初日に死す
俺は生まれながらにして勇者として祝福を受けた身であった。
強い勇者になり魔王を倒すために厳しい修行にも耐え、魔法も身に付けた。
そして今日、ついに旅立ちの時が来た。
まずは仲間を集めねばならない。占いによると西の都に仲間となる女の子がいるという。
「母さん。俺は今日勇者として魔王を倒す旅に出ます」
こうして俺は旅立った。
そして西の都についたのだが……。
「魔王は異世界より転生してきた勇者様が一撃で倒してくれたぞ!」
喜ぶ民たち。
囲まれている中にはいる人物が異世界より転生してきた勇者だと言う。
明らかに勇者とは思えない態度で仲間らしき女の子、そして亜人を連れている。
「あれ? 俺の出番は?」
この世界の神の声が答える。
「ないぞ」
こうして俺は一日で勇者を廃業した。
そしてショックのあまり心不全で倒れ死亡した。
母さんごめん。でも死ぬほどショックだったんだ。
「目覚めなさい」
俺が目覚めるとそこはあらゆる異世界へと続く扉があるという場所だった。
「今、異世界に転生者というやからが大量に誕生しています。そのことによって因果のバランスが崩れてしまっています。異世界に転生してくるのは大体がクズ。例えばニートで親に迷惑をかけてたくせに働こうともせずぶらぶらしていたらトラックに引かれて死んだとか。
自分の人生がつまらないのは自分のせいなのに何故か運命のせいにして転生した奴とか。
自業自得で死んで当然のクズなのですが何故か勇者として転生し、力を利用して暴れまわっています。ある世界では奴隷を大量に買い込み国を作ろうとしたり。ある世界では女の子を大量に仲間にしどうでもいい旅を続けたり。これはいけません。貴方はそんな転生者を狩る者に選ばれました」
「確かにそれは許せないな。俺にまかせろ。今度こそ世界を救ってやる」
こうして俺の転生者狩りは始まった。