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引越し先を見に行った
6歳の夏だったと思う。
その頃、父が勤務する会社の社宅に住んでいた私達家族にとって一大転機が訪れた。父がマイホームを買ったのである。
まだあの時、うちの父は30歳前後のはず。すでに弟と妹も生まれていたので5人家族、それで家持ちだ。素直にすごいと思う。
大阪の中心地から電車で約一時間離れたところにその新築の家があった。
いわゆるニュータウン。都心郊外にある自然豊かなエリアに同じような新築物件が立ち並ぶ人口増加エリアだ。
確かあの日、祖母に手をひかれて幼い私と弟は建築途中の家を見に行ったのだ。
大工さんがトンカンやっているのを見た後、すぐ近くの公園で祖母に買ってもらったバナナを昼食代わりに食べていた覚えがある。
裏を返せばその頃は今ほど暑くなく、木陰にさえいえば子供の自分でも暑さに耐えられたのだ。
「ここが自分の新しいおうちなのか」と思ったのかどうかまでは覚えていない。
ただ、バナナを食べたことだけは不思議と覚えているのだ。




