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イートインの松さん  作者: 松さん


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第二話 昔から考えている副業は未来では通用するのか?

 いつもと違う、会社に行かなくていい朝。

 朝日が差し込むリビングで、手作りのお茶をゆっくり味わい、これまでの慌ただしい生活との違いを実感する。


 「少し寝すぎたな」


 俺は小さく呟いて立ち上がった。この有休消化の20日間は、フルタイムの社会人からセミリタイア生活へと体を慣らすための助走期間だ。

 一応、昔からセミリタイアに向けた取り組みは続けてきた。

 『小説家になろう』での執筆、ブログの更新、そして動画投稿への挑戦。

 どれも趣味の延長として細々と触ってきたものだが、これからは1つの事業として、しっかりと収益化に取り組んでいこうと思う。

 さて、昼食の支度だ。

 最近の定番は、乾燥わかめと梅茶漬けの素を使った『和風オートミール粥』。


 『和風オートミール粥の簡単レシピ』

 1. 電子レンジ・140℃対応タッパーに、オートミール50gを入れる。

 2. 乾燥わかめをひとつまみ、そこにお茶漬けの素を投入する。

 3. 熱湯を200ml注ぎ、よくかき混ぜて1分待つ。


 たったこれだけだが、ダシの効いた香りが立ち上り、まるでお茶漬けのような深い味わいを楽しめる。火も使わず、忙しい朝にはもってこいだ。

 食費は一食わずか200円以下。この地道な積み重ねが、セミリタイアへの土台となっている。

 昨日の夜のうちでタッパーにセッティングして、食べる前にお湯をいれるようにすればお弁当としても非常に優秀だ。


 「いただきます」

 

 俺はスプーンで粥をすくい、噛み締めるように味わった。

 もちろん、夏さんの分も同じようにタッパーへ用意し、仕事へ出かける彼女に持たせた。

 少しタンパク質を足したいときは、魚肉ソーセージを輪切りにして添えるといいだろう。

 よく噛んで食べれば、満腹感も申し分ない。


 「……よし、今日はこれからやることリストを整理するか。まずは日々の家事から整理しよう」


 ふと、部屋の中を見渡す。

 お掃除ロボットに食洗機、乾燥機能付きの洗濯機。

 これまでフルタイムで働きながら導入した三種の神器のおかげで、家事の時間は驚くほど短い。

 洗濯機のすぐ隣には服の収納スペースを配置しており、片付けはゼロ距離だ。

 動線を徹底的に合理化している。

 買い物は決まったお得なお店をメインにし、無駄な出費はしない。

 こうして生活の土台を固めていくことが、将来への確実な一歩になるはずだ。


 「他の家事は休みの日にやるとして、次は本題の副業だな」


 残された時間は、自分の目標である副業の収益化ルーティンに充てる。

 俺はテーブルに置かれた箱を開いた。中には、新しく購入したノートパソコンが入っている。


 「作業効率を考えれば自宅のデスクトップが一番なんだけど、持ち歩きを考えるとやっぱり必要だ」

 

 決して安い出費ではないが、副業を1つの事業として収益化するには必須の投資だ。

 今の時代AIが何でも補完してくれるし、生成文字も何万文字と生成してくれる。

 だからというべきか、ありがたいことに人が作った物語はまだ需要があるみたいだ。

 それは、体験談やその人の色が見えて面白いのはAIが要約しきれない『人間の感情の揺らぎ』があるからだ。


 「とはいえ考えている副業がAIの活躍で駆逐されたら俺ができる副業もなくなり、セミリタイアどころかまた職を探さないといけなくなるな」


 技術の進歩は恐ろしいもので、なんども未来予想図の更新を行ってきた。

 しかし、抵抗するのではなく活用しなければ時代に取り残されて出遅れてしまう。

 そこで活躍するのが皮肉にもAIである。

 ここまでの未来予想図や副業の練習、NISAなどのアドバイスを行ってくれた。


 「AIで消える可能性があれば、AIによって掴める可能性もあるかもしれないな」

 

 文章の要約でブログなどの閲覧がなくなり、稼げなくなると思っていたが実際は違うようだ。

 AIも人のブログなどから情報を得ている。

 その情報元がなくなるとAIは学習できないし、古い情報しか言わなくなる。

 そのため、一次情報であるブログなどは価値があるってわけだ。


 「やはり執筆、ブログ、動画投稿は間違っていないだろう」

 

 昔から趣味程度に行っていたこの三本柱で攻める際、気をつけるべきものはAIを過信しすぎないことだろう。

 結局AI色が強いと、差別化ができずにありふれたコンテンツとなってしまう。

 悪魔の代弁者を意識しながら、AIの意見を疑い、自分の意見を疑ってもらう。

 その工程が自分の意見の精度を高め、力にしてくれる。


 「人間は楽な方に流されがちだ。AIの意見をしっかりと自分の意見として落とし込み、理解しながら使っていこう。」


 リタイアをしたい俺こそが、楽な方に流されたい代表選手ではある。

 真の楽であるリタイアに向けて頑張っていきたい。


 ◆◇◆◇


 夏さんが仕事から帰ってきた。

 

 「夏さん、お疲れ様」

 

 「お疲れ様。疲れたー」


 「夏さんはセミリタイアしなくていいの?」

 

 夏さんはセミリタイアをしない。

 理由は、仕事がそこまで苦痛ではなく、暇が増えたりすることにより消費の増加が怖いようだ。

 もともと夏さんは自己管理が得意な方ではない。

 生活防衛金やNISA、節約も俺が主体でやってきた。

 

 「んー、副業も思いつかないし、それだったら今の仕事のままがいいな」

 

 10年以内には二人で完全にリタイアをして、一緒にスローライフを過ごそうと思っている。

 今まで我慢してきた旅行、グルメツアー、プチ贅沢もしたい。

 そのために、若い時からお金をコツコツと運用してきた。


 「いずれは完全にリタイアして、二人の時間を大切にしようね」


 その約束が実現できるよう、これからも頑張っていこうと思う。

 

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