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部長が襲うので安心して寝られない的な話  作者: みずはら
[第1章]ジャーナリストじゃない僕
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(5)事の顛末

「それは何?」

 その、ジャーナリストじゃない僕の前に、仁王立ちになっている女性約一名。

 うんうん、前置きが長くなったな。

 時間は戻って、今、僕は、生徒会室に居るわけ。

 あの後、生徒会に連行され、取り調べを受けていたんだ。

 っで、生徒会長様の取り調べを受けた時に、当然手の中にあるUSBメモリーも発見されたわけで。

 ひとみの質問に答えられるはずはなく、勝ち誇った表情の和人に取り上げられ、生徒会室のPCに差し込まれた。


 僕の頭の中は、『これ取られたら、銃殺だからねっ!』と言う蘭花の言葉がぐるぐると回っており、ポーカーフェイスを保っていたものの、内心は、滝のように冷や汗が流れていた。

「まあ、蘭花ちゃんも策を弄したつもりだろうが……。まさか、新入部員は疑われないだろうってね」

 画面で新規のハードが見つかり、ドライバーをインストールしている画面を見ながら、和人が楽しげに呟く。

 僕の祈り(何のだ?)が通じることはなく、USBメモリーはあっさりと認識され、内容がモニターに表示される。

 空港で、エロDVDが検閲で引っかかり、取調室で確認される大人も、多分こんな気持ちなんだろうな。

 しかし、画面を見ていた和人の表情が、みるみるうちに歪んでいくのが端から見て取れた。

「何じゃあ? こりゃあ?」

 どこぞの刑事ドラマの主人公が殉職したときのような和人の叫びに、ひとみはもとより、僕までもが何事かとモニターに駆け寄る。

 和人が見ているモニターには、フォルダー内容がプレビューされていた。

 山や、鳥の写真が入った画像ファイルが。

 うんうん、なかなか良く撮れているなぁ……

 って、

 ……え?


「えーと、川上君。これは何なの?」

 ひとみが僕の名札を確認し、手を腰に当て、僕を睨み付ける。

「えっと、……風景写真のようですが」

 そんなこと、僕が聞きたいよ!

 頭中はてなマークを浮かべながら、見れば分かることを答える。

 その答えに、ひとみの眉がつり上がり、次の瞬間、USBメモリーを乱暴に向き取った。

「あっ、会長、安全な取り外しをしないと……」

「うるさいっ! はいっ、十七時五十九分証拠品押収っ!」

 和人の声を遮り、ひとみはUSBメモリーを乱暴に押しつける。

「紛らわしいことしてっ! おかげで、あいつらは取り逃がしちゃったし。どうしてくれるの?」

 ……『おかげで』って、僕のせいですかぁ?

 ていうか、それ持って行かれると、DMZ規則第九条違反で僕の命の保証が……。

 ひとみは、涙目になってる僕の襟をつかみ、顔を近づける。

 吐息が感じられるぐらいの距離。

 僕の鼓動が、無意味に跳ね上がる。

 それにしても、蘭花といい、高山学園の女の子は、このぐらい歳の男の子の気持ちを考えてくれてない!

「いい? もし、私達が警察だったら、これは、立派な公務執行妨害よっ!」

 そんな、無茶苦茶な!

 大体ですねぇ、僕は被害者なんですよ? 被害者っ!

 そんな心の叫びなど聞こえるわけもなく……。

「こちらの二人は、何も持っていないようです」

 しくしくと本格的に泣いている女子一名と、相変わらず惚けた顔の男子一名のボディチェックをしていた生徒会委員の男女が、首を横に振る。


「あいつらっ!」

 ひとみは吐き捨てると、僕の襟を離し、突き飛ばした。

 尻餅をつき、呆然と見上げる僕に対し、ひとみは目一杯冷たい視線を投げつけ、

「まあ、あなたも、共犯者だし、覚悟しておくことねっ!」

だめ押しの一言を出した。

 ……ちょっ! だから、僕ははめられだだけだし

 繰り返して言おう、これは、間違っても、某インターポールの警部とクールな怪盗との宿命の対決ドラマではない。

 地元の進学校で志望校を目指して、真面目に勉学に励む少年少女の物語……のはずだ。

 そして、誤解の無いように言っておくが、DMZ同好会とは、「Digital Music Zone」の略。

 つまり、パソコンで音楽を作る、いわゆるDTMってやつを楽しむ同好会で、よく似た略称がある軍事関係の部活でもテストの問題を盗んだりする部活でもない。

 そろそろ自信なくなってきたが……


 しかし、今回の騒動は、どう決着つくんだろう。

 僕の家は親父が厳しいから、保護者呼び出しと言う事態だけにはなりたくないなぁ……。


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