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JK四天王のゆるふわ学園生活  作者: 伝説の貧乏小僧
第3章 一学期後半
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第84話 体育祭編② 結婚挨拶!?

「これで午前の競技は終了です。これから一時間の昼休みです」


 会場アナウンスが昼休みの始まりを知らせる。現在、B組が二位のA組に二十点差をつけて暫定一位の座についている。チカ達の二人三脚の後、A組は様々な競技で厳しい戦いを強いられていた。特に玉入れでは、最下位というさんざんな結果になってしまった。


「皆! 僕達は今、苦境に立たされている! 気合を入れ直して……」


「貴重な昼食の時間が減ってしまうわ。演説は後にしてちょうだい!」


「チームの士気を上げるためにも皆を鼓舞しないといけないの! ユリは勝ちたくないの?」


「そんなことより早くチカのお弁当を食べたいの! 私はチカの手料理を食べることに命を賭けているんだから!」


「わ、わかったよ。とりあえずご飯を食べてからにしよう」


「わかればよろしい」


 普段ならゴリ押しで自分の意見を通すリョウコだが、今回はあっさりと引き下がった。十五年間つきあってきてユリがここまで本気で怒鳴ったことはなかったため、気圧されてしまったのだ。


「そんなに楽しみにしていてくれたんですね。すぐにお弁当を出しますね……って、あれ?」


「どうかしたの?」


「無いです……」


「え?」


「お弁当が無いです。恐らく家に忘れてきたんだと思います……」


「嘘でしょ……私の楽しみが……」


 ユリは絶望して地面に崩れ落ちた。土埃で体育着が汚れるがそんなことを気にする余裕もない。この様子では午後の競技に臨むことは無理だろう。


「チカー!」


 そんな時、背後から馴染みのある声が聞こえた。チカが慌てて後ろを振り向くと、母親がこちらに走ってくる姿を確認できる。彼女はすぐさま母親に駆け寄った。


「あなたお弁当忘れたでしょ! 持ってきたわよ!」


「お母さん、来てくれたんですね!」


「開会式の直後から来てたわよ。ただあなたがとても忙しそうだったから渡せる機会がなかなか無くてね」


「それじゃあ二人三脚も見てくれましたか?」


「見た見た! すごかったわね。ペアの金髪の子と息が合ってたわ!」


「えへへ……」


 褒められたことがよほど嬉しかったのか、チカは顔を赤らめながら後頭部を撫でている。


「はい、これお弁当。友達のために苦手な早起きを頑張って作ったんでしょ? 持って行ってあげなさい」


「はい! ユリちゃーん、お弁当ですよ!」


 ユリは弁当というワードを聞くと人間離れした動きで大きく飛び上がり、両足で着地した。そしてチカの母親に向かって一直線に進んで行く。


「こんにちは! お義母様!」


「あら、こんにちは」


「娘さんと仲良くさせてもらっている滝川由利と申します。ふつつか者ですがどうかよろしくお願いします」


「お前に娘はやれん!」


「そ、そんなあ……」  


「あっはっは! 冗談よ!」


 チカの母親はあまりの可笑しさに腹を抱えて大笑いをする。高校生をからかって笑えるのはまだまだ若い証拠である。


「ユリちゃん、あなたのことはチカからよく聞いているわ」


「本当ですか?」


「うちの子ぼんやりしてるからあなたみたいなしっかり者の友達がいると安心ね。これからもチカのことをよろしく頼むわね」


「はい!」


 チカの母親とユリは互いの手を強く握りしめ、深くお辞儀をする。その光景はまるで結婚の挨拶のようだ。


「それじゃあ私は保護者席の方に戻るわね。お弁当の時間楽しんで!」


「はい! さようなら〜!」


 ユリは大きく手を振ってチカの母親を見送る。その姿が見えなくなると、スキップしながら選手席に戻った。


「えらいご機嫌だねえ。どったの?」


「ふふん! チカお母さんにチカとの関係を公認してもらえたわ!」


「な、なんだって!? 私も負けるわけにはいかないよん!」


 レイナは選手席を飛び出し慌ててチカの母親の後を追いかけた。


「それではユリちゃん、お待ちかねのお弁当の時間です」


「やったー!」


 ユリは弁当箱を受け取り蓋を開ける。すると食欲をそそるような香辛料の香りが鼻腔を刺激した。


「今日は中華料理を作ってみました!」


 弁当箱には炒飯、エビチリ、麻婆豆腐、焼売などの中華料理が所狭しと敷き詰められている。


「美味しそうね! いただきます!」


 まずスプーンで炒飯をすくって口に運ぶ。その後エビチリを食べ、そのまま再び炒飯を口にかきこむ。冷めているのにジューシーな味わいが口いっぱいに広がった。


「チカが作ってくれた料理というだけでも最高なのに味も美味しい。私、今なら死んでもいいわ……」


「ユリ、心の声が漏れてるよ」


「えっ!? いけない!」


 ユリは慌てて顔を上げ、チカの顔を見る。しかし彼女はきょとんとした顔をしているだけだった。


「安心して。チカには聞こえてないみたい」


「ありがとう。気をつけるわね」


「うん」


 ユリは再び弁当箱に顔を向け食事を続ける。あまりの美味しさに箸が止まらず、あっという間に完食してしまった。  


「ごちそうさまでした!」


「美味しかったですか?」

 

「ええ、とっても!」


「さて、食べ終わったね。じゃあ演説の時間だ!」


 リョウコは大方のクラスメート達が昼食を終えたのを確認すると、全員を自分の席の前に集合させた。


「皆! 僕達は今、苦境に立たされている! 気合を入れ直して……」


「昼休み終了です。午後の最初の競技は障害物競走です。出場者は入場門の前に集合してください」  


「あー、ちくしょうめー!」


 昼休みが終わりクラスメート達は入場門に向かう者や応援に向かう者など、散り散りになってしまう。リョウコの演説はまたも失敗に終わったのだった。





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