第六話 夏さんと仕事終わりに
面接を終えた後、夏さんが終わるまでまだ時間があったので売場を見て回ることにした。
元々働いていた小売店とは店舗が違うだけで、同じなので大きくさはない。
しかし、働いている人や上司によってかなり変わるところもあるので改めてチェックする。
店長をする前は、お魚のを扱う部署にいたため魚コーナーから見ることにした。
朝も訪れたがやはり、昼に見たほうが売り場も埋まっており偵察にはいい時間だ。
「かなり埋まっているな」
俺の時代では発注や店舗の作業場で商品を作って出すのが当たり前だったが、今は発注も個人の力量に依存しない仕組み化が進んでいる。
しかし、異常値が大きいセールスの日や行事ごとの計画、管理や店舗ごとの格差に応じた売り方はを管理するのが売場長の仕事になるだろう。
日常の売場レベルであれば問題なく埋まっているわけだ。
「それでも、現場はたいへんだろうな」
組織は失敗したらそれを回避するため対策をしなければならない。
それ自体は当たり前で、二度と同じ過ちを犯すべきではないだろう。
しかし上の人が納得するように対策を考えると作業者の首をしめる。
「現場視点で考えないと結局やらなくなるか、ただやらされているでけで良くない結果になってしまうんだよな」
ただ言わされているだけ、ただサインをしてるだけで中身のないことばっかりが増えていくと問題はなくならない。
正直、「本当にこの対策は可能なのか」、「コレをやるとして他のところを取りこぼさないか」と思うときもあった。
つまりルールにルールを重ねて、苦しくなった今があるということだ。
そういうのが、企業の新陳代謝に繋がるのかもしれない。
栄枯盛衰ってやつだ。
「あとは、惣菜やお肉、加工食品も見にいこう」
売場を見ながらついでに、今日のご飯を考えることにした。
昼は節約飯なので、夜ご飯はいつも少しいい食事を心がけている。
お肉とかはふるさと納税を利用したりして節約お昼を維持できるようにしている。
お肉コーナーの棚を眺める。
パックに貼られた価格ラベルを見て、俺は心の中で静かに計算を弾く。
「豚ロース、100グラムあたりxxx円か……。悪くないが、我が家の『兵糧』と比べれば勝負にならないな」
我が家の冷凍庫には、先日「楽天ふるさと納税」でポチった宮崎県産の豚肉がなんと4.7キログラムも眠っている。
自己負担は実質2,000円。それすらも楽天ポイントで相殺しているため、実質タダのようなものだ。計算すると、100グラムあたりの単価は数十円レベルにまで叩き落とされている。
確か、野菜コーナーで良い野菜があったな。
「今夜はあの宮崎豚を使って、夏さんが喜ぶ生姜焼きにしよう。タレは家にある調味料で自作するので、市販のボトルを買うなんてことはしない」
肉自体は前日で解凍しているので問題ない。
夜ご飯は決まったので、一通り売場をみてまわった。
そうしていると、夏さんが仕事を終える時間になった。
「そろそろ買い物をするか」
野菜コーナーへ移動し、キャベツと、玉ねぎをカゴに入れる。昼飯を抑えているからこそ、こうした最低限の出費にも一切の躊躇がない。
お会計を済ませて車に向かった。
夏さんはすでに車で待っている。
「お疲れ様、今日の夜ご飯は生姜焼きね」
「お疲れ様、生姜焼き?やったー。ところで今日の面接はどうだった?」
「多分大丈夫じゃないかな?一応夏さんと同じ場所にはちゃんと希望したから、何かあったらフォローできると思うよ。じゃ、行くか」
エンジンをつけて、カローラツーリングを発進させた。
自動運転レベル4がかなり進んでるが、みんながのる大衆車にはまだ実装されていない。
お金の問題なのか、法整備が問題なのかはわからないが商業車や公営の乗り物しか実装がない。
なので、自分で運転をする。
「イートインで過ごすんだっていっていたけど、本当にイートインで長時間大丈夫なの?」
当然の疑問だ。
多分常人にはできないだろう。
ましては、人事異動次第では、過去の後輩や俺の部下がお店に配属になったり、知ってる中のお偉いさんも巡回とかで会うことになるだろう。
元部下にイートイン、しかも月20回もいる。
昔は指導されてこともありイートインにいる姿はギャップが凄く、変な人認定はまちがいないだろう。
「まぁな。夏さんの異動に合わせて私も店舗を動けば、車も1台にまとめられて無駄な維持費やガソリン代という『中間搾取』を徹底的に削れるからね」
これはあくまで、イートインにいる理由である耐えられる根拠にはなっていない。
納得させるには。
「なによりこれまでの資産があると、そんな些細なことはきにならなくなるよ。ブログや小説を考えてると時間がすぎるのもあっという間だからね」
「ふーん、そうなんだ」
納得はしてなさそうだ。
やはり、常人には無理すぎるのかな?
「納得してる?」
「してない。普通に考えて無理だよ。でも、松さんならいけるのかな?」
これまでの、ストイックな生活から半信半疑なんだろう。
お家でこもっているより、働きつつイートインで新たなネタがう生まれるかもしれない。
そんなチャンスを逃すのはもったいない。
「いざとなったらカローラツーリングという空間もあるから大丈夫だよ」
「確かに」
無事、納得してもらえたようだ。




