表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の心はおじさんである【書籍漫画発売中!】  作者: 嶋野夕陽
14章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1596/1625

厄介ごとを持ってくる性質

 船着き場に戻ってくると、丁度行成の部下たちが荷物を運び出しているところだった。その中にオオロウも混じっており、自分の背丈以上に箱を重ねて運んでいるようであった。

 力持ちなので重さの面では心配がないが、前が見えていなさそうなのが気になるところだ。そんなことを考えながらハルカが近寄って見ると、ちゃんと行成が誘導係についていた。

 確かに行成が自分で運ぶよりも誘導係についた方が効率は良さそうだ。

 

「手伝いますね」

「あ、ハルカさん、いえ、皆さんは……」


 ハルカが荷物運びに参加しようとすると、行成がそれを止めようと慌てたが、すぐ後についてきていたイーストンがそれを遮る。


「手伝うよ。偉そうにしててもおかしいでしょ」

「……そうですね、お願いします」


 一応今のハルカたちの表向きな身分は、〈北禅国〉の付き添いである。

 人の見える所では、それらしく働いておくべきだ。

 

「エイダさんは行成さんの近くにいてねー」


 コリンがエニシの横を通る時に、小さな声で指示を出す。

 エニシに荷物運びは難しいだろうし、今はミステリアスな雰囲気を出しているので、一番偉い行成の近くで大人しくしているのが正解だ。

 ハルカも魔法を使わずに木箱を運び出し、皆で列になって宿の方へと向かっていく。オオロウがたくさん運んでくれたおかげで、往復する必要はなさそうだ。


 宿は歴史がありそうな立派な木造建築で、従業員は女性ばかりだ。

 これは別に行成が特別に奮発したわけではなく、この〈神龍島〉に存在する宿のほとんどが、基本的に大名家を迎え入れるために作られているというだけだ。

 ある程度の家格の集団であれば、立派な宿を押さえるのは当然のことである。

 もちろんどの大名も貢物を持ってきているため、それらを保管するための部屋も用意されている。

 ハルカたちは言われるがままに荷物をそこへ運び入れる。


 それが終わると、行成が先頭に立って旅館内を案内してくれる。

 最初はここの従業員が案内をしてくれようとしたのだが、行成の方から食事の準備以外は基本的にかかわらなくていいと伝えて、人払いをしたのだ。

 必要な時だけ、声をかけていくようなやり方である。


 さて、荷物を置いたところでハルカたちは、無駄に広い行成の部屋へ集合することになった。今後の予定やらなにやらを話し合うつもりであったのだろうけれど、ハルカはすでにいくつか伝えねばならない事態を抱えている。

 輪になって座ったところで、ハルカたちの妙なアイコンタクトを見て、行成が首をかしげる。


「あの……、なにか問題でもありましたか?」


 これはハルカたちが問題を起こしたか、という問いかけではなく、自分のとった宿に関する心配である。

 ただ、質問されたハルカの方はそう捉えず、誰かかわりに話してくれないかなとアイコンタクトを取るのを諦めて、先ほどまでにあったことを白状する。


「実は先ほど人通りの少ない所へ出たところ、〈西園国〉の西陣真鉄にしじんまがねという方が率いる一行と、〈御豪泊〉の鬼灯磊三ほおずきらいぞうと言う方が率いる一行に声をかけられました」

「それはまた……、いきなり大物ですなぁ」


 〈北禅国〉とは島が一つ二つ離れた所にある国の人物たちであるが、どうやら知恵袋たる茂木はよくよく知っているようだ。驚き半分、呆れ半分といったところだろうか。

 ハルカをよく知るものからすれば、まぁ、ハルカが無軌道にプラプラすれば、問題の一つや二つ持って帰ってくることはよく知っているので、驚きも少ないのだろうけれど。


「どうやら両国の仲はあまり良くないようで、喧嘩になりそうになりまして、結局仲裁をする形で解散をしました。…………えー、いえ、正しくは手合わせをして勝利し、お帰り願いました」


 さり気なくちょっと嘘を交えてしまったことを、自身で反省しつつ、ハルカは話の内容を訂正する。誤魔化してもどうせ後でばれるのだから、自らの口から話しておくべきである。


「真鉄殿らはそのまま立ち去って下さったのですが、どうも磊三殿には粘られてしまいまして……」

「申し訳ござらん。我が主磊三殿は気味が悪いほどにエイダ様のことを好いてござって……、こう、気味の悪い能力を発揮した末に、本人であると看破したでござるよ……」

「……な、なるほど。あ、いや、顔が隠れているくらいならば、分かる者もいるのではないだろうか?」


 良牙リョウガがすっかりしおしおになって主の行動を白状すると、行成が慌ててフォローを入れる。一応磊三は行成と同じ大名であるからして、あまり悪く言うわけにはいかない、という気持ちもあるだろう。


「一度遠くから見たことがあるだけでござるよ? しかも二十年も前のことでござるし、その時とは髪の色も違うでござる。その上死んだはずの人物でござるよ?」

「……は、ハルカ殿、話の続きをお願いします」


 フォローしきれなくなった行成は、そこに触れるのをやめて話の続きを促す。

 人間聞かなかったふりをした方が良いこともあるのだ。


「はい。結果磊三殿は、私たちに協力してくださる、と一方的に仰って去っていきました。後ほど、〈北禅国〉の宿に移動してくるとのことです」

「そ、そうですか……。い、いや! ありがたいことです。〈北禅国〉としても味方は少しでも多い方がいい。〈御豪泊〉と言えば、大国を相手に勝利を重ねる精兵を持った強国。この機会をいただけたことには感謝するばかりです」

「そう言ってもらえると救われるでござる……」


 立ち直った行成の前向きな宣言は、落ち込んだ良牙の気持ちを、なんとか少しばかり上向かせてくれたようだった。

朧の国の人の名前、漢字表記すべきかひらがな表記すべきか問題で迷ってます。

漢字でいいかなぁ……。

本当は大陸の人が発声する時はカタカナ、そうでない場合は漢字と思ったんですが、ちょっと面倒ですよね。

決めておかねば。


あ、書籍、コミカライズ四巻発売中です!

ご購入いただいた方に感謝感謝、ありがとうございます!

購入サイトでレビューとか頂けるとますます大喜びいたします……!

どうぞ引き続きよろしくお願いします……っ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
改めて見たら、リョウガのルビはカタカナ…(らんまを思い出した人w)
気味の悪い能力ww
作者が、漢字が良ければ漢字で、カタカナが良ければカナでよいと思います。思い入れが軽くて、ちょっと悩むようならば、書きやすい方で良いと思います。 表記よりもストーリーを紡ぎ易い方法を優先して頂ければ良い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ