女好き
久々
アルテアが極度の女好き、これは思ってもみない情報だった。
エリーはアルテアの女の趣味までレポートにしてまとめてきてくれた。
しかし6歳の女好きっていったいどういうことなんだよ……。
と、常識的に考えてしまったのだが、あいつは転生者だ。
中身はどうせ女にモテたことがないような男なんだろうか。
って、そんなことはどうでもいい。
一通りレポートに目を通した俺は確信した。エリーならいける、と。
俺は早速指示を出した。
「女好き……。使えるなそれ。エリー、アルテアを誘惑してくれ。どんな手でもいいからなんとかしてアルテアをこの予備棟まで誘導してきてくれ」
俺はあえて手段を特定せずに指示を出した。
いや、むしろ俺が考えるよりはエリーが自分で考えた手段で誘導するほうが明らかに良いと思ったからだ。
残念ながら俺は誘惑された経験が乏しいので、女好きを誘惑する手段を具体的に指示できない。
悲しい現実に俺の心がうずく。
いやそんなことは今どうでもいいんだ。
「わかりました!なんとかしてみせます。ちょっと自分の部屋で確認したいことがあるのでいきますね」
「任せたぞ」
エリーがなんとかすると言ってくれた。それだけで十分だった。
「では私は行きますね。必ずアルテアを連れてきます。絶対勝ちましょうね!」
エリーは小走りで去っていった。
しかし、どんな手段を使うのかはちょっとだけ気になる、いやかなり気になるところなんだが、あとでことが済んだら聞いてみるか。
「わしもエリーを手伝うのじゃ!」
アリシアが食い気味に割り込んできた。
しかし、それはどう考えても、いやどう見ても愚策なのではないかと俺は思っていた。
レポートを読んだ俺にはアリシアが今回の誘導に役に立つとはどうしても思えなかった。
俺はアリシアを怒らせないように言葉を選んで答えた。
「アリシア、今回はエリーに任せよう。きっとエリーのが適任だ」
それを聞いたアリシアはどうにも納得しきれない表情で近づいてきた。
「適任?どういうことなのじゃ?」
いやまぁ適任ってのは言葉のとおりなんだが……。
実はレポートにはこう書いてあった。
「とくに胸が大きい女性が好き」
こんなん書かれたらもうエリー以外に選択肢はないだろう。
だけどこれをそのままアリシアには伝えることはできない。
だってそんなことしたら俺がまた死ぬ、いやこの世界が終わってしまう。
「わからんのじゃ!わしも誘惑するぞ!」
誘惑の意味を知っているのだろうかこの元魔王様は。
いやアリシアは魅力的だ。
俺は好きだぞ俺は。
だけどやはり引っかかるのは「胸が大きい」ということだ。
アリシアは年相応?いや魔王だから人間基準ではないのだが、やはりどう見ても少女的というかなんというか。
まぁ世間一般的な単語で表すと「貧乳」なんだよなぁ……。
「ほれほれどうじゃどうじゃ」
何故かアリシアは俺を誘惑してきた。
自分もこれだけできるというアピールなのだろうか。
腕を抱きしめながら、俺のほっぺに顔をスリスリしてくる。
「わしの魅力にメロメロのようじゃの。照れんでいいぞ」
いい匂いがする、サラサラの髪の毛が腕に触れて気持ちがいい。
しかし、俺の心は全く誘惑されていなかった。
なんというか妹と接している感じがしてならないのだ。
やっぱりだめだ!これじゃあ作戦は失敗してしまう。
「その魅力は他の人に使わないでくれ。俺だけのためだけに使ってくれ」
とっさに出た言葉だった。
言ったあとにめちゃくちゃ恥ずかしくなってしまった。
なにいってんだこいつ、いや俺。
アリシアに素直に変なこと言ってごめんと謝ろうとしたところ、アリシアがさっと俺から離れて後ろを向いた。
やばい……完全にキレたか?終わったな俺、終わったな世界。
「なんなのじゃもう。変なこと言うのじゃないのじゃ!わかったのじゃ」
そう言ってアリシアは走って去ってしまった。
ちらっと見えた表情はいささか赤面していた。
とりあえず、なんとか誤魔化しが効いたが、なにか重大なことが起こった気がするのは気の所為だろうか。
「あとは俺の装備だけだな」
俺は確認するようにつぶやいた。
最終的に誘導が成功して一対一の状況になったときにかかせないものがあった。
学校に併設されている図書館で必要なものをは確認した。
こうして作戦当日を迎えた。




