第7話 「ツンツン♪デレデレ♪ツンデレレー♪」
私の名前はリメーレ・ルイビソルワーネ。
ルイビソルワーネ準男爵家の四女です、年は22歳。
貴族とは言っても下級貴族の中でも一番下位の準男爵なので、
裕福って訳でもありませんでした。
だから私は18になってすぐに働きました。
今働いてる場所は準伯爵家でお給金も良く住み込みで働かせて貰えて、
とても良い待遇です。ですが、そんな職場にも悩みがあります。
そう、3男で5歳のユリオーネ坊ちゃまです。
何を悩んでるかと言うと、その坊ちゃまの付き添いで森に出ています。
その坊ちゃまは、…黒髪黒目なのです。
黒髪黒目は禁忌とされています、一緒にいる私さえも危険に晒される可能性があるのです。
しかも、来ている場所は森です、ただでさえ坊ちゃまとは
一緒に行動したくないのに森とは……。
森は凶暴な動物、盗賊、魔物が出るだけでなく。
それらを殺して生計を立てる冒険者や猟師がいるからです。
黒髪黒目は下手したらすぐ殺される可能性があるので、人のほうがよっぽど怖いのです。
街中であれば少なくとも命の危険は無いでしょう。
だから、森は気分が進まないのです。
旦那様達は森で亡くなることを期待しているようでろくに護衛もつけません。なので、私が坊ちゃまの付き添いになったのはすごい不運でした。
「ユリオーネ!いったいどこに行こうと言うんだ!?」
「アルド兄さん、心配しないで下さい森ですよ。」
そういうと兄さんは僕を急に抱きしめた。
「すまないっ!お前がそこまで思い詰めてるなんてッ!!!」
「あ、あの、兄さん…?」
何を言ってるのだろうか。
少し魔法を試したいだけなのだが…。
「大丈夫だ、リオーネ、もう僕もこの家なんてどうでもいい、お前を守るためにこの命を使おう!」
「えっと、兄さん、森に行くのは少し試したいことがあるからですよ?」
「え?試したいこと?」
「はいっ。」
そういって僕は説明をした。
「な、何だ、魔法試すためにか…、僕はてっきり自殺するのかと…。」
「あははっ、違いますよ。兄さんははやとちりなんですね。」
「うーん、どうもリオーネことになると冷静が保てなくてな。あと、リオーネ、森に行くのはやめなさい。」
子供を宥めるような優しい口調で言った。
「何故です?」
「森には熊や魔物、そして、人間がいる。」
「そうですか…。でも!」
「あぁ、わかってる。リオーネは魔法をやっぱり試したいんだろう?だが、家は無理となるとやはり森しかないな。」
「そうです!だから!」
僕が力強く言うと兄さんは少し考えたあと言った。
「条件がある。」
兄さんはびしっと指を3本立てて言った。
「その1、誰か大人と一緒に行くこと。
…まぁ、僕が一緒に行ければいいんだけど無理だしね。」
「わかりました、誰か大人の人と行きます。」
「その2、夜までには帰ること。
夜で道に迷うなんてざらにあるからね。」
「わかりました。」
「よし、じゃあ、最後!
僕に森で合ったことを話すこと!
リオーネが何したかを知りたいからね!」
「はい!分かりました!」
「よし。で、大人だが…。」
「そこが問題ですよね、魔法のことばれないようにしなくちゃいけない…。」
「うーん、そうだな。リメーレならどうだろう。」
「リメーレ、というとメイドの?」
「うん、そうだ。彼女は準男爵家出身だから貴族の秘密ごととかどれくらい重要だか知ってるし、教養もあるからね!よし、そうしよう!僕から森であったことは秘密にするように言えばいいしね!父さんに話してくるよ!」
「えっと……わかりました。」
兄さんに決められてしまった。
(ん~、やっぱ邪魔っちゃ邪魔だなぁ。)
僕はそんなことを考えながらついてきたメイドに目を向ける。
なんだっけ、リメーレ・ルイビソルワーネだっけ。
父様に森であったことを話すように義務付けられてる可能性もあるからなぁ…。
迂闊に魔法は使えなさそうに無いな。
すると、目があったので笑顔を送っておくと、嫌な顔して逸らされた。
…どうやら僕は美人に罵られる趣味などは一切持ち合わせてないことがわかった。
むかつく感情を必死に抑えていると急に声をかけられた。
「坊ちゃま、ここまでです。ここから先は魔物も出てきますので。」
「でも、父様はここ以上もおっけーしてくれたよ?」
「ですが、これ以上は危険です!坊ちゃまが良くても、私は…。」
うーん、そっか。
あ、そうだ、じゃあ!
「んじゃ森の入り口で待っててよ!夜になって帰ってこなかったら魔物に襲われたと報告すればいいよ!」
「そうですか、では。」
うっわ、躊躇いも無く帰ってたよ!?
んじゃ、僕は奥地を目指しますか、ん?
なんだ、後ろから嫌な感じが…。
「きゃあああああああああ!!!!!」
リメーレの叫ぶ声が聞こえる。
熊か、魔物か、盗賊か。どれでも助ける義理はないよね。
だって、僕のことをあれだけ冷たい扱いする人間助けるなんて…ね?
そして僕は叫び声が聞こえたほうへ走っていった。
ち、違うし!魔法試せる相手がいそうだからだし!!!
いったい、僕は誰に言い訳してるんだろうか…。
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