
「あ、ママ!お客さんだよ!」
「あら、いらっしゃいませ!今から受付をしますか?」
「はい、お願いします」
今更ながら思ったのだけど、私もアナさん達と一緒にいたほうがよかったかな?宿の予約くらいマシューさんだけで十分だろうし。
ボーッと考え事をしていたが、ここには一応調査できていたことを思い出す。
うーん、宿の人に何か聞いてみようかな?
「…あ、これってさっきの牧場のロゴかな?」
あたりを見渡していると、さっきの牧場で見たロゴの入っているバックを見つけた。
「お、あそこに行ってきたの?これあそこで貰った景品のバックなのよ。あそこのお肉新鮮で美味しいのよね〜」
「そうなんですか」
「でもその分高いから、他の領でとれたお肉を買う人が多いのよ。だからあそこも大変らしいわ。」
「え、大丈夫なんですか?」
「今は動物とふれあえることで人気だから、大丈夫みたいよ」
それはよかった…。
あ、結局調査に役立つことなんて分からなかったな…




